通貨の特徴と選び方

通貨の特徴と選び方

南アフリカランド:最新金利と通貨の特性

外貨預金のお預入れに当たっては、各通貨の特徴や傾向を理解することが大切です。
通貨選択の際の参考にしてください。

南アフリカ
ランド

  • 世界有数の資源国。商品価格の影響を受けやすい
  • GDPはアフリカ全体の2割を占める経済大国。先行きには不安材料も
  • リスクオン時には上昇しやすくなる

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こんなお客さまにおすすめ
なるべく金利の高い通貨で資産を運用したい方。通貨の変動が大きいため、為替変動リスクを取りたい方。

情報の豊富さ
5つ星のうち 2
通貨の安定性
5つ星のうち 1
金利
5つ星のうち 4

アフリカ大陸で唯一のG20参加国

南アフリカはアフリカ大陸の最南端にある多人種・多民族国家で、世界有数の資源国です。金・プラチナ・ダイヤモンドなどの埋蔵量が豊富で、かつてはGDP (国内総生産) に占める鉱業の比率が20%を超えていました。電気自動車 (EV) 向けの需要が高まるレアメタルの埋蔵量が多いことでも有名です。現在は金融・保険などサービス業の比率が高まっていますが、貿易では依然、鉱物への依存度が高い状態が続いています。したがって通貨ランドは金などの商品価格の影響を受けやすくなっています。
南アフリカはGDPがアフリカ全体の2割を占めるアフリカをけん引する経済大国で、経済成長が期待されるBRICS (ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ) の一角にもあげられています。アフリカ大陸で唯一のG20参加国です。
しかし、2000年代半ばに高成長を遂げた南アフリカも、2008年の世界金融危機後には投資・輸出の不振、2015年の中国経済の減速に伴う鉱物資源価格の下落などで経済が停滞しました。2020年3月には新型コロナウイルスの感染拡大で南アフリカ全土でロックダウン (都市封鎖) が行われ経済は急激に落ち込みました。2022年には資源価格の上昇もあって回復を見せましたが、2023年の実質GDP成長率は0.6%と低調でした。金融、不動産業、企業サービスが好調だった一方、農林水産業、電気・ガス・水道、鉱業がマイナス成長でした。
干ばつとそれに付随する水不足があったかと思えば、2022年・23年と大洪水に見舞われるなど自然災害の多さも経済の足かせです。
失業率も2021年から3割を超える非常に高い水準で、社会不安や治安の悪化にも結び付いています。特に人口の8割を占める黒人の失業率が高く、アパルトヘイト時代の教育環境の悪さの後遺症とも言われます。逆に言えば、教育や技能訓練が進めば、大量の労働力が産み出され、経済成長の源泉になる可能性があるとも言えるでしょう。
経済のボトルネックとなっていた電力供給不足には改善の兆しがみられます。南アフリカの国内電力の約9割をまかなう国営電力会社エスコムは、経営難からインフラが老朽化したままになっており、計画停電が行われています。しかし2023年3月に政府が電力相を新たに任命、エスコムは「発電事業復興計画」を行ってきました。エスコムは企業内部問題などもあって抜本的改善には時間がかかるとの見方もありますが、発電所の改修などで国内のエネルギー利用可能率は65%に上昇しています。

南アフリカの輸出品目

通貨の特性

南アフリカランドは高金利通貨として人気があります。政策金利は1998年以降で一番高い時には20%を超えていました。
鉱物資源に恵まれている南アフリカですが、長年の採掘で資源が枯渇、次第に過酷な環境下での採掘が行われるようになりました。鉱山労働者は厳しい労働環境から待遇改善を求めるためストライキが頻発しています。こうした背景から南アフリカでは給与の上昇圧力が強く、インフレ傾向が続いています。そのため南アフリカの金利は恒常的に高い水準を維持しているのです。
世界経済が安定してリスクオン (リスク選好) のムードが高まっているときには、高金利を求めて世界中から資金が集まり、南アフリカランドが上昇しやすくなります。一方、世界的な金融危機などでリスクオフ (リスク回避) 傾向が強まると、資金が流出して南アフリカランドは下落幅が大きくなる傾向があります。財政赤字が大きいため、リーマンショックのような世界的な信用問題が生じると、財政リスクが意識されて下落しやすい面があるなど、グローバルな資金移動の影響を受けやすいと言えます。流動性の低さから急な値動きが起こることにも注意が必要です。

金融政策は中央銀行である南アフリカ準備銀行 (SARB) がインフレ目標を設定して行っています。消費者物価指数 (CPI) 前年比上昇率を+3~6%の範囲内に収めるのが目標で、CPIの動向は重要です。なお、SARBのハニャホ総裁はインフレ目標の引き下げについて当局者が議論していると明らかにしています。
南アフリカは現在でも世界8位の金産出国で、金価格との連動が高い時もあります。
失業率、貿易収支など経済指標の月次の変動が大きめなのも南アフリカ経済の特徴です。指標が極端に動いたときは、南アフリカランド相場も大きく変動する可能性があります。また、貿易相手国首位の中国の経済の好不調も南アフリカランド相場に影響することがあります。
政治の不安定化は通貨安を招きます。アフリカの中では政情が安定した国ですが、選挙などのイベントは要注意です。周辺国の政情不安にも気を配るとよいでしょう。

過去10年間の南アフリカランドの値動き (チャート)

南アフリカランドの対円相場は2006年以降、円高・南アフリカランド安の長期トレンドが続いていました。2008年9月のリーマンショックで1南アフリカランド=15円から半値の7円台まで急落した後、一時12円台まで切り返す局面もありましたが、2012年から2014年までは9~11円の持ち合い (ボックス圏) 相場で推移。その後も、急激な資源安などの影響で2016年には6円台まで下落、コロナショックを受けて2020年には6円割れまで売り込まれました。経済改革、財政再建への道筋が見えず、南アフリカ経済は停滞が続いており、南アフリカランド相場の上値を重くしています。コロナからの回復と資源価格高の影響、中央銀行の連続利上げで、対円では2020年4月に1南アフリカランド=5円台半ばで底を打ちました。対米ドルでは、米国の高金利長期化懸念や、ロシアとの関係を巡って制裁リスクも意識され1年ほど遅れて安値を付けています。
2024年初からは高金利通貨の上昇が目立っていますが、なかでも南アフリカランドはキャリートレード (低金利通貨で資金調達し、高金利通貨に投資する) の対象となったとみられ、ランド高円安が進みました。また、大統領選挙への期待や資源高がランド上昇に弾みをつけました。
南アフリカの 4 月のコアインフレ率は前年同月比+4.6%に低下し、中央銀行のインフレ目標 (3~6%) の中央値 (4.5%) にほぼ到達したかっこうです。1~3月期の実質GDP成長率は前期比-0.1%と経済は低迷が続いています。中央銀行は政策金利8.25%からの引き下げを検討するのではないかとの観測も出ています。
5月29日に実施された選挙で、アパルトヘイト撤廃後の1994年の選挙から30年間政権を握ってきたアフリカ民族会議 (ANC) が過半数割れに追い込まれました。直後、南アフリカランドが一時前日比2%以上も下落するなど金融市場にも動揺が走りましたが、国民統一政府 (GNU) を結成するとの計画が出て落ち着きを取り戻し、6月15日現在1南アフリカランド=8.5円近辺で推移しています。ただ、イデオロギーが多岐にわたるため健全に政権が成立するか、その後の政策運営はうまくいくのか、問題は残っています。

南アフリカランド/円チャート (10年)

金利情報

南アフリカランド (ZAR)

普通預金 定期預金
お預入期間
1ヶ月 3ヶ月 6ヶ月 1年 2年 3年
1.60 % から 25.00 % 5.80 % 6.10 % 6.10 %
外貨から 5.30 % 5.80 % 6.10 % 6.10 % - -

※個人のお客さま向け  2024年11月13日現在

普通預金 1.60 %
定期預金
お預入期間 円から 外貨から
1ヶ月 25.00 % 5.30 %
3ヶ月 5.80 % 5.80 %
6ヶ月 6.10 % 6.10 %
1年 6.10 % 6.10 %
2年 -
3年 -

※個人のお客さま向け  2024年11月13日現在

注目指標はこれ !

貿易収支
資源輸出への依存度が低下しているとはいえ、貿易収支の変化は南アフリカランド相場に少なからぬ影響をおよぼします。南アフリカ歳入庁が毎月発表しています。
<発表時期>
毎月下旬の日本時間21:00ごろ
実質小売売上高
前月比および前年同月比の小売売上高の伸び率を示す指標です。南アフリカ統計局が毎月発表しています。
<発表時期>
毎月中旬の日本時間20:00ごろ
失業率
雇用者数、失業者数とともに四半期ごとに南アフリカ統計局が発表しています。失業率が大きく悪化すると治安悪化にもつながるため重要な指標です。
<発表時期>
2・5・8・11月下旬
製造業生産高
前月比および前年同月比の製造業生産高の伸び率を示す指標で、景気動向を判断するものとされています。南アフリカ統計局が毎月発表しています。
<発表時期>
毎月下旬の日本時間20:00ごろ
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