通貨の特徴と選び方

通貨の特徴と選び方

南アフリカランド:最新金利と通貨の特性

外貨預金のお預入れに当たっては、各通貨の特徴や傾向を理解することが大切です。
通貨選択の際の参考にしてください。

南アフリカ
ランド

  • 世界有数の資源国。商品価格の影響を受けやすい
  • GDPはアフリカ全体の2割を占める経済大国。先行きには不安材料も
  • リスクオン時には上昇しやすくなる
こんなお客さまにおすすめ
なるべく金利の高い通貨で資産を運用したい方。通貨の変動が大きいため、為替変動リスクを取りたい方。

情報の豊富さ
5つ星のうち 2
通貨の安定性
5つ星のうち 1
金利
5つ星のうち 4

アフリカ大陸で唯一のG20参加国

南アフリカはアフリカ大陸の最南端にある多人種・多民族国家で、世界有数の資源国です。金・プラチナ・ダイヤモンドなどの埋蔵量が豊富、先端技術に欠かせないレアメタルの埋蔵量が多いことでも有名で、かつてはGDP (国内総生産) に占める鉱業の比率が20%を超えていましたが、現在は10%未満に低下しています。2025年も鉱業や製造業の不振が続く一方、農業部門は降雨に恵まれ大幅増となるなど、産業構造の多様化が進んでいます。金融やeコマース分野の成長も著しく、サービス業の比率が高まっています。
南アフリカはGDPがサハラ以南のアフリカの2割を占めるアフリカをけん引する経済大国で、経済成長が期待されるBRICS (ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ) の一角にもあげられています。アフリカ大陸で唯一のG20参加国です。
しかし、2000年代半ばに高成長を遂げた南アフリカも、2008年の世界金融危機後には投資・輸出の不振、中国経済の減速に伴う鉱物資源価格の下落などで経済が停滞しました。2024年の実質GDP成長率は0.6%、2025年第1四半期も前期比1.0%増と低成長が続いています。
失業率も3割を超える非常に高い水準で、社会不安や治安の悪化にも結び付いています。特に人口の8割を占める黒人の失業率が高く、アパルトヘイト時代の教育環境の悪さの後遺症とも言われます。逆に言えば、教育や技能訓練が進めば、大量の労働力が産み出され、経済成長の源泉になる可能性があるとも言えるでしょう。
国営電力会社エスコムの改革が進む一方で、恒常的な電力不足が依然として経済成長のボトルネックとなっています。

南アフリカの輸出品目

通貨の特性

南アフリカランドは高金利通貨として人気があります。政策金利は1998年以降で一番高い時には20%を超えていました。2025年5月に利下げした時点で7.25%と依然高水準です。
世界経済が安定してリスクオン (リスク選好) のムードが高まっているときには、高金利を求めて世界中から資金が集まり、南アフリカランドが上昇しやすくなります。一方、世界的な金融危機などでリスクオフ (リスク回避) 傾向が強まると、資金が流出して南アフリカランドは下落幅が大きくなる傾向があります。財政赤字が大きいため、リーマンショックのような世界的な信用問題が生じると、財政リスクが意識されて下落しやすい面があるなど、グローバルな資金移動の影響を受けやすいと言えます。流動性の低さから急な値動きが起こることにも注意が必要です。
金融政策は中央銀行である南アフリカ準備銀行 (SARB) がインフレ目標を設定して行っています。消費者物価指数 (CPI) 前年比上昇率を+3~6%の範囲内に収めるのが目標で、CPIの動向は重要です。
南アフリカは現在でも世界10位の金産出国で、金価格との連動が高い時もあります。
失業率、貿易収支など経済指標の月次の変動が大きめなのも南アフリカ経済の特徴です。指標が極端に動いたときは、南アフリカランド相場も大きく変動する可能性があります。また、貿易相手国首位の中国の経済の好不調も南アフリカランド相場に影響することがあります。
政治の不安定化は通貨安を招きます。選挙などのイベントは要注意です。周辺国の政情不安にも気を配るとよいでしょう。

過去10年間の南アフリカランドの値動き (チャート)

南アフリカランドの対円相場は2006年以降、円高・南アフリカランド安の長期トレンドが続いていました。
2008年9月のリーマンショックで1南アフリカランド=15円から半値の7円台まで急落した後、一時12円台まで切り返す局面もありましたが、2012年から2014年までは9~11円の持ち合い (ボックス圏) 相場で推移。
中国経済の悪化、資源安などで2016年には6円台まで下落、コロナショックを受けて2020年には6円割れまで売り込まれました。
コロナからの回復と資源価格高の影響、中央銀行の連続利下げで、対円では2020年4月に1南アフリカランド=5円台半ばで底を打ちました。
2024年初からは高金利通貨の上昇が目立っていますが、なかでも南アフリカランドはキャリートレード (低金利通貨で資金調達し、高金利通貨に投資する) の対象となったとみられ、7月には9円手前まで南アフリカランドが上昇しました。
2024年5月の選挙で、長年政権を握ってきたアフリカ民族会議 (ANC) が過半数を割り込み、複数政党による国民統一政府 (GNU) が発足しました。
政権内で2025年度政府予算案をめぐって意見が対立し連立崩壊のリスクがありましたが、現地の報道によれば、基本合意がなされ、7月中旬から下旬に議会で採決が予定されているとのことで
南アフリカランド相場に一定の安心材料となっているようです。
また、2025年5月には中央銀行が政策金利を0.25%引き下げ7.25%としました。2024年後半以降の利下げ局面で4回目、累計1%の利下げとなっています。インフレ率は2022年後半からは低下傾向で、2025年4月は目標の下限を下回る前年比+2.8%となり、中央銀行はインフレ見通しを+3.2% (前回+3.7%) に引き下げています。インフレが落ち着いていることから金融緩和で低迷する経済を下支えする狙いです。
ただ2025年にトランプ政権が再発足して以降、米国との外交・経済関係が悪化し、関税引き上げや援助停止などの圧力が強まっていることは南アフリカランド相場の重荷になっており、2025年4月には1南アフリカランド=7円台に下落しました。
6月現在1南アフリカランド=8円近辺で推移しています。

南アフリカランド/円チャート (10年)

注目指標はこれ !

貿易収支
資源輸出への依存度が低下しているとはいえ、貿易収支の変化は南アフリカランド相場に少なからぬ影響をおよぼします。南アフリカ歳入庁が毎月発表しています。
<発表時期>
毎月下旬の日本時間21:00ごろ
実質小売売上高
前月比および前年同月比の小売売上高の伸び率を示す指標です。南アフリカ統計局が毎月発表しています。
<発表時期>
毎月中旬の日本時間20:00ごろ
失業率
雇用者数、失業者数とともに四半期ごとに南アフリカ統計局が発表しています。失業率が大きく悪化すると治安悪化にもつながるため重要な指標です。
<発表時期>
2・5・8・11月下旬
製造業生産高
前月比および前年同月比の製造業生産高の伸び率を示す指標で、景気動向を判断するものとされています。南アフリカ統計局が毎月発表しています。
<発表時期>
毎月下旬の日本時間20:00ごろ
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