通貨の特徴と選び方
通貨の特徴と選び方
トルコリラ:最新金利と通貨の特性
外貨預金のお預入れに当たっては、各通貨の特徴や傾向を理解することが大切です。
通貨選択の際の参考にしてください。
トルコリラ
- 投資家から人気の高金利通貨
- 国民の平均年齢が低く、潜在成長力は高水準
- 内政リスクや中東方面の動向に注意が必要
- こんなお客さまにおすすめ
- 高いリスクを許容しつつ、高金利で運用収益を得たい方におすすめ。
中東問題に影響を受けやすいため、ニュースはこまめにチェックしましょう。
- 情報の豊富さ
- 通貨の安定性
- 金利


欧州、中東、アジアの文化の交差点
トルコは地理的に欧州とアジアをつなぐ位置にあり、中東にも隣接する貿易の要衝で、文化の交差点でもあります。15世紀にこの地にあったのはオスマン帝国。最大の都市イスタンブールは、古くはシルクロードの中継地点として栄えました。
現代も結節点ならではの外交を行っています。北大西洋条約機構 (NATO) 加盟国でありながら、非欧米軍事同盟である上海協力機構の対話パートナーであり、中露との軍事協力も行う「多面外交」を掲げています。BRICSへの正式参加申請も行いました。
ウクライナ危機に対しては仲介役に乗り出しています。
長らく対立していた隣国シリアで2024年12月アサド政権が崩壊し、トルコはシリア難民の帰還支援や復興への参画を進めています。トルコがテロ組織に認定していた武装組織クルド労働者党 (PKK) が5月12日武装闘争を集結し解散を決定したと発表。40年あまりに続いてきたトルコ政府との対立が終わりました。そして重要な米国との関係は緊張と緩和を繰り返しています。近年トルコによるロシア製ミサイルシステムの購入などで経済制裁を受けていました。
2024年の実質GDPはトルコ統計機構 (TUIK) によると前年比3.2%の成長となりました。個人消費が減速した一方、トルコ南部での2023年2月の震災からの復興もあって建設・金融保険業が成長を牽引しました。国民の平均年齢が低く、潜在成長力は比較的高い水準にあります。
産業面では毛織物など軽工業のほか、地理的特性を生かし欧州向けの自動車など工業製品の輸出拠点となっています。日本からも自動車工場が進出しています。
トルコはNATO加盟国ですが、政府がテロ組織に指定しているトルコ分離主義勢力のクルド人のクルディスタン労働者党 (PKK) などを擁護しているとして反対してきたフィンランドとスウェーデンのNATO加盟を認めました。一方、自らはEU (欧州連合) 加盟を目指していて、2024年は5年ぶりにトルコ外相がEU外相会議に出席するなど関係強化に意欲を示しています。
米国トランプ政権はトルコに対し最低税率10%の追加関税を提示していて、他国に比べて有利とみられています。イスタンブールや奇観で有名なカッパドキアを抱える観光立国でもあります。ただし、慢性的な貿易赤字国で、海外からの資金に依存しています。高いインフレ率にも悩まされてきました。その裏返しで、政策金利の高いことがトルコリラの魅力にもなっています。
様々な文化の交差点であったことで、多様性に寛容です。なかでも日本には友好的な感情を持っていると言われ、関係は良好です。ボスポラス海峡の海底トンネルの建設には、日本企業も参加して注目されました。2024年に日本とトルコの外交関係樹立100周年を迎えました。
内政面では、宗教を政治に持ち込まない世俗主義の政党と、宗教主導の政党との間で争いが起きることが多く、軍が政治介入することもありました。2016年には軍部のクーデターが失敗に終わっています。エルドアン氏が2003年に首相就任、2014年から大統領を務めていて、2023年5月の選挙で続投を決めました。2024年3月の地方選挙では敗北し求心力の低下がみられています。エルドアン氏は金融当局に強い圧力をかけていたことで知られます。
通貨の特性
トルコリラの最大の特徴はその金利の高さです。南アフリカランド、ブラジルレアルなどと並ぶ高金利通貨のひとつとして知られ、より大きなインカムゲインを求める投資家から人気の高い通貨です。
金利の高さは、一方でインフレ率が高いということでもあります。2022 年末、消費者物価指数 (CPI) は食料やエネルギー価格の上昇を背景に前年比+80%超という歴史的な高さを記録しました。その後いったん低下したあと再び70%台まで上昇するなどインフレ圧力の高さには注意が必要ですが、2024年6月以降は下落傾向をたどり、足元では30%台まで低下しています。
もうひとつの特徴は政治リスクです。通常であれば中央銀行は高いインフレを抑えるためには金利を上げる政策を導入するのですが、「イスラム金融」の考え方を持つエルドアン大統領が強硬に反対して2021年には逆に利下げを行い、中央銀行の独立性という意味で他国からの信用を失いました。2023年からは経済政策の転換が見られていますが、エルドアン大統領による中央銀行総裁の解任でトルコリラが急落したこともあります。2025年3月、エルドアン大統領が政敵のイスタンブール市長を拘束 (後に逮捕) し、金融市場が混乱しました。通貨当局がトルコリラ防衛のためリラ買い介入を繰り返し、外貨準備高が急減しました。外貨準備高の推移にも注意を払いたいところです。
トルコはエネルギーの純輸入国であり、慢性的な貿易赤字・経常赤字になっていることも通貨安圧力になっています。
他の新興国通貨と同様、短期的に相場が急激に変動することもあります。トルコは貿易赤字国で、国内の資金需要を満たすために海外資金の流入に依存しています。そのため、グローバルな資金の流れの変化には敏感に反応します。世界景気の悪化や金融不安の兆しなどには気を付けたいところです。
また、中東方面の混乱がトルコリラ相場に大きな影響を与えることもありますので、中東問題に関するニュースを注意深くウォッチしましょう。

過去10年間のトルコリラの値動き (チャート)
トルコリラ / 円は長期にわたって下落傾向が続いてきました。
2008年9月のリーマンショックを受けて、トルコリラの対円相場は90円台から50円台に急落。その後もじりじりと値を下げ、2016年ごろからは対米関係の悪化が目立つようになり、2018年8月には米国人牧師の拘束問題で米国からトルコに対する制裁が発動されたことから、トルコリラ / 円は15円台まで急落しました。エルドアン大統領が中央銀行総裁と副総裁を指名する権限を自身に与えたことなどから、金融政策への介入強化が不安視されたことも理由のひとつです。その後利上げや介入でいったん戻す場面もありましたが、コロナ禍で観光収入が途絶え経済が悪化したこともあって2021年末にかけては6円割れ手前まで大幅に下落しました。
エルドアン大統領の独特の考えにより、高インフレの中で中央銀行に利下げを迫るという状況で、2022年8月には、前年比+80%を超える厳しいインフレ状態の中で利下げが再開されました。2023年2月には大きな地震に見舞われ、国内経済下支えのためさらなる利下げが行われました。
長引くインフレにより家計が疲弊する中で、2000年代高成長の立役者だったエルドアン大統領の人気にも陰りが見られ、2023年5月の大統領選挙ではエルドアン氏が勝利したものの初めて決選投票に持ち込まれました。議会選挙でも与党が議席を減らし、経済政策の変更を余儀なくされました。経済チームも一新され、金融引き締め容認派のシムシェキ財務相、中銀総裁にエルカン氏が就任し、市場の期待感は高まりましたが、リラ買い介入停止などでトルコリラ / 円は5円台半ばと安値を更新しました。
トルコ中銀は2023年6月に利上げに転じ、連続して大幅利上げが行われ2024年3月に政策金利を50%まで引き上げました。この効果もあってCPIは5月の75.45%をピークに鈍化しました。政府も緊縮財政に転換、国債信用格付けが引き上げられ、リラ相場は下げ止まり反転に向かうものと予想されていました。
しかし、2025年3月エルドアン大統領が政敵のイスタンブール市長を逮捕するという大きな政治リスクが持ち上がり、トルコリラ / 円は3円台半ばに急落し史上最安値を更新しました。さらに自身の任期が2028年までとなっているエルドアン氏が憲法改正を進めようとしており、野党は再選の機会をつくるためだとして反発を強めています。
2025年5月のインフレ率が一段と低下し6月の利下げ期待が高まるなか、中央銀行は据え置きを決めました。為替介入の有無もトルコリラ相場にとって重要要因です。
2025年6月現在、トルコリラ / 円は3円台半ばで推移しています。

注目指標はこれ !
- 消費者物価指数 (CPI)
- 消費者物価指数は2024年6月には前年比75.45%となりましたが、その後は次第に減速、2025年6月は前年比35.05 %となっています。インフレ率が縮小していることで、政策金利の利下げ観測が強まっているとの指摘があります。
- <発表時期>
- 毎月上旬の日本時間16:00ごろ
- 貿易収支
- 貿易収支はトルコ経済の動向を見るうえで重要な指標です。エネルギー輸入コストの増加を背景に赤字額が増加傾向にあり、構造的なトルコリラ売り要因となっています。
- <発表時期>
- 毎月下旬の日本時間16:00ごろ
- 失業率
- トルコリラは雇用統計の影響を強く受けやすく、失業率が大幅に上がるとトルコリラ相場も大きく下がることがあります。
- <発表時期>
- 毎月中旬の日本時間17:00ごろ
- 外貨準備高
- 外貨準備の減少はトルコリラ売りを防衛する能力の低下とみなされます。
- <発表時期>
- 毎週木曜日
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