通貨の特徴と選び方

通貨の特徴と選び方

トルコリラ:最新金利と通貨の特性

外貨預金のお預入れに当たっては、各通貨の特徴や傾向を理解することが大切です。
通貨選択の際の参考にしてください。

トルコリラ

  • 投資家から人気の高金利通貨
  • 国民の平均年齢が低く、潜在成長力は高水準
  • 内政リスクや中東方面の動向に注意が必要

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こんなお客さまにおすすめ
高いリスクを許容しつつ、高金利で運用収益を得たい方におすすめ。
中東問題に影響を受けやすいため、ニュースはこまめにチェックしましょう。

情報の豊富さ
5つ星のうち 3
通貨の安定性
5つ星のうち 2
金利
5つ星のうち 5

欧州、中東、アジアの文化の交差点

トルコは地理的に欧州とアジアをつなぐ位置にあり、中東にも隣接する貿易の要衝で、文化の交差点でもあります。15世紀にこの地にあったのはオスマン帝国。最大の都市イスタンブールは、古くはシルクロードの中継地点として栄えました。
現代も結節点ならではの外交を行っています。北大西洋条約機構 (NATO) 加盟国でありながら、非欧米軍事同盟である上海協力機構の対話パートナーであり、中露との軍事協力も行い、2022年ロシアによるウクライナ軍事侵攻では仲介役に乗り出しました。
産業面では欧州向けの自動車など工業製品の輸出拠点となっています。
一方で地政学上のリスクを抱えることにもなっています。エジプト、サウジアラビアとの関係は改善の兆しが見られますが、隣国ギリシャとの緊張関係は続いています。内戦が続くシリアとも隣接しており、クルド系組織との間で争いが絶えません。2022年11月にも トルコは大規模な空爆を行っています。
西欧化を進めてきた経緯からEU (欧州連合) 加盟を目指していますが、様々な問題から実現していません。また、トルコはNATO加盟国ですが、政府がテロ組織に指定しているトルコ分離主義勢力のクルド人のクルディスタン労働者党 (PKK) などを擁護しているとして、フィンランドとスウェーデンが申請したNATO加盟に消極的で、今でもスウェーデンの加盟は認めていません。

2022年の実質GDP成長率はトルコ統計機構 (TUIK) によると、前年比5.6%の成長となり、政府目標の5.0%を上回りました。個人消費が伸びを牽引、設備投資も好調でした。国民の平均年齢が低く、潜在成長力は比較的高い水準にあります。
産業は毛織物など軽工業が中心で、地理的優位性から自動車工場が日本からも進出しています。イスタンブールや奇観で有名なカッパドキアを抱える観光立国でもあります。ただし、慢性的な貿易赤字国で、海外からの資金に依存しています。高いインフレ率にも悩まされてきました。その裏返しで、政策金利が高いことがトルコリラの魅力にもなっています。

日本との関係は比較的良好で、「アジアと欧州を結ぶ夢のトンネル」として注目されたボスポラス海峡の海底トンネルの建設には、日本の大手総合建設会社がジョイントベンチャーの一員として参加しました。

内政面では、宗教を政治に持ち込まない世俗主義の政党と、宗教主導の政党との間で争いが起きることが多く、軍が政治介入することもありました。2016年には軍部のクーデターが失敗に終わっています。
最近ではエルドアン体制が独裁色を強めています。エルドアン氏は2003年に首相就任、2014年から大統領を務めていて、2023年5月の選挙にも勝利し続投が決まりました。ロシア・ウクライナの仲介役を買って出たり、黒海経由の穀物輸送協定の締結を主導したりするなど外交面でも力を発揮しています。金融当局に強い圧力をかけていることで知られます。

通貨の特性

トルコリラの最大の特徴はその金利の高さです。南アフリカランド、ブラジルレアルなどと並ぶ高金利通貨のひとつとして知られ、より大きなインカムゲインを求める投資家から人気の高い通貨です。
金利の高さは、一方でインフレ率が高いということでもあります。2022 年末、消費者物価指数 (CPI) は食料やエネルギー価格の上昇を背景に前年比+80%超という歴史的な高さを記録しました。通常であれば中央銀行は高いインフレを抑えるためには金利を上げる政策を導入するのですが、エルドアン大統領が強硬に反対して2021年には逆に利下げを行い、中央銀行の独立性という意味で他国からの信用を失っています。利下げやエルドアン大統領による中央銀行総裁の解任でトルコリラが急落したことがあり、通貨防衛策も打ち出しましたが、資本統制につながるとの懸念や取引量の低下などの副作用もありました。通貨防衛、為替相場への介入もあり、外貨準備高は2022年の初めから減少基調となっています。3大格付機関であるフィッチ、ムーディーズ、S&Pが2022年の夏以降相次いでトルコのソブリン債格付けを引き下げてもいます。外貨準備高の減少には注意を払う必要があります。
エルドアン大統領の考えには金利の設定が禁じられている「イスラム金融」の考え方が影響していると言われますが、シンガポールのように政策金利を使わない金融政策の仕組みでも考えないことには理解を得るのは難しいかもしれません。引き続きエルドアン大統領の発言には要注意です。

またトルコはエネルギーの純輸入国であり、慢性的な貿易赤字・経常赤字になっていることも通貨安圧力になっています。
他の新興国通貨と同じく取引量が少ないことから、短期的に相場が急激に変動することもあります。
貿易赤字国で、国内の資金需要を満たすために海外資金の流入に依存しています。そのため、グローバルな資金の流れの変化には敏感に反応します。世界景気の悪化や金融不安の兆しなどには気を付けたいところです。
また、内政リスクや中東方面の混乱がトルコリラ相場に大きな影響を与えることもありますので、中東問題に関するニュースを注意深くウォッチしましょう。

トルコ政策金利の推移

過去10年間のトルコリラの値動き (チャート)

2008年9月のリーマンショックを受けて、トルコリラの対円相場は90円台から50円台に急落。その後もじりじりと値を下げ、2016年ごろからは対米関係の悪化が目立つようになって、2018年8月には米国人牧師の拘束問題で米国からトルコに対する制裁が発動されたことから、トルコリラ / 円は15円台まで急落しました。エルドアン大統領が市場からの信認の厚いシムシェキ氏を財務相に再任せず、中央銀行総裁と副総裁を指名する権限を自身に与えたことなどから、金融政策への介入強化が不安視されたことも理由のひとつです。その後利上げや介入でいったん戻す場面がありましたが、2021年にはインフレが深刻化する中で利下げを行い、コロナ禍で観光収入が途絶え経済が悪化したこともあって年末にかけては6円割れ手前まで大幅に下落しました。
2022年8月から、トルコ中央銀行が前年比+80%を超える厳しいインフレ状態の中で利下げを再開しました。経済や金融政策への不信から7円台での安値圏で推移しました。11月に政策金利を1.5ポイント引き下げ9.00%としていったん利下げサイクルを終了しましたが、2023年2月に大きな地震に見舞われ、国内経済下支えのため金利をさらに0.5ポイント引き下げました。
急激なインフレにより家計が疲弊する中で、2000年代高成長の立役者だったエルドアン大統領の人気にも陰りが見られていますが、2023年5月の大統領選挙では決選投票ののちエルドアン氏の続投が決まりました。議会も議席数こそ落としたものの与党AKPが主導権をとりました。これで中央銀行は今後も民間部門に対して外貨からリラへの資金移動を促す「リラ化戦略」でインフレ再加速につながる通貨安を避けつつ、「超」緩和的な金融政策を維持すると予想されトルコリラは対ドルでは最安値を更新しましたが、金融引き締め容認派のシムシェキ財務相が任命され、その財務相推薦によるといわれる新中銀総裁にハフィゼ・ガエ・エルカン氏が就任したことで、金融政策変更の可能性も出てきました。
エルカン氏はゴールドマン・サックスの幹部を経て、2023年5月に経営破綻した米中堅銀行ファースト・リパブリック銀行では共同最高経営責任者 (CEO) を務めた経験を持ちます。
超緩和的な金融政策が正常化するのではと期待が高まる中、トルコ中銀は2023年6月22日、主要政策金利を年8.5%から15%に引き上げると決め、声明では今後も利上げを続ける考えを示唆しましたが、市場は一度の利上げでは不十分であると受けとめ、トルコリラ安傾向は継続しています。
今後の動向については、利上げを続けた場合、エルドアン大統領が過去のように中銀総裁を罷免するような可能性はないのかの予測は困難で、今後の動向には細心の注意が必要でしょう。
2023年7月4日現在ではまだリラ安に歯止めがかからず、1トルコリラ=6円を大きく割り込む展開となっています。

トルコリラ/円チャート (10年)

金利情報

トルコリラ (TRY)

普通預金 定期預金
お預入期間
1ヶ月 3ヶ月 6ヶ月 1年 2年 3年
3.00 % から 25.00 % 13.00 % 13.00 % 13.00 %
外貨から 13.00 % 13.00 % 13.00 % 13.00 % - -

※個人のお客さま向け  2024年07月23日現在

普通預金 3.00 %
定期預金
お預入期間 円から 外貨から
1ヶ月 25.00 % 13.00 %
3ヶ月 13.00 % 13.00 %
6ヶ月 13.00 % 13.00 %
1年 13.00 % 13.00 %
2年 -
3年 -

※個人のお客さま向け  2024年07月23日現在

注目指標はこれ !

消費者物価指数 (CPI)
ここ数年2ケタ台の高いインフレが続いています。2022年5月の消費者物価指数は約24年ぶりの水準となる前年比+73.5%と非常に高くなりました。その分、金利が高く設定されているわけですが、高水準のインフレが長引くと経済が疲弊する可能性もあります。
<発表時期>
毎月上旬の日本時間16:00ごろ
貿易収支
貿易収支はトルコ経済の動向を見るうえで重要な指標です。エネルギー輸入コストの増加を背景に赤字額が増加傾向にあり、構造的なトルコリラ売り要因となっています。
<発表時期>
毎月下旬の日本時間16:00ごろ
失業率
トルコリラは雇用統計の影響を強く受けやすく、失業率が大幅に上がるとトルコリラ相場も大きく下がることがあります。
<発表時期>
毎月中旬の日本時間17:00ごろ
外貨準備高
外貨準備の減少はトルコリラ売りを防衛する能力の低下とみなされます。
<発表時期>
毎週金曜日
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