通貨の特徴と選び方

通貨の特徴と選び方

ユーロ:最新金利と通貨の特性

外貨預金のお預入れに当たっては、各通貨の特徴や傾向を理解することが大切です。
通貨選択の際の参考にしてください。

ユーロ

  • EU域内の単一通貨を目指して1999年1月に導入
  • 導入国は2024年6月時点で20ヶ国
  • 様々な経済状況の国が含まれ政策決定が非常に難しい局面を迎えることも

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こんなお客さまにおすすめ
情報が多く投資判断がしやすい通貨です。国際分散投資の選択肢のひとつとして検討してみてもいいでしょう。

情報の豊富さ
5つ星のうち 3
通貨の安定性
5つ星のうち 4
金利
5つ星のうち 1

多くの国々が法定通貨として使用、国際分散投資に欠かせない重要通貨

欧州は15~17世紀の大航海時代から20世紀初めにかけて世界の覇権を握っていましたが、2度の世界大戦によって経済が大きく疲弊し、米国やソビエト連邦にその座を奪われました。そこで欧州の平和を維持し、経済統合を推し進め、米国に対抗する経済圏を確立することを目標にEU (欧州連合) が結成されました。そしてそのEU域内の単一通貨を目指して1999年1月に導入された通貨がユーロです。当初11ヶ国で発足したユーロ圏は、現在では20ヶ国にまで拡大しています。
2008年9月に発生した金融危機 (リーマンショック) は2009年には世界同時不況をもたらし、欧州経済も大きなマイナス成長となりました。これに対応してECB (欧州中央銀行) が急速な金融緩和を行ったことでいったんは回復基調となりましたが、2009年後半からギリシャ債務危機を発端にユーロ危機へと発展、再びマイナス成長に陥りました。この事態に主要債権団 (EU、ECB、IMF=国際通貨基金) が債務削減などを進め、2014年6月にはECBが異例の措置としてマイナス金利政策を導入して、緩やかな成長に戻りました。しかし2016年に英国のEUからの離脱が決定したことに加え、2017年にトランプ米大統領が誕生し、米中間の緊張が高まるなどして、ユーロ圏経済は不透明な時代に突入し、低成長・低金利が続きました。
2020年前半、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大のため大幅なマイナス成長となりましたが、感染がピークを超えると景気はいったん持ち直しました。一方天候不順の影響などからエネルギー・食料品相場が大きく上昇してインフレが高進しました。加えて2022年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻を開始すると、それまでドイツなどユーロ圏主要国がロシアにLNGなどエネルギー資源の大きな部分を依存し、ウクライナからは農産物・食料品を輸入するなど、両国とは経済的に非常に強い結びつきがあったことから、ユーロ圏の成長は鈍化しました。インフレに対抗するためECBは、低成長にもかかわらず2022年7月以降わずか1年余りで政策金利を0.0%から4.5%まで引き上げることを余儀なくされ、米国などの景気が急回復する中でもユーロ圏は景気低迷が続きました。
2024年3月、日銀金融政策決定会合で「賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」として、2013年から続けてきた異次元緩和が終了され、約17年ぶりとなる利上げが決定されました。しかし植田日銀総裁が今後の金引き上げペースに関して「急激な上昇というのは避けられるとみている」と述べたことなどから、緩和的な金融政策が継続されると見られています。
一方ECBは、ウクライナ戦争が長期化する中、これ以上の景気悪化を防ごうと、2024年6月「インフレ見通しが著しく改善した」として9カ月間据え置いた政策金利を0.25%引き下げました。ただし今後の政策はデータ次第としており、年内の追加利下げは2回程度と予想されています。
結果として日欧の金利差は今後縮小傾向となる見通しですが、当面ゆっくりとしたペースでの動きが予想されていることから、ユーロ相場も急激な動きとはならないと予想されています。またECBの利下げでユーロ圏の景気が上向けば、再びユーロ買いが強まる可能性もあります。

ユーロ圏は、西側では米国に次ぐ大きな経済圏です。また今後新たに加盟を希望する国も控えており、成長が期待できる地域です。当面ウクライナ問題やエネルギー資源確保などの懸念点は多々ありますが、長期的に考えれば、環境問題や米国とはやや異なった民主主義のあり方などを通じて、世界をリードする重要な役割を果たしていくでしょう。そのことから国際分散投資をする上では欠かせない通貨と言えます。

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通貨の特性

ユーロの一番の特徴は、特定の一つの国ではなく多くの国々が法定通貨として使用する共通通貨である、という点です。ユーロはECB (欧州中央銀行) と各加盟国の中央銀行によって発行されています。
導入当初は11ヶ国からスタートしましたが、その後、旧ソ連邦構成国であるエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国、スロベニア、スロバキアなどの東欧諸国でも相次いで導入されました。加盟国は2024年6月時点で20ヶ国に上ります。将来的にはEUに加盟するすべて (2024年6月現在27ヶ国) の国々でユーロが使用される見通しです。
為替市場におけるユーロの取引高は、米ドルに次いで第2位と流動性がたいへん高く、取引に対する規制もありません。経済指標、政治関連報道など投資に関わる情報が比較的手に入れやすいことも有利な条件と言えます。
ユーロ導入国の金融政策の方針は、ECBにおいて一元的に決定されています。近年の金融政策としては、域内の金融機関が中央銀行に預け入れる超過準備にマイナス金利を適用するなど、極めて緩和的な政策が行われていました。しかし2021年後半からのコロナ禍からの回復を前にしたエネルギー価格の上昇、天候不順による食料品の値上がりに加え、ロシアによるウクライナ侵攻の影響から、ECBは2022年7月にマイナス金利を解除、11年ぶりに政策金利を0.5ポイント引き上げました。以降2023年9月のECB理事会にかけて、政策金利は4.5%まで急激に引き上げられました。政策金利の引き上げによってインフレ率は低下しましたが、ウクライナ戦争の長期化などもあってユーロ圏の景気はほぼゼロ成長が続いていることから、インフレの見通しが改善したとして2024年6月に0.25%の利下げが決定されました。今後も利下げが継続されると見られていますが、そのペースはゆっくりとしたものになりそうです。
ユーロ圏にはドイツ、フランスのような経済大国が含まれる一方、ギリシャ、イタリアのような財政問題を抱えた国々、そして旧ソ連邦構成国など、様々な経済状況の国が含まれています。そういった国々で金融政策、通貨政策を共有することから、政策運営が非常に難しい局面が訪れることも予想されます。また長期化するウクライナ戦争の影響が、最終的にどのようなものになるのか非常に不透明です。

ユーロの変動要因

EC (欧州中央銀行) の政策金利は、ユーロ採用国20か国全体の経済動向が考慮されますが、採用国の中でも経済規模の大きな、ドイツ、フランスなどの経済動向に強く影響されるため、特にドイツの経済指標は、ユーロ相場の変動に大きな影響を与えます。ドイツやフランスの経済が好調ならユーロ相場も強含み、逆にこれらの国々の経済が停滞すると弱含む傾向があります。
そのほか、地政学的、経済的、歴史的に結びつきが強い英ポンドとの連動性が強いとも言われています。ただ、英国がEUを離脱して、両者の関係が不透明になっていることから、今後その関係が変化する可能性もあります。
そういった経済的な状況やそれに伴う金利動向が短期的な変動要因としては重要です。一方中長期的に見ると、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、ドイツをはじめとしたロシアへのエネルギー資源依存度の高い国が、今後十分な代替資源を確保できるのか、それに伴う財政負担が急増するのではないか、さらにロシア、ウクライナからの農産物、希少資源の輸入が滞ることによる影響がどの程度大きくなるのか、などが懸念材料となっています。

過去10年間のユーロの値動き (チャート)

2008年9月のリーマンショック時に、ドイツやフランスなどの欧州金融機関の信用不安が高まったことでユーロはそれまでの150円台から急落、さらにギリシャ債務危機の発生などを受けて、2011年末には1ユーロ=100円を割り込みました。その後2012年7月にIMF (国際通貨基金) 、EU、ECBのトロイカ体制によるギリシャ支援が決まると、ユーロは反発に転じ、アベノミクスによる円安と相まって2014年末には1ユーロ=150円目前まで大幅に上昇しました。しかしECBによる量的緩和策の導入 (2015年) 、英国のEU離脱問題 (2016年) といったユーロ安要因から再びユーロ売りが強まって2016年半ばに1ユーロ=110円割れまでユーロ安が進みました。
ところが、米トランプ政権の誕生で積極財政に期待が高まると、リスク選好の動きが強まって円安が進み、2018年初めには1ユーロ=135円を超えるユーロ高となりました。しかし英国の合意なきEU離脱の懸念や、ユーロ圏の景気への不安などが高まるとユーロは反落、2020年前半には再び1ユーロ=115円割れまで下落しました。
2021年後半から、米国の金融政策の転換が日本経済に与える影響を懸念して円売りが強まる中、ユーロは買い戻され、米国を中心とした株式相場の上昇を受けたリスク選好の動きも手伝ってユーロは再び1ユーロ=130円前後を回復しました。その後ロシアによるウクライナ侵攻を受けて一時ユーロ売りが強まる場面もありましたが、米国、ユーロ圏が金融引き締めを開始しているのに対して、日銀が金融緩和の継続を表明していたことによる全般的な円安の進行から、2022年10月には2014年12月以来となる1ユーロ=148円台まで上昇しました。その後も全般的な円安を背景にユーロは強含みに推移して、2023年11月には1ユーロ=164円台まで上昇しました。2024年にかけて、日銀のゼロ金利政策解除の思惑に相場が右往左往する展開となって1ユーロ=153円台まで下落する場面もありましたが、日経平均が史上最高値の40,000円台に乗せる中、リスク選好の動きで円安が進み2024年4月には171円台まで上昇しました。4月末、急速な円安の動きに歯止めをかけようと財務省・日銀による円買い (対米ドル) の為替介入が行われたことからいったんは164円台まで反落する場面もありましたが、その後は堅調な動きとなっています。
日銀が2024年3月に2013年から続けてきた異次元緩和を終了し、約17年ぶりとなる利上げを決定した一方、ECBは2024年6月にインフレ状況の改善と景気低迷を理由に約5年ぶりの利下げを実施しました。その結果2022年7月にECBが利上げを開始して以来拡大する一方だった日欧の金利差が縮小方向に動き始めました。しかしながら日銀、ECBともに今後の利上げ、利下げに関して慎重な姿勢を強調していることから、金利差の縮小に伴う急激なユーロ安円高局面に陥る可能性は低いものと予想されています。またECBの利下げでユーロ圏の景気が上向けば、再びユーロ買いが強まる可能性もあります。

ユーロ/円チャート (10年)

金利情報

ユーロ(EUR)

普通預金 0.40 %
普通預金 定期預金
お預入期間
1ヶ月 3ヶ月 6ヶ月 1年 2年 3年
0.20 %
円から
7.00 % 1.60 % 2.10 % 1.80 %
外貨
から
5万ユーロ
未満
1.50 % 1.60 % 2.10 % 1.80 % - -
5万ユーロ
以上
10万ユーロ
未満
1.80 % 1.90 % 2.40 % 2.10 % - -
10万ユーロ
以上
20万ユーロ
未満
2.00 % 2.10 % 2.60 % 2.30 % - -
20万ユーロ
以上
30万ユーロ
未満
2.20 % 2.30 % 2.80 % 2.50 % - -
30万ユーロ
以上
2.50 % 2.60 % 3.10 % 2.80 % - -

※個人のお客さま向け  2024年10月23日現在

金利は年利・税引前の表示です (個人のお客さまの税引後の利率は、20.315% (国税15.315% [復興特別所得税を含む] 、地方税5%) の源泉徴収税率で計算しています。

注目指標はこれ !

ZEW景況感調査
ユーロ圏最大の経済規模を誇るドイツの景況感はユーロ圏全般に影響をおよぼします。
ドイツの民間調査会社ZEW (欧州経済研究センター) が発表する同国の景気先行指数です。向こう6ヶ月間の景気見通しに関する経済アナリストへの調査に基づく指数で、50を超えると景気がよいと判断されます。
<発表時期>

毎月中旬の日本時間19:00ごろ (夏時間は18:00ごろ)

IFO景況指数
ドイツの公的研究機関IFO経済研究所が同国企業約7,000社を対象に行った調査に基づく景気先行指数です。
<発表時期>

毎月下旬の日本時間18:00ごろ (夏時間は17:00ごろ)

ユーロ圏消費者物価指数 (CPI)
欧州連合統計局がユーロ加盟国の消費者が購入する各種の消費やサービスの小売価格の変動を調査・算出するものです。ECBはインフレが鎮静しなかった場合には大幅な利上げを行う意向を示していて、金融政策の方向性を知るために欠かせない指標として注目されています。
<発表時期>

前月速報値が毎月上旬の日本時間19:00ごろ (夏時間は18:00ごろ)

失業率
労働市場の好調・不調を見る上で注目する指標の1つ。失業率の変動は為替相場にも影響をおよぼすことがあります。
<発表時期>

ユーロ圏:毎月上旬の日本時間19:00ごろ (夏時間は18:00ごろ)

ドイツ:毎月20日ごろの日本時間18:00ごろ (夏時間は17:00ごろ)

フランス:毎月下旬の日本時間15:00ごろ (夏時間は14:00ごろ)

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