通貨の特徴と選び方
通貨の特徴と選び方
カナダドル:最新金利と通貨の特性
外貨預金のお預入れに当たっては、各通貨の特徴や傾向を理解することが大切です。
通貨選択の際の参考にしてください。
- こんなお客さまにおすすめ
- 基軸通貨以外にも預金の国際分散を図りたい方
資源国通貨の取引をしたい方
- 情報の豊富さ
- 通貨の安定性
- 金利
米国との経済的つながりが強い資源国
カナダはロシアに次ぐ広大な国土を持ち、自然豊かで風光明媚、そして天然ガスやウランなど鉱物資源にも恵まれています。特に原油の埋蔵量・生産量が豊富でその輸出量は先進国トップクラス。電気自動車向け電池材料としても注目されるニッケルの生産でも世界有数です。そのため、原油などの資源価格が上がるとカナダドルも上がり、資源価格が下がるとカナダドルも下がりやすくなる傾向があります。
米国との国境にまたがる五大湖周辺は自動車産業の拠点。カナダの自動車製造の歴史は100年以上におよびます。世界的に自動車産業が好調なときは、カナダ経済もその恩恵を受けやすい傾向があります。現在は自動車の大変革期と言われますが、カナダ政府もEVに補助金を出したり、電池工場を誘致したりと積極的で、2035年までにすべての新車について排出ガスを一切出さないZEV (Zero Emission Vehicle) とすることを目標としています。
英国連邦のひとつですが、国境を接する米国と歴史的に経済的なつながりを強く持っています。1994年の北米自由貿易協定 (*NAFTA) 発効で、その関係はさらに緊密になりました。最大の貿易相手国は米国で、輸出の5分の4以上、輸入の約3分の2を占めています。そのため、米国経済の影響を受けやすく、米国経済が好調であればカナダ経済も上向きやすく、米国経済が低迷すればカナダ経済も下振れリスクが高まります。
カナダドル相場の行方を見るうえでは、米国経済の動向を注視することも大切です。
また、金融政策ではカナダ中央銀行は2022年3月に0.25ポイントの利上げで0.5%とし低金利政策から脱却、その後2023年1月にかけて8回連続して利上げを行い、政策金利を計4.25ポイント引き上げました。2023年3月の会合では政策金利を4.5%で据え置きとし、いったん利上げに終止符を打ちましたが、6月には「消費者物価指数 (CPI) 上昇率が目標の2%を大幅に上回って推移するという懸念が強まった」と、3会合ぶりに利上げを決定。政策金利は22年ぶりの高水準となる4.75%となりました。今後についての明確な声明はなく、追加の利上げがあるのかどうか、注目する必要があります。
外交面では中国との緊張関係が続く一方、インドとの貿易協定については2023年中にも初期合意を目指すと発表しています。2022年にトルドー政権が発表した「インド太平洋戦略」は大きな転換点だったといえるでしょう。
*なお、NAFTAは2020年7月1日、カナダでの名称「Canada-United States-Mexico Agreement, CUSMA」として新たな形で発効しました。
通貨の特性
資源国通貨の1つであるだけにカナダドルの相場は、資源価格の影響を受けやすいのが大きな特徴です。特に原油価格との連動性が非常に高くなっています。
重要な輸出品目である原油の価格が下落すると、カナダの貿易は落ち込み、景気が冷え込んで消費者物価に下落圧力がかかりやすくなります。これに対処するため中央銀行であるカナダ銀行 (BOC) が緩和的な金融政策 (利下げなど) を取ると、カナダドル相場が弱含むこともあります。
逆にOPECプラスの減産などで原油価格が上昇し物価が上昇すると利上げの思惑が高まりカナダドルにも上昇圧力がかかることがあります。
また、カナダドル相場の行方を探るうえでは、米国の金利動向や経済状況を見ておく必要もあります。
金融政策はBOCが運営。米国との経済の連動性が高いため、金融政策は米国FRB (連邦準備制度理事会、中央銀行に相当) の先手を打つかたちになることが知られています。米国の金融政策の先行指標として見ることもできます。
過去10年間のカナダドルの値動き (チャート)
原油価格の影響を受けやすいカナダドル / 円相場は、国際的な原油価格である米国のWTIに連動する傾向があります。イラン・イラク情勢の流動化や投機マネーの流入でWTIが1バレル90ドル台から140ドル台まで急騰した2006年から2008年前半にかけては、カナダドルの対円相場も1カナダドル=100円台から120円台まで大きく上昇しました。しかし、2008年9月にリーマンショックが発生すると、WTIが2009年初めにかけて1バレル140ドルから30ドル台まで大暴落。米国景気の冷え込み、金融不安も相まって原油価格と歩調を合わせるようにカナダドル / 円相場も1カナダドル=120円台から半値の60円台まで急落しました。その後は、WTIの上昇とともにカナダドル高・円安基調が続きますが、2015年以降は、前年後半からの原油価格の急落とともに、再び円高・カナダドル安に転じています。原油安による国内経済の停滞を受けて、カナダ銀行が2015年1月に政策金利を引き下げたこともカナダドル安に拍車を掛けました。
直近では、インフレ対応のため2022年3月に利上げを開始、4月に0.5%の大幅利上げを行い、政府債の償還後の再投資を4月25日に停止、いわゆる量的引き締め (QT) も開始しました。これを受けてカナダドルは騰勢を強め2022年9月11日には、1カナダドル=110円台後半まで上昇しました。
原油価格は6月にピークをつけて大きく反落していたことから、昨年後半からは金融政策との連動性が、より高かったことがわかります。その後BOCが10月に利上げ幅を縮小すると2023年1月にかけて95円程度まで下落。4月にも同程度の安値を付けた後はカナダドルの上昇傾向が続き、7月現在1カナダドル=109円前後で推移しています。
金利情報
カナダドル (CAD)
普通預金 | 定期預金 | ||||||
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お預入期間 | |||||||
1ヶ月 | 3ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | 2年 | 3年 | ||
1.00 % | 円から | 7.00 % | 2.90 % | 3.20 % | 3.70 % | - | - |
外貨から | 2.80 % | 2.90 % | 3.20 % | 3.70 % | - | - |
※個人のお客さま向け 2024年05月13日現在
普通預金 | 1.00 % |
---|
定期預金 | ||
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お預入期間 | 円から | 外貨から |
1ヶ月 | 7.00 % | 2.80 % |
3ヶ月 | 2.90 % | 2.90 % |
6ヶ月 | 3.20 % | 3.20 % |
1年 | 3.70 % | 3.70 % |
2年 | - | - |
3年 | - | - |
※個人のお客さま向け 2024年05月13日現在
注目指標はこれ !
- 消費者物価指数 (CPI)
- インフレを判断するうえで注目される指標であり、金融政策の方向性に影響を与えます。カナダ銀行は年2%のインフレ目標を設定し、金融政策を行っています。
- <発表時期>
- 毎月20日ごろの日本時間22:30 (夏時間は21:30)
- 失業率
- 経済状態を測る重要指標で、金融政策に影響を与えます。
米ドルほど顕著ではありませんが、失業率の変動はカナダドル相場に影響することがあります。
- <発表時期>
- 毎月第1金曜日の日本時間22:30ごろ (夏時間は21:30ごろ)
- GDP (国内総生産)
- カナダのGDP統計は四半期ごとに発表されます。
- <発表時期>
- 2・5・8・11月下旬の日本時間22:30ごろ (夏時間は21:30ごろ)
- 金融政策報告書
- 指標ではありませんが、四半期に一度、金融政策の発表と同時に公表されます。
成長率やインフレの見通しが示されます。
- <発表時期>
- 1・4・7・10月下旬
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