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今日からでも始められる生前整理 〜「モノ」「お金」「デジタル情報」のお片付け〜

押し入れにしまってある不用品、通帳が見つからない口座、増え続けるインターネット上のアカウント、これらが自分の死後どうなるのか、気になったことはないでしょうか。

相続のことを具体的に考えるのはまだ早くても、いつかくるその日に向けて、今日からでも始められる生前整理はあります。そこで今回は、「モノ」「お金」「デジタル情報」の項目に分けて、簡単にできる生前整理の方法をご紹介します。

自分にはまだ早いと感じる世代の方も、親世代が気にしている頃かもしれません。お互いに知っておいたほうが良いことも多いので、親子で話し合って整理を進めると良い場合も。

大和ネクスト銀行では、大切なお金に関するご相談も、銀行代理店である大和証券の窓口でしっかりサポート。より豊かな人生を実現するためのお手伝いをしていきます。

はじめに 今日からでも始められる生前整理 はじめに 今日からでも始められる生前整理

ポイント 早めに取り組んで気持ちを楽にする。これからの生活をよりシンプルに楽しもう ! ポイント 早めに取り組んで気持ちを楽にする。これからの生活をよりシンプルに楽しもう !

年齢を重ねていくにつれ、自身の老後や死後のことを考える機会が増えていくものです。
そこで気を煩わせるのが、モノやお金の整理。死んだ後のこととはいえ、大量にある不用品の処分や、契約関連の処理を遺族に任せるのは忍びないものです。また最近では、インターネット上のアカウントやスマートフォンに保存したデータなど、デジタル情報の扱いについても考えておかなくてはいけません。

いつかくるその日がまだ先であるほど、早めに生前整理に取り組んでおけば、残りの人生で余計な問題に悩まされる日々は少なく済むはずです。きちんと整理されている旨を、相続人に将来なる可能性のある親族などにそれとなく伝えておけば、相手もいくらか安心できるものです。

そして、数多くのモノやサービスが溢れる昨今、本当に必要なモノだけに囲まれてこれからの暮らしをシンプルに楽しむためにも、生前整理は有効です。早速今日から、生前整理を始めてみませんか ?

早めに生前整理をするメリット
  • 気がかりなことは早めの対策で気分もスッキリ
  • 元気なうちにやっておいた方が作業ははかどる
  • 不用品のないシンプルな暮らしが楽しめる

その1 モノ (思い出の品、不用品など) の生前整理 その1 モノ (思い出の品、不用品など) の生前整理

ポイント 遺族に残すと手間&処分費用でダブルの負担に ! 今から始めればプラスにも ? ポイント 遺族に残すと手間&処分費用でダブルの負担に ! 今から始めればプラスにも ?

生前整理に対して、死後行われるモノの整理は、「遺品整理」と呼ばれます。遺品整理を専門の業者に依頼した場合、例えば1DKで5万円前後、3LDKで20万円前後といった金額がかかります。かといって、遺族自身が作業するにも大変な手間になりますし、粗大ゴミの処分にもある程度の費用はかかります。

早めにモノの生前整理をしておくことで、死後の遺族にかける負担や費用を減らすことができる上に、価値のあるものを売っておけば、その分プラスにできることもあります。
モノを減らせば広い家に住む必要もなくなり、思い切ってコンパクトな住居に引っ越すという選択肢を選ぶことも可能になってくるでしょう。

モノを減らすためのコツ
一定期間 (例えば1年などと自身ではっきり決める) 使っておらず、思い入れのないものを処分しましょう。一度に全てやろうとしても難しいので、この部屋だけ、寝具だけ、冬物衣類だけ、など絞り込んで実行していきます。すると気持ちが楽になり、終わるたびに達成感も味わえます。
片付けの際に、思い入れのあるもの、価値の高そうなものを見つけたら、あらかじめ決めておいた保管スペースに移しておきましょう。子供に残したいものは、あらかじめ渡しておいたり、どんな品があるのか伝えておいたりします。
今はフリマサービスを使っての個人間売買もしやすいため、価値のあるものは直接売ってしまうという手段もとれます。フリマサービスの「メルカリ」によると、2018年度の平均月間売上額が一番多かったのは60代以上とか。 (60代以上の) 男性では「PC・タブレット」「ゴルフ」「時計」の売上額、女性は「バッグ」「浴衣・着物」「食器」の売上額が上位となっているそうです。
モノを減らすためのコツ (まとめ)
  • 一定期間使っていないモノは処分しよう (思い入れのあるものは別)
  • 片付ける場所や種類を限定し、無理なく始めよう
  • 大切なモノを保管するスペースを決めておこう
  • 価値のあるモノは自分で直接売ってしまうのもあり
処分方法の種類
要らないモノを処分するには、以下のような方法があります。
処分方法 特徴
自治体の
粗大ゴミ
比較的安価で回収してもらえます。自宅前や粗大ゴミ置き場など、指定された収集所まで自分で運び出す必要はあり。また、依頼から回収までに数日程度かかることが一般的です。
不用品回収
業者
自宅からトラックまでの運搬も対応してくれることが多く、最短当日に回収してもらえます。費用は数千円~と、自治体の粗大ゴミ回収よりも高額になります。
リサイクル
ショップ
自宅まで見積もりや回収に来てもらえる「出張買取」が便利です。不用品の状態によっては、買取できないモノも。その場合は、処分手数料を支払って回収してもらうことも可能です。
ネット販売 フリマアプリやネットオークションなどを利用して、自分で販売する人が増えています。購入者とのやり取りや梱包、発送などに対応する必要があります。

その2 お金 (口座、タンス預金) の生前整理 その2 お金 (口座、タンス預金) の生前整理

ポイント 口座の数を絞って、タンス預金も整理。忘れている口座がないかも調べよう ! ポイント 口座の数を絞って、タンス預金も整理。忘れている口座がないかも調べよう !

銀行口座、証券口座や現金のありかは整理されていますか ? 口座が多過ぎる場合はまとめて、現金がタンスなどにしまわれている場合は、口座に入金するか、少なくとも一か所にまとめましょう。

また、契約している保険の内容を改めて見直し、保険証券や関連書類はわかりやすくファイリングしておきます。死亡保険金は受取人が連絡や手続きをすることになりますが、生命保険に入っていることに受取人が気付かなければ、最悪の場合保険金も支払われないままになってしまいます。

口座のまとめ方や解約方法
まず、どれだけの口座を保有しているか整理します。子供時代に親が作った口座、アルバイト時の給与振込用口座、就職時の給与振込口座、結婚後に作った口座や資産運用のために作った口座など、人生の転機ごとに作成した口座がないか振り返ってみましょう。
そして全ての口座を書き出し、今後の用途に限って、必要な口座を絞り込みます。口座をまとめる際には、銀行や証券会社に相続関係の相談もしておくと安心です。
不要となった口座は、ほぼ全額を引き出すか、解約する方法があります。解約の方が、遺族に余計な手間はかけなくて済むでしょう。口座の解約経験はない方も多いかもしれませんが、それほど難しい手続きではありません。
銀行口座の解約について
解約に必要な手続き 本人が銀行窓口にて手続きをすることが一般的ですが、郵送やインターネットで手続きできる銀行もあります。
解約に必要な書類等
  • 通帳、キャッシュカード
  • 届出印
  • 本人確認書類 (運転免許証、各種健康保険証など)
  • 各銀行が用意する所定の用紙
解約にあたっての注意点 定期預金の中途解約は、満期での解約に比べ利率が低くなります。
解約後にまた口座を開設したくなっても、何らかの理由で開設を断られてしまう可能性があります。
証券口座の解約について
解約に必要な手続き 窓口、もしくは郵送での手続きが一般的です。インターネットで解約できる場合もあります。
解約に必要な書類等
  • 届出印
  • 各証券会社が用意する所定の用紙
解約にあたっての注意点 株式などの証券残高、現金残高などをあらかじめ清算する必要があります。
  • あくまで一例で、銀行や証券会社によって異なります
自分でも覚えていない口座を見つける方法
金融庁によると、休眠預金 (10年以上、入出金などの「移動」がない預貯金) が年1,200億円ほど発生しているそうです。把握はしていて使っていないだけのケースもあるでしょうが、せっかく残高があるのに本人が忘れている口座も無数にあることが推測できます。
通帳やカードを紛失し、口座開設時から住所も変わっていたら、遺族がその存在を発見し相続することは非常に難しくなるでしょう。インターネットバンキングで元々通帳が発行されていないケースもあります。しかし口座開設者自身なら、いくつかの情報や問い合わせにより、忘れていた口座を発見するのも難しくはありません。
口座が見つけられる、いくつかの方法例
  • タンスや書類ケース、昔使っていたカバンの中などに通帳やキャッシュカードがないか確認してみる
  • 電子メールサービスの検索機能を使い「口座」「銀行」「預金」などで検索してみる
    (普段使っていない昔のメールアカウントで登録している可能性も考慮する)
  • 口座を開設した可能性のある銀行に、口座開設時の住所、名前、生年月日などを元に問い合わせてみる

その3 デジタル情報 (データ、アカウント) の生前整理 その3 デジタル情報 (データ、アカウント) の生前整理

ポイント パスワードは伝えておくべき ? 死後の取り扱い方をあらかじめ指定できるサービスも ポイント パスワードは伝えておくべき ? 死後の取り扱い方をあらかじめ指定できるサービスも

インターネットやスマートフォンが普及し、急増するデジタル関連の契約やデータ。それらが自身の死後一体どうなるのか、答えられない人は多いでしょう。こういったデジタル情報は、所有者が死んだ後は「デジタル遺品」と呼ばれ、法整備がまだ十分でない中、どう取り扱えばいいのかと議論になることも多いようです。

例えば普及が進むスマホ決済サービスは、保有金額の上限が100万円程度と、かなりの額になります。昔は冊子のアルバムを残すのが普通だった写真も、スマートフォン端末の中にだけ保存されているのも普通になりました。

生前にアカウント情報を共有してしまえばいいという考えもありますが、サービスによっては「一身専属」が前提で他人との共有が認められなかったり、相続関係のトラブルやセキュリティ上のリスクに発展したりする可能性もあるので、慎重に考える必要があります。

生前整理の一環として、自身のデジタル情報を把握し、死後どうなるのか確かめておきましょう。

デジタル情報の種類と、今日から備えておけること
デジタル情報
の種類
今日から備えておけること
携帯電話や
パソコン本体
  • 生前のパスワード共有はおすすめできません。死後のロック解除も不可と考え、遺族に残したい情報は端末以外の場所に残しておきます。
SNS
  • SNSによっては、死後にアカウントを譲渡するか、削除するか、故人のアカウントとして残しておくかなど、生前に決めておくことができます。例えばFacebookでは、過去の投稿閲覧や思い出のシェアが可能な「追悼アカウント」にするか、完全削除にするかを選べ、「追悼アカウント管理人」の指名もしておけます。
ネット
サービス

(動画配信
サービス、
新聞の
電子版など)
  • 契約しているサービスをリストアップし、遺族が確認できるようにしておきます。
  • 利用規約を読み、死後に余計な支払いが発生しないか確認します。
  • 不要なサービスは解約します (少額のサービスは自身でも忘れがちなので、銀行やクレジットカードの出金明細も確認すること) 。
スマホ決済
サービス
  • 契約しているサービスをリストアップし、遺族が確認できるようにしておきます (アカウント自体は引き継げないサービスが多いものの、残高は、遺族が連絡をすれば振り込んでもらえる場合もあります) 。
データ
(動画や写真など)
  • 紙焼き写真はデータ化しておき、大切な紙焼き写真のみアルバムにまとめ、そのほかは処分します。
  • 共有しておきたいデータをクラウドに保存して、生前から閲覧権限を共有しておきます。
  • 見られたくないデータは、パスワードをかけたフォルダに入れておきます。

今回は、遺言書を書くような、相続関連の手続きについてではなく、あくまでも今日からでも始められる生前整理についてお伝えしました。
それでも「しなくてはいけないことが、結構たくさんあるな」と面倒に感じる方もいるかもしれません。まずは自分が始めやすいところから実行してみましょう。ひとつ実行することで意識が変わり、あれもしておきたい、これもしておきたいとなり、気付けば生前整理を楽しんでいた……となるのが理想です。

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