2026年1月19日
資産運用において、世界経済の見通しは極めて重要だ。特に、2026年は長期化する円安トレンドと日米の金利差が、資産運用戦略の根幹を揺るがす構造的な課題となっている。
円資産が中心の運用では、単にインフレによる購買力低下に直面するだけでなく、高金利の外貨資産との間で決定的な「リターン格差」を被り続ける。この状況下で、リスクを抑えつつ資産効率を高めるには、従来の「外貨預金=為替ヘッジ」という認識をアップデートする必要があるかもしれない。
本記事では、2026年の金利・為替の見通しを踏まえ、外貨預金を「通貨分散」と「金利収益源」の両輪で活用し、長期的な資産効率を最大化する戦略的思考を解説する。
日本とアメリカの金利差は、為替レートを決定づける要因の中でも最重要事項だ。一般的に、金利の高い国の通貨は買われやすく、金利の低い国の通貨は売られやすい傾向にある。日本円は、長らく続いた低金利政策の結果、他国通貨に対して構造的なディスカウント (割引) 状態にあると言える。
日米間の金利差、特に短期金利の差は依然として大きい。これが2026年に入っても続くようだと、円の価値をいっそう押し下げ、円安水準を定着させる可能性がある。日本の長期金利が仮に緩やかに上昇したとしても、米国の高水準な金利と比較すればその差はまだ大きいことを考えると、「円を保有し続けるコスト」は資産運用上、無視できない水準となるかもしれない。
●日銀の利上げペースとFRBの政策の長期見通し
2026年の為替相場を予測する上で、日米の中央銀行である日銀 (日本銀行) とFRB (米連邦準備制度理事会) の政策動向は不可欠な視点だ。
多くの経済見通しでは、FRBはインフレ沈静化に伴い、すでに利下げを開始している。しかし、その利下げペースは経済指標次第で不透明であり、さらに利下げが進んだとしても、FRBの政策金利が日本の政策金利を大きく上回る構図は、2026年中も続く可能性が高い。
一方、日銀は国内のインフレ率や賃金上昇の動向を見ながら、慎重に追加利上げを進めると予想されるが、そのペースは極めて緩やかにならざるを得ないだろう。結果として、日米の金利差は完全に解消されず、ドル円相場は高止まり、または緩やかな円安水準で推移するという見方もできる。
このことは、円を保有している投資家が、他国に比べて低い金利しか得られないという状況が、少なくとも2026年も続くと覚悟すべきことを意味する。
資産を運用する上での現在の最重要課題は、物価上昇と戦い、資産の購買力を維持することだ。しかし、金利差が長期化する環境で、円預金だけで資産を保有し続けることは、リターン面で決定的な機会損失となる。
たとえば、富裕層の消費行動で見れば、高級サービスや海外旅行、輸入高級品など、為替の影響を強く受ける支出が多い。つまり、円安が進行すると、円資産の実質的な購買力が低下し、生活の質を維持するためのコストが増大する。この購買力低下のリスクを補うためには、資産自体が成長するか、より高い収益を生み出す必要がある。
●無視できない「金利差によるリターン格差」
円預金の金利は依然として低水準で、外貨に比べると著しく見劣りする。米ドルの外貨預金や、さらに高金利の通貨建ての預金では、数パーセント台の金利を得られるケースも少なくない。富裕層にとって、この「金利差」は積もれば無視できないリターンの格差となる。
仮に1億円を保有していたとして、円預金と高金利の外貨預金で金利差が3%ある場合、単純計算で年間300万円ものリターン差が生まれる。この差は、単なる「利息」ではなく、「資産が購買力を維持し、インフレと円安に勝つための力」として捉えるべきだ。
特に、数億円規模の資産を保有する富裕層にとって、この金利差は資産全体の資産効率を大きく左右する。為替の変動リスクがあるとはいえ、長期的に見れば、低金利の円に固執することこそが、最大の「リスク」になりかねない。
| 資産クラス | 役割 | 期待されるリターン要素 | 2026年における課題 |
|---|---|---|---|
| 円預金 | 流動性確保、国内支出 | 金利収益は外貨に比べて低水準 | 実質的な購買力の低下、リターン機会の損失 |
| 外貨預金 | 通貨分散、グローバル支出 | 金利収益、為替差益 (変動リスクあり) | 高金利の恩恵を受けやすい構造が続く。ただし、為替変動による元本割れリスクがある |
| 株式・投資信託 | 積極的な成長 | キャピタルゲイン | 市場のボラティリティが高い、元本割れリスク |
資産運用において、株式や投資信託は積極的なリターンを追求する手段だが、元本割れのリスクも高い。一方、外貨預金は預金商品であるため、外貨建て元本は保証されるが、為替変動によって円換算で元本割れする可能性がある。
つまり、この外貨預金を単なる「外貨両替の延長」ではなく、「金利収益を確実にポートフォリオに取り込むための戦略ツール」として活用すべきだ。
具体的な戦略はシンプルだ。当面使用する予定のない円資産の一部を、為替レートの変動を注視しながら、定期的に外貨に交換し、外貨預金として保有し続けることだ。そこで重要になるのは、「円高に戻るのを待つ」という受動的な姿勢ではなく、「金利を稼ぎ続ける」という能動的な姿勢で外貨預金と向き合うことだ。
●米ドルだけでなく「高金利通貨」を分散する意義
外貨預金の対象通貨として、米ドルは最も流動性が高く、世界経済の基軸通貨としての信頼性から依然として中心的な存在だ。しかし、金利収益の最適化を目指すなら、米ドル一辺倒ではない通貨の分散が求められるだろう。
ただし、ユーロ圏はインフレ動向次第で金利を維持する可能性もある一方で、利下げの可能性もある。
とはいえ、通貨を分散することは、特定通貨の急激な下落リスクを軽減し、資産全体の変動度合を下げる効果もある。富裕層の資産防衛は、単に円を外貨に替えることではなく、「世界中の信用度の高い通貨で、リスクとリターンのバランスを取る」ことにある。外貨預金は比較的シンプルな商品ではあるが、為替リスクや手数料負担には注意したい。
2026年の世界経済は、日米金利差の高止まりや、構造的な要因による円安の長期化が大きなテーマとなる。この環境下で、富裕層が円預金に資金を留め置くことは、インフレによる購買力低下と金利差による機会損失という二重のリスクを招く。
外貨預金は、高金利の恩恵を受けながら、資産の「通貨分散」を同時に実現できる堅実な手段だ。2026年は、外貨預金を単なる「通貨のヘッジ」としてではなく、「金利収益源」としても戦略的に活用し、資産効率を高める戦略が不可欠である。円預金で国内の流動性を確保しつつ、外貨預金で金利とグローバルな購買力を追求することが、長期的な資産防衛と資産成長を両立させる鍵となるだろう。
(提供:株式会社ZUU)