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2025年12月24日

「世界」を視野に入れる時代の子育て 子どもの英語教育から広がる選択肢──通貨を分けて持つ意味

「世界」を視野に入れる時代の子育て 子どもの英語教育から広がる選択肢──通貨を分けて持つ意味
(写真=GreenOptix / stock.adobe.com)

世界で活躍できる力を身につけてほしい。そう願うのは、子どもの将来に積極的に投資する親にとって、自然な思いかもしれない。都心を中心に今、インターナショナルスクールや英語のイマージョン教育 (※) に注目が集まり、早期からグローバル教育に高い関心を寄せる家庭が増えているという。

(※) 教科を外国語で学ぶことにより、自然な形で語学力を習得する教育方法

しかし、そうした教育の選択肢が増えるにつれて、親たちにとって新たな課題も浮上する。それは教育資金の準備だ。特に、海外留学やインターナショナルスクールへの進学など、将来的に外貨建ての費用が必要になる可能性があり、これまでの「円だけ」の教育資金準備では、思い描く将来の選択肢を狭めてしまうかもしれない。

「教育」という名の長期投資を成功させるためには、日本の金利が低い現状を踏まえ、資産を円と外貨に分散して持つことが、いざという時の「選択の自由」を守る鍵となる。この記事では、グローバル化が進む子どもの教育において、通貨を分けて持つことの意義を解説する。

広がるインターナショナル教育の需要

都心で進む教育の国際化と外貨建て費用の背景

今、日本の教育現場では、大きな変化が起こっている。幼少期から英語で主要科目を学ぶインターナショナルスクールや、英語学習に特化したプリスクール、国内大学でも英語での授業を増やす国際系学部が人気を集めるなど、教育の国際化は急速に進んでいる。
この背景には、グローバル社会で生き抜くために「英語力」や「異文化理解力」が必須であるという認識の広がりがある。特に、子どもの教育に熱心な親たちは、従来の受験偏重型教育だけでなく、子どもの個性を伸ばし、将来の可能性を最大限に広げる教育を求めている。

将来の進路として海外大学への進学や、国内の国際的な教育機関への進学を視野に入れると、必要となる資金も大きく変わってくる。

グローバル教育にかかる費用の通貨別内訳
費用項目 進学先 主な支払通貨 通貨リスク要因 詳細
海外大学の学費・寮費 米国、カナダ、英国、欧州など 外貨建て 為替変動リスク大 支払額が外貨で固定されるため、送金時の円安が費用を大幅に押し上げる。
海外での生活費 留学先全般 外貨建て 為替変動リスク大 仕送りや現地で引き出す資金は、その都度、為替レートの影響を受ける。
国内インターナショナルスクールの学費 国内のインター校 円建て、または一部外貨 間接的な為替リスクあり 学費は円建てが基本だが、カリキュラム使用料や海外本部へのロイヤリティなどが外貨建てのため、学校側が円安時に学費を値上げする要因となる。
留学の渡航費・保険料 留学先全般 円建て・外貨建て混在 為替変動リスクあり 航空券は円建てが多いが、海外旅行保険やビザ申請費用の一部は外貨建ての場合がある。

教育の国際化は、子どもの将来の選択肢を広げる一方で、教育資金の準備に「通貨リスク」という新たな視点をもたらしている。たとえ国内のインターナショナルスクールの学費でも、通貨リスクの影響から免れるわけではない点にも注意が必要だ。

教育資金と通貨リスク

円だけの準備が将来の柔軟性を狭める点を解説

日本の銀行の円預金は、元本が保証されているという安心感がある。しかし、超低金利が長期間続く現状では、資産を大きく増やすことは難しく、特に子どもの教育資金のような長期的な準備においては、為替変動のリスクが生じる。

将来、お子さんが「アメリカの大学に進学したい」「カナダでMBAを取りたい」といった夢を持ったとき、必要となる学費は現地通貨、例えば米ドルやカナダドルで決まる。その際、もし親の手元にある教育資金が円だけだった場合、どうなるだろうか。

避けたい「円安の悲劇」

もし進学のタイミングで急激な円安が進んでいた場合、為替レートの影響で、必要な円資金が大幅に増えてしまう。わかりやすい例として、10万米ドルの学費が必要だと仮定しよう。

項目 円高時 (1ドル=100円) 円安時 (1ドル=150円) 差額
ドル建ての費用 10万ドル 10万ドル
円建ての費用 1,000万円 1,500万円 500万円増

為替変動一つで、必要な資金が500万円も増加する可能性があるのだ。

こうした事態は、資金計画に大きな影響を与え、最悪の場合、十分な資金を準備していたとしても「この円安では送金が難しい」と判断せざるを得ず、子どもの学びの機会を制限したり、進学を断念したりする可能性を生じかねない。教育の選択肢が広がるほど、為替リスクという見えないコストが重くのしかかることになる。

教育資金の準備において、円資産だけを持つことは、「為替変動というコントロールできない要因によって、子どもの将来の選択肢が制約されるリスク」を内包していると言えるのだ。長期的な視点で見ると、この柔軟性の欠如こそが、最も避けたいリスクである。

外貨預金で未来の選択肢を確保

教育とキャリアの自由度を守る方法を提示

子どもの教育は、まさに「未来への投資」だ。この大切な投資の自由度と柔軟性を最大限に守るために、親世代が今できることが「教育資金に外貨を組み込むこと」である。

外貨預金には、円預金よりも相対的に高い金利が適用される傾向がある (外貨や時期によって異なる) が、教育資金準備の観点から最大のメリットは「通貨分散」によるリスクヘッジ効果だ。

通貨を分けて持つことの具体的なメリット

1. 為替変動リスクの軽減
将来的に外貨建ての費用が必要になることがわかっている場合、必要な外貨をあらかじめ円安前のタイミングで準備しておくことができる。外貨のまま保有していれば、進学時に円安が進んでも、必要な外貨額は手元にあるため、為替に悩まされることなく学費を支払うことができる。これは「将来、必ず必要となる外貨コストをロックする」ための防御策となる。

2. 好金利での効率的な資産形成 (複利効果の期待)
外貨預金は日本の円預金と比べて金利が高く、米ドル、ユーロ、豪ドルなど豊富な通貨ラインナップが魅力だ。高金利での運用で教育資金をより効率的に増やせる可能性もある。利息が再び元金に組み入れられる「複利効果」も、長期的な教育資金準備においては大きな味方となる。

3. 教育とキャリアの自由度を守る
外貨という選択肢を持つことで、お子さんが将来、「海外の大学に進学する」「海外でのキャリアを選択する」といった、グローバルな夢を抱いたとき、資金面でスムーズに後押しできる。教育は「未来への投資」であり、通貨を分けて持つことで、資金計画が為替に左右されず、子どもの選択肢を広げられる。円と外貨の両立が、次世代への安心につながるのだ。

教育資金の長期積立における「外貨積立」の有効性

将来の外貨建て費用に備えるため、教育資金の長期積立において有効な手法の一つは外貨積立だ。この大きな特徴は、毎月、または定期的に一定額の円資金で外貨を自動的に買い付けていく点にある。これにより、以下のメリットが期待できる。

ドル・コスト平均法によるリスク分散

為替レートが高い時は少量の外貨を、安い時は多量の外貨を購入することになり、結果的に外貨の平均取得単価を平準化するメリットが期待できる。長期にわたり、為替の変動に一喜一憂することなく、計画的に外貨を積み立てることが可能だ。

コストの効率化

金融機関によっては、積立時の為替スプレッド (為替手数料) を優遇しているケースがある。これにより、取引コストを抑えながら、効率よく外貨を積み立てることが可能になる。

子どもの夢を支えるために、今こそ、あなたの資産に「外貨」という新たな柱を加え、未来の選択肢を確保する時である。円と外貨の両立こそが、予測不能な未来において、子どもの教育とキャリアの自由度を守るための賢い戦略となるだろう。

(提供:株式会社ZUU)

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