2025年12月16日
夏休みの休暇、待ちに待った海外旅行。現地の高級ホテルにチェックインし、レストランで食事を終え、カードの明細を見て少し驚く。あれ、たったこれだけでこんなに ?
旅先でショッピングをしても免税手続きをしているのに割高に感じる。日本では普通だったはずの金額が、現地通貨では想像以上の金額になっている。そう、これが、私たちが肌で感じる「円安」のリアルだ。
海外旅行は、私たちにとって非日常の楽しみであり、豊かな時間だ。しかし、その非日常の裏側には、私たちの資産に静かに、そして確実に影響を及ぼしている現実がある。単なる「旅のコスト」に留まらない、円安が持つ本当の姿について考えてみよう。
海外旅行の際に、私たちが円安を実感する場面は数多くある。例えば、1ドルが100円だった頃は、100ドルの買い物は1万円だった。しかし、1ドルが150円になれば、同じ買い物をするのに1万5000円必要になる。この5000円の差は、単なる数字の変動ではなく、私たちの「円」という通貨の力が、相対的に弱まっていることを意味する。この傾向は、日本が少子高齢化や財政赤字といった課題を抱えていることとも無関係ではない。円の価値は、決して絶対的なものではなく、世界の経済状況の中で常に変動しているのだ。
特に、ラグジュアリーな体験を求めて海外へ行くことが多い方々にとって、この円安の影響はより深刻に感じられるだろう。以前は躊躇なく楽しめていた高級レストランでの食事や、憧れのブランド品。それらが今、円換算では驚くほどの価格になっていないだろうか。 この「円安」は、旅先での買い物や食事だけでなく、私たちの資産にも大きな影響を与えている。日本円だけで資産を保有している場合、あなたの資産もまた、海外旅行の買い物と同じように、購買力を失いつつある可能性がある。
海外旅行でのコスト増は、海外のサービスやモノを「円」で買う際の価格の上昇だ。これは、資産形成においても同じことが言える。もし、将来的に海外で生活したい、お子さまの海外留学費用に充てたい、といった目標がある場合、円安が進行すれば、その目標を達成するために必要な「円」の金額はどんどん膨らんでいく。
つまり、円安は「旅のコスト」という短期的な問題ではなく、あなたの資産が持つ「将来的な購買力」という長期的な問題なのだ。この見えないリスクから資産を守るためには、円という単一の通貨に頼るのではなく、資産を国内外に分散させる視点を持つことが重要だ。
円だけに資産を集中させることは、いわば、天気予報が晴れの日だけを想定して傘を持たないようなもの。いつ嵐が来るかわからない現代において、複数の資産に分散させておくことは、資産を予期せぬリスクから守るための賢明な戦略と言える。
円安のリスクを回避し、資産を守るための具体的な手段の一つが「外貨預金」だ。外貨預金は、単なる資産運用商品ではなく、あなたの資産に「多様性」と「国際性」をもたらす重要なツールとなる。
| 観点 | 円預金のみで保有した場合 | 外貨預金を加えた場合 |
|---|---|---|
| 為替変動リスク | 円安による資産価値の目減りリスクを直接受ける | 複数の通貨で分散することでリスクを軽減する |
| インフレヘッジ | 国内のインフレによって購買力が低下する | 外貨の価値で購買力を維持できる可能性がある |
| 金利収入 | 低金利で推移する日本の金利に依存する | 日本よりも高金利の通貨でより高い金利収入を得られる可能性がある |
もちろん、外貨預金には為替変動リスクが伴う。円高になれば、円換算での価値は目減りする。しかし、このリスクを完全に避けるのではなく、自身の資産目標やライフプランに合わせて、円と外貨のバランスを調整することが賢明な付き合い方だ。
大切なのは、円預金で流動性の高い資産を確保しつつ、外貨預金で将来の目標に向けた資産を形成するという考え方。外貨の金利が上昇したり円安が進行したりすると、外貨建て資産の価値が上がり、為替変動によって資産が増える可能性がある。
次の海外旅行を計画する際は、ぜひ「円安」という現実をただ受け入れるだけでなく、資産形成の視点から旅を眺めてみてもいい。旅先で手にした外貨が、将来のあなたの資産を強くする「種」となるかもしれないからだ。旅の体験から得た気づきを、資産形成に活かすこと。ちょっとしたことに見えるかもしれないが、人生をより豊かにする賢い選択になるだろう。
海外旅行に行く理由は人それぞれだ。リフレッシュのため、新しい文化に触れるため、自己成長のため。目的のために時間とお金を費やすことは、人生を豊かにする上で非常に重要だ。
資産形成も同じだ。お金をただ増やすことが目的ではない。将来の不安をなくし、本当にやりたいことや夢を叶えるために、資産を育てるのだ。海外旅行で円安を感じたその瞬間を、自分自身の資産について考えるきっかけにしてみるのはどうだろう。
(提供:株式会社ZUU)