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2025年10月29日

新NISA時代に役立つ「世代別資産運用」ポートフォリオ戦略

新NISA時代に役立つ「世代別資産運用」ポートフォリオ戦略
(写真=buritora / stock.adobe.com)

新NISA制度が始まって約2年。投資家には、世代ごとのリスク許容度に応じた資産運用が求められている。非課税枠の拡大と無期限運用という新NISAのメリットを最大限活かしながら円預金と外貨預金を組み入れた、「世代別ポートフォリオ」を提案したい。

新NISA制度の特徴と資産運用へのインパクト

新NISA制度で変わったポイントとは

新NISAは従来のNISAに比べて非課税保有限度額が拡大し、非課税保有期間が無期限となった。これにより、投資家はより長期的かつ安定的な運用が可能になり、将来的な資産形成の幅が広がった。さらに、投資対象の拡大によってより多様な商品から運用プランを選べるようになり、税制面のメリットを享受しながら資産形成の自由度が増している。

世代別資産運用が必要な理由

資産運用には、投資家の年齢や生活環境に応じたリスク許容度がある。一般的に、若い世代ほどリスクを許容できるために積極的な投資が可能だが、年齢が上がるにつれて保守的な運用が求められる。これは将来的な収入の変化やライフイベントに伴う支出増など、世代ごとに異なるニーズに対応するためだ。年齢に応じた適切なポートフォリオを構築することが、資産形成成功の鍵となる。

20~30代:長期成長を狙った積極的運用

若年層が取るべきリスクと成長資産の選び方

20~30代は資産形成のための時間が十分にあるため、高いリターンを狙った積極的な投資が可能だ。将来的な収入増を見込み、多少リスクの高い成長性のある資産に投資比率を高めることで、資産拡大のチャンスを広げられる。長期運用が可能なため、複利効果も最大限活かせる。

円預金と外貨資産の組み合わせでリスク分散

たとえば、円資産だけでなく、米ドルやユーロなどの外貨資産も組み入れることで、世界経済の成長を取り込み、円安やインフレリスクに対応できる。外貨預金を通じて海外市場の恩恵を受けることで、円資産のみでは得られないリスクヘッジと分散効果を実現したい。

40~50代:安定と成長を両立させる運用

ミドル世代が注意すべき資産運用ポイント

40~50代は運用期間が徐々に短くなるため、より安定的な運用が求められる。教育費や住宅費などの支出がピークを迎える時期でもあり、資産を守りながら成長も狙う戦略が必要だ。バランス型のポートフォリオを組み、市場変動リスクを適切に管理しつつ資産を増やすことが重要になる。

円・外貨預金による防御型ポートフォリオ構築

防御型ポートフォリオとして円預金の比率を高めつつ、外貨預金を組み合わせることで、流動性を維持しながら運用利回りを高めていく。円高局面では円資産を増やし、円安局面では外貨資産を活用して為替差益を狙うなど、状況に応じた運用が安定的な資産形成につながる。

60代以降:資産保全と安定収益を重視した運用

シニア世代が心がけたい資産保全型の運用戦略

60代以降は資産の保全を最優先に、リスクを最小限に抑えた運用を行う。たとえば、定期預金や低リスク金融商品への比重を高め、元本割れリスクを低減するといった具合だ。もちろん、医療費や介護費用への備えなど、将来支出を見据えた計画的運用も欠かせない。

円預金・外貨預金を活用した低リスク運用

たとえば、円預金を主軸にしつつ外貨預金を補助的に取り入れることで、インフレや為替リスクへの対応が可能になる。安定した先進国通貨を中心に外貨資産を合わせ持つことで、円安時におけるインフレヘッジや複数通貨による安定した利回りを狙える。年金と組み合わせることで、退職後も安心できる資産基盤を築ける。

ポートフォリオの世代別モデルの一例

こうした考え方の指針になっているのが、ライフサイクル投資理論やモダン・ポートフォリオ理論 (MPT) といった長年採用されている経済理論だ。詳細は割愛するが、ライフサイクル投資理論によれば、若いほど人的資本が多くリスク許容度も高いため成長資産を多く持てる一方、年齢が上がるにつれ安全資産を増やし、資産全体の変動を抑える必要があるとしている。また、モダン・ポートフォリオ理論 (MPT) は、値動きの異なる資産を組み合わせることで全体のリスクを下げ、効率的にリターンを得る考え方だ。

こうした理論を参考にポートフォリオの世代別モデルを考えた場合、あくまで一例だが、下記のような配分も考えられるだろう。

ポートフォリオの世代別モデルの一例
世代 成長資産 (株式・株式型投信など) 円預金 外貨預金 配分の理由
20~30代 70% 15% 15% 長期成長を狙う時期。将来の労働収入 (人的資本) が多く、価格変動リスクを許容できるため成長資産が多め。外貨も加えて円安・インフレ対策を行う。
40~50代 50% 25% 25% 安定と成長のバランス期。教育費や住宅費が重くなるため、安全資産を増やしつつ成長資産も半分は維持してリターン確保する。
60代以降 20% 50% 30% 資産保全と安定収益期。退職後は収入が限られるため、円預金を主軸に据え、外貨でインフレ・為替リスクに備える。

定期的な見直しが重要

いかなる経済理論も万能ではない。ポートフォリオの配分は市場変動やライフステージの変化で崩れるものだ。やはりここは定期的に配分の見直しを行うことで、当初のリスク・リターン構造を維持したい。状況に応じた見直しを習慣化し、市場や為替の環境変化に対応することで安定した資産形成につなげていきたいところだ。

(提供:株式会社ZUU)

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