2025年8月29日
「ほかの人はどのような資産を保有しているのか」といったことを知りたい人は、多いのではないだろうか。2025年5月に総務省が公表した「家計調査報告 (貯蓄・負債編) 」で、最新の状況が明らかになった。本記事で紹介するデータと自身の資産構成を照らし合わせ、投資戦略を見直す機会としてほしい。あわせて資産運用の初心者向けに、シニア期に向けた資産形成のリスクに対する考え方も解説する。
総務省は、2025年5月に、毎月実施している「家計調査」における2024年の「貯蓄・負債」の平均結果を発表した。
近年の貯蓄残高は、2018年を起点になだらかな右肩上がりの状況となっているが、この記事では残高というよりも「どのような資産を保有しているか」に焦点を当てる。「2人以上の世帯」における貯蓄の構成は、以下の通りだ。参考までに、5年前の2019年のデータも添えた。
項目 | 2024年 | 2019年 |
---|---|---|
有価証券 | 19.0% | 13.3% |
生命保険など | 17.5% | 19.7% |
定期性預貯金 | 27.1% | 36.7% |
通貨性預貯金 | 34.9% | 28.1% |
その他 (金融機関外) | 1.5% | 2.2% |
出典:総務省統計局「家計調査報告 (貯蓄・負債編) -2024年 (令和6年) 平均結果- (二人以上世帯) 」
2024年時点で最も比率が高かったのは「通貨性預貯金 (普通預金など) 」で34.9%。次いで「定期性預貯金 (定期預金など) 」が27.1%、「有価証券 (株式や債券など) 」が19.0%となっている。
特に注目すべきは、定期性預貯金の割合が大きく減少する一方で、有価証券の比率が明確に上昇している点だ。家計全体においても、リスクを取った資産運用への関心が少しずつ広がりつつあることがうかがえる。超低金利時代を経て、より高いリターンを求めて投資に踏み出す世帯が増えてきたと考えられる。
前述の各資産の名称から、それぞれがどのようなものかは、おおよそ見当がつくだろう。しかし大切なのは、それぞれがどのような資産であり、どの程度のリスクを伴うかを理解することだ。
有価証券
「有価証券」とは、上述した通り株式や債券などのことを指す。債券は、国や企業、自治体などが発行し、保有している間は利子がつく。満期まで保有すれば元本が戻る仕組みだが、預金とは異なり元本保証はない。一方、株式は企業の業績や経済状況の影響を強く受け、価格が大きく変動することもある。元本保証がないうえ、値下がりによる損失の可能性があるため、失敗が許されにくいシニア期の運用では慎重に扱いたい資産だ。
生命保険など
「生命保険など」とは、積立型の生命保険商品などを指す。支払った保険料の一部が積み立てられ、将来的に解約返戻金や満期返戻金として受け取れる仕組みだ。積み立て部分の運用方法によってリスクの程度は異なるが、そもそも保険料の多くは保障に充てられるため、積立に回る割合は限られている。そのため、資産運用の手段としては補助的な位置づけとなるのが一般的だ。
定期性預貯金
「定期性預貯金」とは、定期預金などのことで、一定期間資金を預け入れることで普通預金よりも高めの利子がつく。資金を拘束される代わりに、リターンがやや上乗せされるが、それでも低金利環境では期待できる利回りは限定的だ。ただし、ペイオフ制度の範囲内で元本が保証されているため、安全性を重視した運用を望む人には適した選択肢といえる。
通貨性預貯金
「通貨性預貯金」とは、普通預金などを指し、資産運用のためというよりも「日常の決済用口座」としての性質が強い。例えば普通預金は、利子によるリターンは非常に低いものの、ペイオフ制度の範囲内で元本が保証されており、リスクは極めて小さい。
通貨性預貯金や定期性預貯金は、インフレが加速した際に物価上昇分を金利のリターンで補うのが難しい資産とされてきた。しかし、2024年3月に日銀がゼロ金利政策を解除したことで、日本は「金利がある世界」へと移行しつつあり、円預金や外貨預金の魅力が高まり始めている。そうしたなかで注目したいのが、「日本円×外貨」のハイブリッド預金だ。
インフレや為替リスクの緩和につながる
資金を円と外貨で分けて保有することで、国内外のインフレや金利動向に対する影響を緩和しやすくなる。特に、円安や海外の高金利が続く局面では、外貨預金が実質的な購買力の維持に役立つ場合もある。
円預金の金利上昇でハイブリッド運用にも追い風
従来は、ハイブリッド預金において円預金の金利が低く、外貨預金の足を引っ張る側面があった。しかし、前述の通り円預金の金利も徐々に上昇しており、今ではハイブリッド預金全体としても、金利収入に期待が持てるようになっている。
円預金は暴落時に備える「待機資金」としての役割
円預金は、株式相場が急落したときなどにすぐ動かせる「待機資金」として有効だ。下落局面で株式や投資信託を購入できれば、その後の回復局面で大きなリターンが期待できる。一方、外貨預金は為替変動の影響を受けるため、短期的な機動力には限界があるものの、長期的な分散保有資産として活用できる。
資産運用において大きな利益を狙うことは、常に相応のリスクを伴う。もちろん、リスクを管理しながら高いリターンを目指す姿勢そのものは否定されるべきではない。しかし、シニア期を見据えた資産形成という観点では、過度なリスクを取る手法は現実的ではない。
その点、日本円と外貨を組み合わせたハイブリッド預金は、リスクを抑えながら資産を育てる手段として、将来に備えるうえで検討に値する選択肢といえる。無理のない形で、安定した資産形成を目指したい人にとって、有力な選択肢となるだろう。
(提供:株式会社ZUU)