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2025年6月10日

知っておきたい「育児・介護休業法」の改正点 ! お金の備えはお早めに

知っておきたい「育児・介護休業法」の改正点 ! お金の備えはお早めに
(写真=ELUTAS / stock.adobe.com)

法律や制度は、時代とともに少しずつ見直されている。なかには、人生や生活に深く関わってくるものもあるため、私たちはそうした法律や制度の変化に対して、常にアンテナを張っておくことが必要だ。

本記事では、多くの人が気になる分野の一つである「育児」や「介護」に関する法律、「育児・介護休業法」の改正ポイントについて解説する。また、将来の介護負担を軽減するための準備や、早めに取り組みたい資産形成の考え方についても紹介する。

「育児・介護休業法」の改正

近年、育児や介護といった家族のケアと、日々の仕事をどう両立するかに悩む人が増えている。特に介護は、突然の出来事として訪れることも多く、心の準備がないまま働き方の見直しを迫られるケースも少なくない。一方、子育て期を迎える人々にとっても、働きながら育児を続ける負担は依然として大きく、仕事との両立に不安を感じている人は多い。

育児と介護の双方に課題を抱えるこうした社会状況を背景に、2024年に「育児・介護休業法」が改正された (正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」) 。

同法は、育児や介護と仕事を両立できるような働き方を支援するための法律として、1991年に制定されたものだ。それ以降、たびたび改正が行われてきた。2022年の改正では、主に育児休業に関する内容が中心で、特に男性が育児休業を取得しやすくなることに重点が置かれていた。そして2024年の改正では、育児に加えて介護に関する内容も多く見直されたのが特徴である。

2025年4月からの施行内容

2024年の改正法の施行は、介護関係は2025年4月1日から、育児関係は同日と同年10月1日からに分かれる。2025年4月1日に施行される具体的な内容は、以下の通りだ。

「介護休暇を取得できる労働者」の要件改善

改正前は「週の労働日数が2日以下」と「雇用期間が6ヵ月未満」の労働者が「介護休暇」の対象外になっていた。しかし、改正後は「雇用期間が6ヵ月未満」の項目が撤廃され、「週の労働日数が2日以下」のみとなった。

「介護離職」を防止するための雇用環境の整備

今回の改正で、労働者が「介護休暇」や「仕事と介護の両立を支援する制度」の活用を勤め先に申告しやすい環境を整えることが義務付けられた。具体的には、「介護休暇制度」や「仕事と介護の両立を支援する制度」について、以下の4つのうち、なるべく“複数項目の実施”が求められる。

  • ① 研修の実施
  • ② 相談窓口の設置
  • ③ 実際に同制度を利用した事例に関する情報を収集し、労働者に提供
  • ④ 同制度の利用促進について会社の方針を周知

「介護離職」を防止するための個別周知と意向確認

労働者が「家族の介護を必要とする状況」となったことを会社に申し出た際、会社は「介護休暇制度」や「仕事と介護の両立を支援する制度」を利用するかどうか、労働者にその意思を確認することが義務付けられた。

介護に直面する前の早い段階での情報提供

事業者は、労働者が40歳に達する日 (誕生日前日) の属する年度 (1年間) または、労働者が40歳に達する日の翌日 (誕生日) から1年間の間に「介護休暇制度」や「仕事と介護の両立を支援する制度」の内容や制度の申出先、関連する給付金に関する情報を、労働者に提供することが義務付けられた。

介護のためのテレワーク導入

介護をする労働者に対して、事業者は「在宅勤務等の措置 (テレワーク制度) 」を講ずることが努力義務化された。

また、上記のほか、育児についても以下のような項目が改正された。

  • 子の看護休暇制度の拡大 (対象を「小学校入学」→「小学校3年生が終わるまで」に拡大)
  • 残業免除の対象拡大 (対象を「3歳未満の子ども」→「小学校就学前」に拡大)
  • 育児のためのテレワーク導入 (※努力義務) など

2025年10月1日には、上記に加えて以下のような育児のための制度の導入や変更と、その制度を労働者に周知したり制度の利用について労働者の意志を個別に確認したりすることが事業者に義務付けられる。

  • 始業または終業時刻の繰り上げ、繰り下げ
  • フレックスタイム制度の導入
  • 月10日以上のテレワーク等の導入 など

介護は制度の理解だけでは不十分

今回の改正では、「育児や介護と仕事の両立」をこれまで以上に実現しやすくするための見直しが行われた。働きながら育児や介護に対応できる環境が整うことは、多くの人にとって心強い変化といえるだろう。

ただし、制度が整っても、それだけで問題がすべて解決するわけではない。特に介護では、突発的な出費や長期的な負担が多く、資金の準備が不十分だと、支払いに困ったり生活に影響が出たりすることもある。政府や自治体による助成金や給付金もあるが、対象が限られているなど、すべての費用をまかなえるわけではない。そのため、制度の理解だけではなく、自分自身でも将来に備えた経済的な準備を進めておくことが重要だ。早めの備えは、いざというときの安心につながる。

例えば資産運用は、そうした備えの手段として有効だ。「複利効果」という仕組みを活用すれば、時間の経過とともにお金を効率よく増やすことができる。

「複利効果」のパワー

「複利効果」とは、資産運用で得た利益を元本に組み込み、再び運用することで、時間とともに資産を効率よく増やしていく仕組みだ。例えば、1,000万円を年利4%で運用し、利益を再投資し続けた場合、17年9ヵ月後には2倍の2,000万円に到達 (税金や手数料等は考慮せず) する。これが「複利効果のパワー」だ。

このように資産運用は、早く始めるほど複利の恩恵を受けやすくなる。将来の負担を軽くするためにも、今のうちからお金を少しずつ増やしていける仕組みを取り入れておくと安心だ。

無理のない資産運用で、将来に備える

複利効果は、運用期間が長いほど大きな恩恵を受けやすい。つまり、「短期間で資産を倍にする」といったハイリスク・ハイリターンな運用を無理に目指す必要はないということだ。

例えば、自動で再投資ができる投資信託などは、値動きの大きさゆえにリターンの魅力もあるが、それだけリスクも伴う。一方で、外貨投資など比較的安定したリターンが見込める商品は、長期的な資産形成の手段としても有効だ。為替リスクはあるものの、一定の利息収入が積み重なることで、その影響をカバーしやすい。

こうした特徴を踏まえ、自分に合った方法を選びながら、将来に向けた資産形成を早めに始めてみてはいかがだろうか。

(提供:株式会社ZUU)

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