2024年10月10日
2024年1月から新NISAがスタートした。「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の両方で投資ができる仕組みとなったが、実際「何にどれくらい投資されているのか」といったデータに興味はないだろうか。
本記事では、金融庁公開のデータを紐解きながら、NISAと並行して取り組みたい資産運用の選択肢についても紹介していく。
NISAは、2014年にスタートした「少額投資非課税制度」だ。「運用益が非課税」という特徴があり、以前は「一般NISA」と「つみたてNISA」のいずれかを選択し、一定投資枠の範囲内で資産運用ができた。
そのNISAが2024年1月から新NISAとしてパワーアップした。「成長投資枠」と「つみたて投資枠」が併用可能となり、全体投資枠も増額されるなど使い勝手が大きく改善したのが特徴だ。
新NISAのスタートを機に、NISAに取り組み始めた人もいるかもしれない。しかし、実際に新NISAではどのような金融商品が購入されているのだろうか。
金融庁は、NISA口座の利用状況データを公表している。2024年3月末時点の「成長投資枠」の商品別買付比率は、以下の通りだ。 (※成長投資枠の年間投資枠は240万円で、積極的にリターンを狙いやすいよう、投資対象が幅広くなっている)
種類 | 比率 |
---|---|
上場株式 | 48.4% |
投資信託 | 48.0% |
ETF | 2.9% |
REIT | 0.7% |
出典:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について」
上場株式と投資信託が48%台とほぼ同率だ。 (※ETFは上場している投資信託、REITは不動産を投資対象とする投資信託のこと)
続いて「つみたて投資枠」における商品別買付比率を紹介する。 (※つみたて投資枠の年間投資枠は120万円で、リスクを抑えて安定的なリターンを出しやすいよう、投資対象は限定的となっている)
種類 | 比率 |
---|---|
投資信託 (インデックス投信) | 89.96% |
投資信託 (アクティブ運用投信等) | 4.33% |
ETF | 0.47% |
出典:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について」
※一部の調査対象金融機関で商品別の計数を取得できなかったため、比率の合計は100%にならない
つみたて投資枠では、上場株式といった個別株は購入できない。投資信託のなかでも特に株式指数などに連動した成果を目指すインデックス型投資信託の割合が圧倒的に高いことがうかがえる。
「日本人が一般的にどのような金融商品を購入しているか」といったデータも注目に値する。しかし、ある程度資産規模が大きな人にとっては、別の視点を持つことも必要だ。例えば新NISAの場合、年間最大360万円 (つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円) しか投資できない。そのため、貯蓄がある程度多い人の場合、新NISA枠だけでは事足りないケースもある。
ある程度の資産規模を有する層は、NISAで買えないアセットに注目し「+α」の投資を行う姿勢を必ず持っておきたい。NISAで買えないアセットとしては、「外貨」や「債券」がある。
NISAで買えないアセット「外貨」
外貨を保有する資産運用の方法として「外貨預金」がある。外貨預金とは「日本円」を「日本円より高い金利の外貨」に換え、その外貨を預金する資産運用方法の一つだ。
外貨を保有し続けることで、円預金よりも高い金利収入を継続的に得られることが期待できる。保有しているだけでリターンを得られるため、初心者向きの金融商品といえるだろう。外貨の選択肢が「米ドル」「ユーロ」など、ある程度限定されていることも初心者にとっては選びやすさにつながるため、取り組むハードルが低くなる。
新NISAは保有資産の売却後、翌年以降に非課税投資枠が復活することが大きな特徴だ。しかし、年間投資限度額の範囲内でしか復活した投資枠を使えないため、保有資産の価値が著しく上昇しても売却をためらってしまうかもしれない。
一方、外貨預金の場合、NISAのような非課税の仕組みが適用されないため、為替レートの変動で為替差益が発生した場合も売却をするかの判断をしやすくなる。NISAのように運用益が非課税になるわけではない点はデメリットだが、資産価値の変動を見ながら機動的なトレードをしやすいことは、メリットといえるだろう。
NISAで買えないアセット「債券」
新NISAでも、債券価格の変動に連動したETFを購入することはできる。しかし、債券そのものを新NISA枠内で購入することはできない。債券を購入し満期になると額面金額が償還され、保有中は利子が得られるため、日本国債などの安全度が高めの債券を購入すればリスクを抑えた資産運用が期待できる。
しかし安全度が高い債券は、その分リターンも小さめだ。この点が債券投資のデメリットといえるだろう。投資損失を労働収入で補てんしにくいシニア層にとっては心強い存在だが、ある程度のリスクを抱えられる現役世代には、魅力的に感じない側面もあるかもしれない。
高所得者層や富裕層にとって重要なのは「NISA+α」の視点である。その+αの選択肢の一つが外貨預金だ。外貨預金は、金利収入を安定的に得られることが期待できるため、ポートフォリオの一つとして検討したい。
NISA枠を使い切っているうえで余剰資金を一括で外貨預金へ充てることが心配な人は、「外貨積立」という選択肢もある。積立型の場合、為替レートの変動による為替差損のリスクを抑えられ、資産運用の安定度が高まる点も知っておこう。
(提供:株式会社ZUU)