2024年6月19日
2022年以降は、ニュースで「インフレ」というワードが登場する頻度が非常に高くなった。インフレとは、物価上昇のことを指すが、そもそも物価とはどのように算出されているのかご存じだろうか。何となく分かっていても、詳しい算出方法までは知らない人が多いかもしれない。
本記事では、物価の算出方法やインフレに備えられる資産運用法について紹介する。
消費者が購入するモノやサービスの価格を把握する際には、総務省が毎月発表している「消費者物価指数」の推移が欠かせない。消費者物価指数は、略して「CPI (Consumer Price Index) 」と呼ばれ、ニュースでもこのCPIというワードをよく見聞きする。まずは、消費者物価指数の算出方法の概念を説明していこう。
「買い物かごの概念」で算出
消費者物価指数は「買い物かごの概念」で算出される。買い物かごに、さまざまな商品を入れて過去と現在を比較するような考え方だ。全体の費用がどれくらい変わったかが物価の動きを示す。
どのような品目が選ばれている ?
では、消費者物価指数を算出するために、買い物かごにはどのような品目を入れるのだろうか。消費者物価指数を算出する際に含む品目は、「大分類」「中分類」「小分類」といった具合に徐々に細分化されるカテゴリーごとに規定されている。
例えば、大分類のカテゴリーは主に以下のとおりだ。カッコ内は、それぞれの大分類に含まれる品目の例を示している。
詳細は、総務省統計局が発表している以下の資料で確認することができる。
消費者物価指数は、上述した概念で算出されるわけだが、物価を測るモノサシになるのは消費者物価指数だけではない。「企業物価指数」や「GDPデフレーター」なども活用される。消費者物価指数も含め、物価を測る3つのモノサシについて整理しておこう。
消費者物価指数 (CPI:Consumer Price Index)
消費者物価指数は、消費者が購入する財やサービスの価格の変動を測定するものだ。2024年3月時点では、2020年を100とする基準で指数が算出されている。
企業物価指数 (CGPI:Corporate Goods Price Index)
企業物価指数は、企業間で取引される財を対象に調査した物価指数で、景気動向や金融政策を判断するためのデータとして活用される。企業物価指数も2024年3月時点では2020年を100として算出されている。
GDPデフレーター
GDP (国内総生産) デフレーターは、日本国内の総合的な物価動向を示す指数として用いられ、名目GDP (※1) を実質GDP (※2) で割って算出される。
※1 国内で、1年間に新しく生みだされた生産物やサービスの金額の合計で、GDP (国内総生産) の実額のこと。
※2 GDP (国内総生産) の実額を表す名目GDPから、物価の変動分を考慮 (インフレ調整) したGDPのこと。
物価についての知識を得ることは重要だが、肝心なのはインフレに備えることだ。将来的に物価が上昇すると、現在持っている現金1万円で買えるモノや利用できるサービスが減る。次に挙げる3つは、こうした購買力の目減りに備える資産運用法の代表例だ。
不動産投資
不動産投資は、インフレに備えるための資産運用として有力な選択肢の一つである。なぜなら、インフレ時には不動産の価値も上がりやすいからだ。ただし、不動産投資には流動性が低い (=現金化に時間がかかる) といったデメリットもある。
国債投資
毎年ほぼ確実にリターンを得られる資産を保有しておけば、購買力の目減りをいくらか相殺できる。そういう意味で、利息を安定的に受け取ることができる国債投資も選択肢の一つとなる。ただし、特に日本国債の場合は利回りが低い点がデメリットといえる。
外貨預金
外貨預金は、為替差損のリスクはあるものの、選ぶ通貨によっては日本国債よりも大きなリターンを利息収入として安定的に得られる点がメリットだ。また、流動性も高いことから資金ニーズがあった場合でも素早く外貨預金を日本円に換金できる。
物価上昇が起きると賃金も上がりやすい。しかし、退職後は現役時代のように正社員・フルタイムでの労働収入を得にくいため、賃金上昇の恩恵はあまり受けられないだろう。そのため、資産運用で物価上昇へのリスク対策をしっかりと行うことが大切だ。インフレに対するリスクヘッジという視点を持ち、早めに資産運用を始めるようにしたい。
(提供:株式会社ZUU)