2024年4月11日
老後の収入が年金だけとなる人は少なくない。このことに不安を感じ、なかには50代のうちから副業を始めて将来の収入減をカバーしようと考える人もいる。しかし、良かれと思って始めた副業で貯蓄をなくしたり、自己破産に陥ったりするケースもあるため注意が必要だ。
本記事では、副業のリスクや副業破産の典型パターンを紹介する。また、万が一自己破産に陥った場合、生活にどのような影響があるのかについても解説する。
国税庁が公表している「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、2022年度における年齢階層別の年間平均給与は、以下の通りだ。
年齢階層 | 年間平均給与 |
---|---|
40~44歳 | 491万円 |
45~49歳 | 521万円 |
50~54歳 | 537万円 |
55~59歳 | 546万円 |
60~64歳 | 441万円 |
65~69歳 | 342万円 |
70歳以上 | 298万円 |
ピークは55~59歳の546万円で、60歳以降は年間平均給与が下落し続けていることが分かる。
このような現実を知ると、早めに副業を始めて老後の収入減をカバーしたくなるものだ。しかし、副業にはメリットとデメリットの両方があることを認識しておきたい。
メリットは ?
ひと口に副業といっても仕事内容はさまざまだが、よく知られているのは以下のような副業だろう。
こうした副業には「定年」がないため、継続して収入を得られることが期待できる。会社員などのように固定収入が保証されているわけではないが、逆に解雇されるリスクもない。成果を出すことができれば、会社員以上の収入を得ることも可能だろう。
デメリットは ?
一方で、個人でビジネスを行ったことがない人が知識も経験も不十分なままこうした副業を始めると、リスクを抱えすぎてしまい収入を得るどころか損失を出してしまう恐れがある。万が一損失が膨らんで貯蓄をすべて使い果たしてしまえば「副業破産」に陥る可能性も出てくるだろう。
副業とはいえビジネスであることに変わりはなく、利益を上げるには一定水準以上のビジネススキルや営業力が求められる。インターネット上には副業で簡単に稼げるなどの謳い文句も散見されるが、これを鵜呑みにするのは危険だ。
続いて、副業破産に陥る典型的な3つのパターンを紹介する。
収支計画の見通しが甘い
収支計画の見通しが甘いと、いつまでたっても利益が残らない状況になりかねない。例えばネットショップ運営を行う場合は、入念な市場調査を行って商品やサービスの相場を把握し、それに合わせて仕入れコストなどを調整する必要がある。こうした基本を押さえずネットショップ運営を行っても、思うような結果は出せないだろう。
先行投資をしすぎてしまう
過剰な先行投資も副業破産の典型パターンの一つだ。副業を含めビジネスに挑戦する場合は、途中で方針転換を図らなければならないこともある。失敗から教訓を得て、もう一度ゼロからスタートすれば、成功に至る可能性も上がるだろう。しかし先行投資をしすぎると、すでに負債が大きくなっているため、ゼロからのやり直しが難しくなる。
詐欺などにだまされてしまう
収益を上げるノウハウを提供してもらえるフランチャイズビジネスは、副業に初めて取り組む人にとっては魅力的に映る。しかし、なかには「加盟金詐欺」の被害に遭う人もいる。高額な加盟金だけ請求し、開業後は全くサポートをしてくれない悪徳業者もいるため、注意が必要だ。
このように副業がきっかけで大きな損失を出し、最終的に返済できないぐらい借金が膨らんでしまうケースもある。場合によっては、自己破産しか選択肢がない状況に陥ることもあるだろう。自己破産は、借金を返済できなくなった人が再出発できるようにする仕組みだが、実際に自己破産をするとさまざまな制約を受ける。
自己破産をすると多くの場合、以下のような事態になり、生活にさまざまな影響が出る。
副業で破産してしまう人は、大きな利益を狙っていることが多い。しかし一方で、低単価すぎる副業で失敗することもある。手堅く稼ぎたいと考え、以下のような仕事を請け負っても豊かになれる可能性は低いだろう。
こうした仕事は、自分がただ疲弊して終わってしまいがちだ。あまりに単価が低い副業をするくらいなら、お金にお金を稼いでもらう「資産運用」に早くから取り組み、堅実なリターンを狙うほうが賢明だろう。
(提供:株式会社ZUU)