2024年3月26日
相続に関する手続きは、非常に複雑だ。そのため「ほとんど知識を持ち合わせていない」という人も多いのではないだろうか。この場合、相続をスムーズに進めるべく第三者からアドバイスを受けることをおすすめしたいが、誰に相談をすべきか、ここでもまた悩んでしまいがちだ。
そこで、ケース別に最適な相談先を紹介するとともに、相談前に済ませておきたいことについても解説する。
相続に関する主な相談先は、以下の6つだ。
しかし、これらの6つの相談先ならばどこでもいいわけではない。なぜなら、相談したい相続の内容によって適切な相談先が変わってくるからだ。
ここでは、それぞれの対応範囲と相談内容例を紹介していく。なお、相続関連の手続きで対応できる範囲は、各相談先で一部重なるケースもある。例えば、遺産分割協議書の作成は、弁護士と司法書士、行政書士がそれぞれに対応できる。
弁護士に相談をするケース
まずは弁護士に相談をするケースについて見ていこう。
・対応範囲
弁護士は、主に相続に関する法律的な支援や相続トラブルに関する問題解決などが対応範囲だ。遺言書作成も相談もできる。
・相談内容例
具体的な相談内容例としては、「遺産分割や遺言書の法的な知識がない」「家族の一人が遺産を独り占めしようとしている」「正式な遺言書のつくり方が分からない」といったことが考えられる。
税理士に相談をするケース
続いて、税理士の対応範囲と相談内容例について紹介する。
・対応範囲
税理士は、相続税の税額の算出や相続税の申告に関することが主な対応範囲だ。
・相談内容例
「相続税の計算方法が複雑で自分で計算できない」「どのタイミングで申告を済ませるべきか分からない」「申告書類の書き方が分からない」といった場合は、税理士に相談するのが最適だろう。
司法書士に相談をするケース
司法書士の対応範囲と相談内容例については、次の通りだ。
・対応範囲
司法書士は、不動産の相続登記などの際に心強い存在だ。不動産の相続登記により名義変更などを行う際には、司法書士に相談しよう。そのほか遺言書や遺産分割協議書の作成、戸籍謄本の収集なども司法書士が担当できる。
・相談内容例
具体的な相談内容としては、「遺産に不動産が含まれているが、名義変更のやり方が分からない」「相続人全員で相続に関する協議を行った結果を書類にしたい」といったものが例として挙げられる。
行政書士に相談をするケース
行政書士には、次のようなケースの場合に相談しよう。
・対応範囲
行政書士は、相続手続きに関連する相続人調査や遺言書の作成、官公庁に対する書類の提出などをサポートしてくれる。
・相談内容例
具体的には、「誰が相続人に相当するのかはっきり分からない」「戸籍を集めたい」「車の名義変更をしたい」といった相談内容が考えられる。
金融機関 (銀行など) に相談するケース
金融機関 (銀行) などにも、相続に関する相談が可能だ。
・対応範囲
金融機関の相談窓口では、相続に関する一般的な疑問を質問できるほか、口座の相続手続きについての相談や、遺産を相続したあとの資産運用などについてアドバイスを求めることができる。
・相談内容例
具体的な相談内容としては「父の口座を相続する手続きの手順が分からない」「遺産を相続したが、どのような方法で資産運用をすべきかアドバイスがほしい」といった例が挙げられる。
自治体に相談するケース
自治体も相続に関する相談サービスなどを提供している。
・対応範囲
市区町村などの自治体単位で、相続に関する無料相談会などが実施されている。無料で参加できるケースがほとんどで、事前に自治体に電話連絡をすれば、相談内容によってどの会に参加すべきかなどを教えてくれる。
・相談内容例
「まずは無料で相続の知識が得たい」「誰に相談していいか分からない」といった場合、自治体に相談してみるといいだろう。
相続について各所に相談する際には、事前に財産の整理・把握や家族会議を済ませておきたい。
財産の整理・把握
相続する財産を把握しておけば、相談をした際に具体的なアドバイスを受けやすい。以下の項目別に財産があるかどうかを事前に調べておこう。また正の財産だけでなく、負の財産となる借金や保証債務などの把握も重要だ。
家族会議
親が元気なうちに相続人の子どもなど全員に声をかけ、相続方法などを話し合う家族会議を開こう。家族会議を開く上で話が円滑に進まない可能性が高い場合は、弁護士や税理士などに相談を行ってから、同席を求めた上で家族会議を開くのも有効だ。
相続した金融資産の運用を考えている場合は、その運用方法についても相談先に共有しよう。例えば以下のような内容だ。
相談先によって、その際に必要な手続きや注意点などについて的確なアドバイスを受けることができるだろう。
(提供:株式会社ZUU)