2023年12月13日
物価の上昇により、「1万円の価値」は10年前と比べて徐々に落ちている。そのため、現金を現金のまま眠らせておくのではなく、資産運用でしっかりと価値の目減りをカバーしたい。本記事では、そのために有効な選択肢を紹介する。
2022年の1万円は、10年前の2012年の1万円と比べてどれくらいの価値になっているのだろうか。消費者が日常的に購入する財 (モノ) やサービスなどの価格の平均的な変動を反映した「消費者物価指数」から、各年の1万円の価値を算出してみよう。
年 | 消費者物価指数 (※) |
---|---|
2012年 | 94.5 |
2013年 | 94.9 |
2014年 | 97.5 |
2015年 | 98.2 |
2016年 | 98.1 |
2017年 | 98.6 |
2018年 | 99.5 |
2019年 | 100.0 |
2020年 | 100.0 |
2021年 | 99.8 |
2022年 | 102.3 |
出典:日本銀行 (※2020年を「100」として算出)
2012年に94.5だったのが、2022年は102.3となっている。分かりやすく単位に「円」をつけて説明すると、ある同じ価値のモノが2012年は94.5円だったのに、2022年には102.3円まで上がった、ということだ。
イメージがわきやすいように、先ほどの価格を「おにぎり」に当てはめて考えてみよう。2012年は1万円で1個94.5円のおにぎりを105個購入することができた。一方、2022年はおにぎりの価格が1個102.3円に上がっているため、1万円で97個しか買うことができない。
【1万円で購入できるおにぎりの数】
・2012年は105個
・2022年は97個
同じ1万円なのに、買えるおにぎりの数は10年間で8個減ったことになる。増減率にすると約7.6%減で、1万円の価値は10年間で7.6%ほど落ちたと考えることができる。
逆に価値が上がっている一万円札もある
余談だが、「一万円札」で考えると、逆に価値が上がっている一万円札もある。発行が終わっているレアな旧一万円札は、お札の状態によって買い取り価格が1万円以上となるケースもある点、頭の片隅に入れておいてほしい。
話を本筋に戻そう。物価が上がり続ける状況のことを「インフレ」と呼ぶ。
インフレとはどういう状態か
インフレは「インフレーション」の略だ。前述の通り、物価が上がり続ける状況のことを指し、別の言い方をすれば現金の価値が下がり続けるという状況だ。
良いインフレと悪いインフレがある
インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」があるとされ、一般的に良いインフレは景気拡大や賃金上昇を伴い、悪いインフレは景気拡大や賃金上昇を伴わない状況で起きるケースを指すことが多い。特に悪いインフレが続くと、資産運用の必要性が増す。
資産運用によって現金からリターンを生み出し、1万円の価値を10年前に戻す、もしくは10年前より上げる方法として、「外貨積立」が挙げられる。外貨積立とは、定期的に一定の金額で外貨を自動で買付し、長期的に資産形成を目指すものだ。
安定的に金利収入が得られる
外貨積立では外貨を保有している限り、安定的に金利収入が得られる。例えば年利が1%の外貨の場合、外貨積立で1,000万円を保有していると年間の金利収入は10万円 (税引前) となる。
初心者向けで手間がかからない点も魅力
外貨積立は、外貨を買うための日本円の引落しと外貨の買付が自動的に行われるため、初心者でも手間をかけずに始められ、継続することができる。
外貨積立は、「時間」と「通貨」の分散により、運用リスクを減らせる点もメリットだ。
時間の分散
外貨積立では、外貨を買付するタイミングが分散されるため、過熱気味に価値が上がっている時に一気に外貨の買付をしてしまうリスクを回避できる。いわゆる「高値づかみ」を心配する必要がなくなる。
通貨の分散
保有する外貨を分散すれば、さらにリスクを減らせる。外貨預金の円換算の価値は為替レートの影響を常に受けるが、複数の外貨で積み立てをすれば、ある外貨の価値が下がっても、別の外貨の価値も同じように下がるとは限らず、資産全体の価値の変動を小さく抑えやすい。
すでに株式投資などをしている人は、資産運用のポートフォリオの一部に外貨を加えることも有効だ。株式などと外貨とでは価値の変動の相関性が低いので、一定期間内に保有資産の全体価値が一気に目減りすることを防ぎやすい。
日銀は2%のインフレを目標としており、この目標が達成されると仮定すると、資産運用の重要性は一層増す。まだ資産運用を始めていない人は、堅実な運用で安定的なリターンが期待できる外貨積立をぜひ検討してみてほしい。
(提供:株式会社ZUU)