2023年8月4日
「日経平均株価」という言葉はニュースなどでよく見聞きするが、その仕組みを詳しく知っている人はどれくらいいるだろうか。投資家にとって、日本の株式市場を代表する株価指数がどのように成り立っているかを知るのは極めて重要と言える。
日経平均株価への影響が大きい銘柄の値動きを読むことで、結果として株式市場のトレンド予測の精度を高められる。本記事では、日経平均株価の仕組みを解説するとともに、日経平均株価においてウエートが高い銘柄についても紹介する。
「日経平均株価」は日本経済新聞社が公表している株価指数で「日経平均」とも称される。東京証券取引所 (東証) プライム市場に上場する約2,000銘柄のうち、取引が活発で流動性の高い225銘柄を選んで算出しているため「日経225」の呼称も定着し、日本の経済状況を測る物差しとして世界中で活用されている。
225銘柄は「技術」「金融」「消費」「素材」「資本財・その他」「運輸・公共」の6つのセクター (業種) 間のバランスを考慮し、年1回の定期見直しで入れ替えられる。また、構成銘柄が上場廃止になった場合などは臨時の入れ替えが行われる。なお、日経平均株価は東証の立会取引が行われている時間帯にわずか5秒間隔で更新・配信されている。
日経平均株価は225銘柄の採用株価を全て合計し、均等に割っただけの単純な数字ではない。株価が高い特定の銘柄 (値がさ株) のウエート (構成比率) が大きくなり過ぎるのを避けるため、2022年10月の定期見直しから上限12%のウエートキャップを設定。キャップ水準は2023年10月に11%、2024年10月以降は10%と段階的に引き下げられる。
また、日経平均株価の寄与度は、ある一定期間の日経平均株価の値動きに対し、ひとつの構成銘柄の値動きが何円くらい影響したかを表す。株価の高い銘柄ほど日経平均株価への寄与度が高くなり、日経平均株価はそうした銘柄を狙って仕掛けられることも多い。株式投資の際、寄与度の上位銘柄をいくつか把握しておくとよいと言われるのはそのためだ。
ファーストリテイリング 【9983】
日経平均株価のウエートで突出しているのが、カジュアル衣料品店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングだ。ウエートは2023年2月28日時点で唯一10%を超える。
東京エレクトロン 【8035】
半導体製造の東京エレクトロンが投資家などを驚かせたのは、2021年12月28日のこと。日経平均株価のウエートが8.10%に達し、約10年間もトップを守ってきたファーストリテイリングを一時的に追い越した。ただし、2023年2月28日時点では、5.83%に落ち着いている。
ソフトバンクグループ 【9984】
ソフトバンクグループ株のウエートはファーストリテイリング、東京エレクトロンに次いで高く2023年2月28日時点で4.13%だが、2023年3月期第3四半期累計 (2022年4~12月) 連結決算の最終損益は9,125億円もの赤字だった。ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業の投資損失7,304億円が響いたようだ。
KDDI【9433】
KDDIは2023年2月28日時点で2.98%のウエートとなっており、ソフトバンクグループ株に次いでいる。2022年4~12月期の連結決算の純利益は前年同期比3.9%減の5,323億円にとどまったが、2023年3月期の業績予想は据え置いた。エネルギー価格高騰による電気代上昇や2022年7月の大規模な通信障害の対応費用が減益要因となる中、コスト効率化や注力領域の拡大が増益につながるかが注目される。
日経平均株価の指数は「株価平均型」だが、世界では構成銘柄の時価総額の合計を一定時点の時価総額の合計で割る「時価総額加重型」が主流となっている。NYダウは株価平均型であるものの、日経平均株価と並んで使われている「TOPIX (東証株価指数) 」や「FT-SE100」 (英国) 、「DAX」 (ドイツ) 、「CAC40」 (フランス) などは時価総額加重型を採用している。
株価平均型は株式市場全体の値動きを大まかに把握しやすいのが長所で、時価総額加重型は年金や投資信託などの資産運用成績を評価するのに適していると言われる。構成銘柄が同じだとしても、平均株価と時価総額の増減は必ずしも関連しないため、双方の指数に表れやすい傾向を押さえておくことが必要だろう。
一般的に株価が上昇すれば「景気が良くなりそうだ」という世の中の期待感は高まり、消費や投資が活発化しやすくなる。反対に株価が下がると財布の紐はきつくなり、「年金の財源が減ってしまうのではないか」といった懸念が増すだろう。そうしたことが、株価が「景気のバロメーター」とも呼ばれるゆえんだ。
実際に、株価は景気を先取りした値動きを見せると言われる。株式投資をしている人もそうでない人も、日経平均株価などの指数の仕組みや数字の意味をよく理解し、日頃のビジネスや消費生活に役立ててほしい。
(提供:株式会社ZUU)