おすすめコラム

2023年5月25日

  • はてなブックマークに追加はてなブックマークに追加
  • LINEで送るLINEで送る

シニアの資産運用に最適 ? 債券投資の基本の「キ」

シニアの資産運用に最適 ? 債券投資の基本の「キ」
(写真=Monthira / stock.adobe.com)

シニアの資産運用においては、若い世代とは異なり大きなリスクが取りにくくなる。そのため、以下のように考えてしまう人も多いのではないだろうか。

・資産は増やしたいがリスクはなるべく取りたくない
・株式や為替には価格変動が大きいイメージがつきまとい、手を出しづらい

このようなことが脳裏をよぎってしまう場合は、比較的リスクを抑えながら運用益の獲得を狙える債券投資を検討してみよう。

なぜシニアになるとリスクを許容しにくくなる ?

一般的に年齢を重ねるにつれてリスク許容度は下がっていく。

例えば仕事を定年退職し、年金や定年後に就いた仕事で収入を得ているシニアと働き盛りの30代会社員では、リスク許容度が異なる。現役の30代が資産運用する場合、損失を被っても一定のレベルであれば仕事を続けることで損失分の回収は可能だ。また、一時的に含み損が生じても運用期間を長く取ることで挽回できる可能性もある。

しかし、定年後のシニアの場合、働き盛りの30代ほどは損失を楽観視できない。なぜなら将来的な収入の見通しや平均余命が30代の現役世代とは大きく異なるからだ。

債券投資とは ?

大きなリスクを取りたくないシニアに向いているのが債券投資だ。ここでは、債券の概要を解説していく。

債券とは ?

債券とは、国や企業などが資金調達の際に発行する証書のことだ。発行側にとっては、あくまで借金であり、利子支払いと償還期限がある点で株式とは異なる。投資する側は、一定間隔で利子を受け取り、満期時に元本が返ってくるのが基本的な仕組みだ。

債券の種類は ?

債券には、発行体の違いに応じていくつかの種類がある。

・国債:国が発行する債券
・地方債:各都道府県やその他の地方公共団体が発行している債券
・事業債:「社債」とも呼ばれ、外国政府や企業が発行する外貨建ての債券もある

一般的に国や地方公共団体は、民間企業と比較して倒産する可能性が低いと考えられているため、国債や地方債は信用力が高いとみなされている。これらの債券は、機関投資家向けに販売されるケースもあるが、個人向けに発行されているものであれば個人投資家でも購入することが可能だ。

投資価値があるのはなぜ ?

債券に投資価値があるのは、満期時の元本の償還に加えて利子収入を得られるからだ。基本的に債券利率がインフレ率を上回っていれば利益を上げることができる。また、債券価格は金利の動きに応じて変動するのが特徴だ。償還満期を待たずとも債券価格が購入時よりも上昇した段階で債券を売ることができれば、売却益を得られる。

債券のリスクは ?

債券投資のリスクは、発行体の財政状況が悪化して利子や元本が支払われなくなることだ。このように発行体が債務不履行の状態に陥ることを「デフォルト」という。債券は、発行体が破たんした場合でも株式より優先的に弁済されるのが一般的だ。しかし、弁済が投資額の一部にとどまったり当初の償還期日より遅れたりする可能性がある。

税金はどうなる ?

債券投資で得た利益に対しては、株式投資と同様に税金がかかる。税金は、利子所得だけでなく債券の売却や償還によって得た差益に対しても生じる。税率は、いずれも所得税15.315%に住民税5%を合わせた20.315%だ。

また債券投資は、株式投資などとの損益通算もできる。例えば、債券投資で50万円の利益を得て株式投資で100万円の損失を出した場合、50万円の損失として申告可能だ。

債券投資のメリットは ?

シニアの資産運用に向いている債券投資のメリットには、以下のようなものがある。

発行者の信用度が高いとリスクが低い

信用度の高い発行体を投資対象に選べば、低リスクで資産運用できる点はメリットの一つだ。例えば米国政府が発行する米国債などは、デフォルトが想定しにくい安全資産と考えられている。

あらかじめキャッシュフローの見通しが立つ

キャッシュフローの見通しが立つこともメリットだ。利子の支払いのタイミングは、あらかじめ決まっており元本償還期日も債券ごとに定められている。株式投資でこうしたキャッシュフローの見通しを立てるのは困難だ。

債券投資のデメリットは ?

債券投資には、メリットだけでなくデメリットもある。ここでは、債券投資のデメリットを2つ紹介する。

途中で売却すると損失が出ることも

債券投資は、リスクの低い投資手法だが100%損失が出ないわけではない。債券価格は、金利の動きに応じて変動するため、満期前に売却する場合は購入価格を下回る可能性もある。一般的に市場金利が上昇すると債券価格は下がり、市場金利が下落すると債券価格は上昇することは押さえておきたい。

発行者の信用度が低いとデフォルトに陥るリスクも

米国債など発行体の信用度が高ければデフォルトリスクに頭を悩ませる必要はない。しかし投資する国によっては、大きくカントリーリスクが異なる。また社債に関しても発行体によって信用度が大きく異なり、場合によってはデフォルトに陥る可能性もあるだろう。

債券投資は一考の価値あり

債券投資は、株式投資などに比べれば低リスクでリターンを期待できる投資手法だ。発行体がデフォルトに陥るリスクはあるが、米国債などの安全資産であればデフォルトの可能性は低くなる。極力リスクを抑えて資産運用を行いたいシニアは、債券投資を考えてみてもよいだろう。

(提供:株式会社ZUU)

  • 本ページ情報の無断での複製・転載・転送等はご遠慮ください。
  • 本ページの情報提供について信頼性の維持には最大限努力しておりますが、2023年5月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。
  • 本ページの情報はご自身の判断と責任において使用してください。

この記事をシェアする

  • はてなブックマークに追加はてなブックマークに追加
  • LINEで送るLINEで送る