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2022年11月25日

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「在宅介護」と「施設介護」の費用感と満足感 資産形成で選択肢を残そう

「在宅介護」と「施設介護」の費用感と満足感 資産形成で選択肢を残そう
(写真=izumikobayashi / stock.adobe.com)

介護される人にとって、在宅介護と施設介護では「費用感」と「満足感」にどのくらいの差があるのだろうか。自らの介護費用を自分で用意する前提で、あなたが求める老後生活にどのくらいお金がかかるか、考えてみよう。

在宅介護の人は56.8%、施設介護の人は41.7%

まず、現在の介護の実態を確認しておこう。在宅介護と施設介護の割合は、それぞれどのくらいなのだろうか。

公益財団法人「生命保険文化センター」が2021年12月に発表した「生命保険に関する全国実態調査」 (対象:全国 / 回収サンプル:4,000) では、介護を行った場所や介護の費用などのデータが公表されている。

介護を行った場所は、以下のとおり。

<介護を行った場所>

場所 割合
自分の家 40.2%
親や親族の家 16.6%
公的な介護老人福祉施設や介護老人保健施設など 16.3%
民間の有料老人ホームや介護サービス付き住宅など 18.1%
病院 7.4%
その他 1.0%
不明 0.5%

出典:生命保険文化センター (https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)

「自分の家」と「親や家族の家」を合わせた在宅介護の割合は56.8%、「公的な介護老人福祉施設や介護老人保健施設など」「民間の有料老人ホームや介護サービス付き住宅など」「病院」を合わせた施設介護の割合は41.7%となっており、在宅介護の割合が施設介護を上回っている。

在宅介護の費用感:平均月額は4万8,000円

続いて、在宅介護の費用感と満足感について見ていこう。先ほどの調査によると、在宅介護にかかる費用 (月額) は以下のとおり。

<在宅介護の月額費用>

金額 割合
0円 0.0%
1万円未満 7.2%
2万5,000円未満 22.3%
5万円未満 17.6%
7万5,000円未満 13.3%
10万円未満 2.3%
12万5,000円未満 4.3%
15万円未満 1.2%
15万円以上 5.8%
不明 26.0%

出典:生命保険文化センター

ボリュームゾーンは「 (1万円以上) 2万5,000円未満」 (22.3%) 、次に多いのが「 (2万5,000円以上) 5万円未満」 (17.6%) で、平均は4万8,000円だ。

在宅介護の満足感や充実感は ?

介護される側にとって在宅介護のメリットは、慣れ親しんだ自宅や住み慣れた地域で生活を続けられたり、家族との時間を長く持てることだろう。その分、満足度や充実度は高いといえるだろう。一方で在宅介護は施設介護と比べると、家族の負担が大きくなる傾向にある。

施設介護の費用感:平均月額は12万2,000円

次に、施設介護の費用 (月額) を見てみよう。

<施設介護の月額費用>

金額 割合
0円 0.0%
1万円未満 0.4%
2万5,000円未満 6.3%
5万円未満 4.7%
7万5,000円未満 9.1%
10万円未満 8.7%
12万5,000円未満 20.9%
15万円未満 7.9%
15万円以上 30.7%
不明 11.4%

出典:生命保険文化センター

ボリュームゾーンは「15万円以上」 (30.7%) 、次に多いのが「 (10万円以上) 12万5,000円未満」 (20.9%) で、平均は12万2,000円だ。

施設介護の満足感や充実感は ?

介護される側にとっての施設介護のメリットは、子どもや親族に迷惑がかからないことだ。その意味で、在宅介護の場合とは異なる満足感や充実感がある一方、施設や病院に入所・入院する場合は家族と離れて暮らすため、寂しさを感じることもあるだろう。

月に7万4,000円の差、10年間で888万円の差

平均月額を比較すると在宅介護は4万8,000円、施設介護は12万2,000円で、その差は7万4,000円となる。施設介護のほうが、在宅介護より2倍以上の費用がかかることがわかる。

その差は年間88万8,000円、10年間では888万円に上るため、そもそも自分もしくは家族に蓄えがない人は、選択肢が限られるだろう。

ただ、老後資金をしっかり作ることができれば、在宅介護と施設介護の両方を比較検討することが可能だ。家族に負担をかけないことを重視する場合は、迷わず施設介護を選択できるだろう。

「お金があると選択肢が広がる」は老後にも当てはまる

若者が「お金があると人生の選択肢が広がる」と諭されることがあるが、これは若者だけでなく、老後についても同じことがいえる。

老後を迎えた時に在宅介護と施設介護のどちらかを選びたいなら、今から資産形成に努めることをおすすめする。「要介護度」が高くなるほど多くの費用がかかるため、そのような場合に備えるためにも資産形成は非常に重要だ。

現在はNISA (ニーサ) やiDeCo (イデコ) など、税制優遇が魅力の少額投資制度があるので、これらも積極的に利用するとよいだろう。

(提供:株式会社ZUU)

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