2022年8月3日
住宅ローンを晴れて完済したとしても、快適に住み続けるためには定期的なメンテナンス (リフォーム) が必要だ。適切なメンテナンスを行えば、自宅の資産価値も維持できる。そこで、今回は「持ち家のメンテナンス費用」について考えてみよう。特に、大きなお金が動くリフォームについて見ていくことにする。
まず、リフォームをする上で考えるべきことを押さえておこう。詳細は状況によって異なるが、リフォームをする際は以下の6つのステップを踏むことになる。
1.どのようなリフォームをしたいかを明らかにする
2.どのくらいの費用が必要かを考える
3.リフォームを依頼する事業者を決める
4.契約内容をしっかり確認する
5.工事が契約どおりに進んでいるかを確認する
6.工事後は最終確認を行い、書類を確認して保管する
複数の箇所を同時に依頼したほうが、リフォーム費用の総額は抑えられる。「やっとリフォームが終わったと思ったら、こっちもリフォームする必要があることに気がついた」といったことにならないように、1.の時点で他にリフォームすべき箇所がないかを確認しておこう。予算をオーバーする場合は、優先順位を明確にして高い順に対応していこう。
費用に関しては、あらかじめ全体の予算を考えておくとよい。支援制度も有効に活用したいところだ。リフォームを依頼する事業者を決める際は、複数の業者に見積もりを依頼しよう。相見積もりをしておけば、思わぬ「ぼったくり」を避けられるからだ。
リフォームの際に利用できる制度には、確定申告によって所得税などが控除される「減税制度」、費用の一部を補助してもらえる「補助制度」、費用を融資してもらえる「融資制度」などがある (いずれも一定の条件を満たす必要がある) 。その他、地方公共団体の支援制度を利用できることもある。
減税制度には耐震リフォームやバリアフリーリフォーム、省エネリフォーム、同居対応リフォーム、長期優良住宅化リフォームなどがある。ただし、確定申告をしないと控除を受けられないので注意したい。補助制度の例としては、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」が挙げられる。既存住宅の長寿命化や省エネ化につながるリフォームに対して、国が費用の一部を負担してくれるものだ。
このように、工事の内容によっては税金の控除や補助金を受けられることがある。自分が行おうとしているリフォームが、これらの適用条件を満たしているかもしれない。リフォームを行う際は、事前に利用できる制度がないか確認しておこう。
リフォーム費用は工事内容などによって異なるので一概にはいえないが、参考に株式会社リクルート住まいカンパニーが2018年1月に発表した「2017年大型リフォーム実施者調査」の平均金額を見てみよう。同資料によると、リフォーム費用の平均は全体で610万4,000円。年代別では20~40代が617万7,000円、50代以上が608万3,000円だ。
これらはあくまで平均であり、リフォームの部位や内容によって費用は大きく変わる。そこで、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「安心・快適 住宅リフォームハンドブック」で、部位別リフォームの工事費の目安を見てみよう。なお、下記の金額は近年の相場を参考に、標準的な工事内容やグレードをもとにしたものだ。
<戸建>
屋根葺き材をカバー工法により改修:156万~223万円
外装の塗替え:67万~95万円
システムキッチンの取替え:82万~112万円
<マンション>
床材の変更:13万~18万円
ユニットバスの取替え:62万~85万円
便座の取替え:22万~29万円
また、平成23年5月発表とやや古いデータであるが、信頼性の高い情報として国土交通省が発表しているリフォーム費用の目安も見てみよう。こちらも、あくまで参考として捉えていただきたい。
<原則として戸建を想定>
タンクレストイレへの交換:30万~50万円
システムバスへの交換:60万~150万円
耐震補強 (基礎からの工事) :100万~200万円
内窓の設置:6万~12万円
壁クロスを珪藻土に変更:18万~30万円
ここまで、リフォームをする上で考えるべきことやリフォームの際に利用できる制度、リフォームに必要な費用の目安などについて解説してきた。
リフォームでは大きな金額が動くことになるので、綿密な計画と実施が重要だ。将来のリフォーム費用を知り、事前に資金計画を立てることで、安心して送れる老後生活を実現できるだろう。
(提供:株式会社ZUU)