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2022年7月5日

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相続の「厄介な手続き」知っておきたい9ステップ

相続の「厄介な手続き」知っておきたい9ステップ
(写真=takasu / stock.adobe.com)

多くの人にとって相続は人生で何度も経験するものではないため、「いつまでに」「誰が」「どこで」「何をするか」がわかりにくいだろう。そこで今回は、相続時の主な手続きについて解説する。

相続に必要な主な手続き

相続に必要な主な手続きを9つのステップに分けて、それぞれにおいて「いつまでに」「誰が」「どこで」「何をするか」を見ていく。なお、この9ステップは時系列順になっているので、上から順に手続きを進めていけば良い。ただし、これらは原則論であり例外もあるので、詳細はそれぞれの提出先のウェブサイトなどで確認してほしい。

いつまでに 誰が どこで 何をする
ステップ1
死亡届
死亡後7日以内 (国外で死亡したときは3ヵ月以内) 遺族、その他の同居者、死亡した場所の管理人 (家主・地主・家屋管理人・土地管理人) 死亡者の死亡地・本籍地又は届出人の所在地の市区町村役場 届書 (右側に医師が作成した死亡診断書もしくは死体検案書の原本) を提出する
ステップ2
受給権者死亡届
厚生年金の場合は死亡後10日以内。国民年金の場合は死亡後14日以内 遺族 近くの年金事務所 年金証書、死亡を証する書類 (死亡診断書のコピーなど) 、手続きする人の本人確認ができるものを提出する
ステップ3
健康保険・介護保険資格喪失届 (故人が国民健康保険に加入していた場合)
死亡後14日以内 遺族 死亡者が住んでいた市区町村役場 国民健康保険資格喪失届や介護保険の資格喪失届などを提出する介護保険被保険者証、介護保険負担割合証を返納する
ステップ4
世帯主変更届 (死亡者が世帯主だった場合)
死亡後14日以内 遺族 (世帯員) 、委任状を持った代理人 死亡者が住んでいた市区町村役場 住民異動届を提出する
ステップ5
公共料金など手続き
死亡後14日前後 遺族 契約している会社やサービスの受付窓口 名義変更や振替口座の変更手続きなどを行う
ステップ6
相続放棄
死亡後3ヵ月以内 希望する相続人 死亡者 (被相続人) が住んでいた市区町村の家庭裁判所 相続放棄の申述書、標準的な申立添付書類などを提出する
ステップ7
準確定申告
死亡後4ヵ月以内 相続人全員 死亡者が住んでいた市区町村の管轄税務署 各相続人等の氏名、住所、被相続人との続柄などを記入した準確定申告書の付表を添付して提出する
ステップ8
相続税の計算、相続財産の名義変更
死亡後10ヵ月以内 相続人、税理士など 金融資産の名義を変更する場合は各金融機関、不動産の名義を変更する場合は法務局など 相続税を計算する。遺産分割について協議し、必要に応じて相続財産の名義変更などを行う
ステップ9
相続税の申告・納付 (相続税が発生する場合)
死亡後10ヵ月以内 納税が必要な相続人、税理士など 最寄りの金融機関 (銀行、郵便局等) 又は所轄税務署 現金に納付書を添えて納税窓口で納付する

ステップ1はすべての出発点になるので、まずは死亡届を提出したい。

ステップ2は、公的年金の受給権がなくなったことを申請するものだ。提出が遅れると年金を多く受け取ることになり、後で返金の必要が生じることがあるため速やかに提出しよう。

ステップ3は、健康保険や介護保険の資格を喪失したことを申請するもの。死亡者が国民健康保険ではなく、健康保険や厚生年金保険の被保険者 (従業員) であった場合は、事業主が手続きを行うので遺族による対応は不要である。

死亡者が世帯主だった場合は、ステップ4の手続きが必要になる。

ステップ5は、電気・ガス・水道などの公共料金の手続きだ。今後誰も使わないようであれば、解約しよう。死亡者の口座は凍結されて使えなくなるので、遺族が継続して利用するなら名義変更が必要だ。インターネットや携帯電話の契約、その他のサブスクリプション型サービスの契約なども同様に対応しよう。

相続では、原則としてプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことになる。そのため、「明らかにマイナスの財産のほうが多い」などの理由で相続したくないときは、ステップ6の手続きを踏むことで相続を放棄できる。なお、相続人にはプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐ単純承認、財産を一切引き継がない相続放棄に加えて、相続によって得た財産の限度で被相続人の債務を受け継ぐ限定承認という選択肢もある。

ステップ7の準確定申告とは、死亡者の生前の所得税の確定申告のことだ。したがって、所得がなければ申告は不要である。

ステップ8のステップでは相続税の計算や、必要に応じて相続財産の名義変更を行う。相続税には基礎控除が設けられているため、相続する財産があったとしても、必ず相続税を支払うわけではない。必要に応じて税理士などの専門家と連携しつつ、相続税発生の有無や相続税額を把握し、適切に対応しよう。

事前にある程度の心構えや準備をしておくとよい

ここまで、相続時の主な手続きについて解説してきた。大まかな流れとやるべきことは把握できただろう。相続は人生で何度も経験するものではなく、時間も労力もかかる「厄介な手続き」も少なくない。事前にある程度の心構えや準備をしておくことをおすすめする。

(提供:株式会社ZUU)

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