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2022年5月31日

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「4月末売り」の有効性を分析 ! 投資アノマリー・4月相場の特徴

「4月末売り」の有効性を分析 ! 投資アノマリー・4月相場の特徴
(写真=metamorworks / stock.adobe.com)

資産形成や投資を成功させるには、相場のパターンを読み解く必要がある。数あるパターン論のなかでも、本記事では株式市場における「4月末売り」の概要をまとめた。

実際のデータを用いて有効性も分析しているため、効果的な投資手法を探している方はぜひ参考にしてみてほしい。

そもそも「4月末売り」とは ? 株価上昇の仕組み

4月末売りとは、それまで保有していた株式を4月末に売却することによって、大きな売却益を狙う投資戦略である。投資にはさまざまなアノマリーやパターン論があるが、そのなかでも「10月末買い・翌年4月末売り」は効果的な戦略として噂されてきた。

このような現象が起こる要因としては、海外投資家の動向が大きいと言われている。

特に日本市場に大きな影響を及ぼす投資家は、4月になると日本株式を買い越す (売り数量より買い数量のほうが多い) ことが多いため、株価の上がりきった4月末に売却すると投資パフォーマンスを高められる可能性があるのだ。

では、果たしてこの投資アノマリーは事実に基づいたものなのだろうか。ここからは実際のデータを用いて、4月末売りの有効性を分析していく。

過去10年のデータ (東証一部) から見る海外投資家の動向

以下の表は、過去10年間の東証一部における海外投資家の買い越し状況をまとめたものだ。

時期 買い越し状況 (金額) 買い越し状況 (株数)
2012年4月 26,504,628,684円 36,040,360株
2013年4月 66,182,379,795円 74,961,139株
2014年4月 441,261,267円 504,792株
2015年4月 1,959,010,194円 1,864,348株
2016年4月 852,102,324円 952,110株
2017年4月 773,417,042円 703,098株
2018年4月 246,460,153円 334,317株
2019年4月 1,620,098,998円 660,142株
2020年4月 - 761,249,230円 - 582,317株
2021年4月 496,408,525円 371,394株

(※金額・株数ともにプラスは買い越し、マイナスは売り越しを表す)

上記を見ると、毎年4月は海外投資家の買い越しが発生しやすいタイミングであることが分かる。
2020年4月に関しては売り越しとなっているが、これは2019年末から発生した新型コロナウイルス感染症の影響が大きいと考えられるだろう。

つまり、東証一部上場銘柄においてはよほどの経済ショック等が発生しない限り、4月末売りの有効性は高いと判断できる。

東証一部以外は ? 4月の市況を市場別にチェック

4月末売りの有効性を確かめるには、東証一部以外の市況も分析しなければならない。
そこで次からは、日経平均株価をはじめとする主要市場の市況を見ていこう。

日経平均株価

以下は、過去5年間における日経平均株価のデータ (4~5月の株価騰落率) をまとめたものである。

時期 4月1日の株価 5月1日の株価 騰落率
2017年 18,988.00円 19,154.03円 +0.87%
2018年 21,441.57円 22,453.42円 +4.71%
2019年 21,500.89円 22,184.40円 +3.17%
2020年 18,686.12円 19,991.97円 +6.98%
2021年 29,441.91円 29,024.01円 -1.43%

(※株価はいずれも始値を記載 ※小数点第3位以下は切り捨て)

2021年の上昇率はマイナスとなったが、それ以外の年では4月中に数%ほど株価が上昇している。なかでも2020年4~5月については、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも過去5年間では最大の上昇率を記録した。

TOPIX

次は、過去5年間におけるTOPIX (東証株価指数) のデータを紹介しよう。

時期 4月1日の指数 5月1日の指数 騰落率
2017年 1,518.90 1,531.45 +0.82%
2018年 1,716.32 1,774.36 +3.38%
2019年 1,612.13 1,616.84 +0.29%
2020年 1,388.66 1,452.46 +4.59%
2021年 1,971.78 1,919.10 +2.74%

(※指数はいずれも始値を記載 ※小数点第3位以下は切り捨て)

時期によって数値にばらつきはあるものの、毎年4~5月におけるTOPIXの上昇率はプラスになっていることが多い。TOPIXは東証一部の全銘柄を対象とした指数であるため、この時期の東証一部はやはり株価が上昇しやすい状態にあると言えるだろう。

東証マザーズ指数

では、新興企業や成長企業を対象としたマザーズについては、4月末売りが有効と言えるのだろうか。次は過去5年間における、東証マザーズ指数の4月の上昇率を見ていこう。

時期 3月末の指数 4月末の指数 騰落率
2017年 1,070.89 1,030.46 -3.92%
2018年 1,206.24 1,142.07 -5.61%
2019年 955.84 944.63 -1.18%
2020年 620.09 791.44 +27.63%
2021年 1,203.28 1,201.77 +0.12%

(※指数はいずれも終値を記載 ※小数点第3位以下は切り捨て)

2020年には大幅に上昇したものの、4月の東証マザーズ指数は下落するケース、またはほぼ横ばいのケースが多い。海外投資家の売買状況についても、同時期の売り越しがやや多い特徴をもっているため、東証一部とは傾向が大きく異なると言えるだろう。

NYダウ

最後に、アメリカの代表的な30銘柄の推移である「NYダウ」についても、毎年4月の動向を分析していく。

時期 4月の始値 4月の終値 騰落率
2017年 20,665.17円 20,940.51円 +1.33%
2018年 24,076.60円 24,163.15円 +0.35%
2019年 26,075.10円 26,592.91円 +1.98%
2020年 21,227.38円 24,345.72円 +14.69%
2021年 33,054.58円 33,874.85円 +2.48%

(※小数点第3位以下は切り捨て)

上記の通り、2017年以降は4月中の上昇が毎年続いており、特に2020年には大幅な価格上昇が見受けられた。過去10年まで遡っても上昇した年が多いことから、NYダウにおいても4月末売りは効果的であることが分かる。

東証一部・NYダウの関連銘柄は4月に上昇しやすい

今回紹介したように、東証一部やNYダウの関連銘柄は4月に株価上昇するケースが多い。
つまり、毎年4月は大企業の株価が上昇しやすい傾向にあるため、このデータを踏まえて売買戦略を見直してみてはいかがだろうか。

(提供:株式会社ZUU)

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