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2022年5月17日

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他人事ではない「老老介護・認認介護」 前もってできるリスクヘッジとは

他人事ではない「老老介護・認認介護」 前もってできるリスクヘッジとは
(写真=kazoka303030 / stock.adobe.com)

「老老介護」に関するニュースを目にしたことがある人は多いだろう。高齢化や核家族化が進み、高齢者のみの世帯が多くなる中、今後このようなニュースはさらに増えていくことが予想される。

老老介護や認認介護が社会問題になる中で、改めてそのリスクを把握し、適切な対策を取ることが重要だ。

老老介護・認認介護とは

まず、「老老介護」や「認認介護」の定義を確認しておこう。

老老介護とは、高齢者の介護を高齢者が行うことだ。高齢の夫婦、親子、兄弟などのどちらかが介護者であり、もう一方が被介護者である状況を指す。

認認介護とは、高齢の認知症患者の介護を認知症である高齢者が行うことだ。症状の差はあれど、認知症の高齢者が同じく認知症の高齢者を介護しているため、素人目で見ても事故が起きやすい状況であることがわかる。

厚生労働省が発表している「2019年国民生活基礎調査」によると、要介護者と介護者の年齢組み合わせ別の割合は、60歳以上同士が74.2%、65歳以上同士が59.7%、75歳以上同士が33.1%となっている。どの組み合わせも基本的には年々増えており、今後も老々介護の割合は増加していくことが予想される。

老老介護 (認認介護) のリスク

老老介護 (認認介護) のリスクには、どのようなことが挙げられるのだろうか。今回は3点について解説していこう。

1.お金の管理が難しくなる

介護を受ける状態になると、自分でお金を管理することが難しくなる。場所や手続きなど資産の状況をうまく伝達できない場合もあるだろう。認認介護の場合は、2人ともそれらを忘れてしまう恐れもある。

また、高齢者になると判断能力が鈍くなるため、使わない高額商品を購入してしまったり、悪徳商法や詐欺に引っかかったりするリスクも高まる。認認介護の場合は、2人とも判断能力が低下しているため、特に注意が必要だ。

2.介護への対応時間の増加

前述の「2019年国民生活基礎調査」によると、「1日で介護時間がどれだけかかっているか」という質問に対し、「ほぼ終日」と回答する割合は、要介護1で11.3%、要介護2で15.7%、要介護3で32.5%となっている。

高齢者は体力が衰えている場合が多いため、長時間の介護は身体的な負担が大きい。介護者が介護に疲れて倒れてしまう「共倒れ」のリスクにも注意が必要だ。

3.精神的負担による体調不良

介護者への負担は身体面だけではない。介護に疲れて、精神的に病んでしまう可能性もある。介護に時間を割かれるとプライベートの時間がなくなるため、社会とのつながりが薄くなりやすい。身体的な疲れも相まって、こちらも「共倒れリスク」が高い。

老老介護 (認認介護) のリスク軽減方法

老老介護 (認認介護) のリスクを軽減するには、どのような方法があるのだろうか。

お金の管理に関しては、判断能力や体力が衰える前に、家族信託 (民事信託) の活用を検討したい。家族信託とは、信頼する家族などに財産を託し、円滑な財産管理や資産承継などを実現するための仕組みだ。

社会福祉協議会が実施している「日常生活自立支援事業」や、「成年後見制度」の利用も有効である。

前者は認知症などによって判断能力が不十分になった人が自立した生活を送れるように、福祉サービスの利用手続きや金銭管理を手伝ってくれる。後者は判断能力が不十分な人を保護・支援する制度で、大きく分けると法定後見制度と任意後見制度がある。

介護そのものについては、現時点では老老介護のための行政サポートはないが、まずは地域包括支援センターに相談してみるとよいだろう。地域住民の福祉の促進を包括的に支援することを目的としているため、親身になって話を聞いてくれるはずだ。

介護者が常に近くにいることが難しい場合は、センサーなどで安否確認ができる見守りサービスを利用するのも手だ。自宅での介護に限界がある場合は、老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などへ入居を検討したい。

今からできることを準備しておこう

ここまで老老介護 (認認介護) のリスクについて解説し、そのサポート方法について紹介してきた。

前述のとおり老老介護の割合は年々増加しており、決して他人事ではなくなっている。介護が必要になったときに備えて、今からできることを調べ、準備しておこう。

(提供:株式会社ZUU)

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