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2021年6月22日

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富裕層の追徴課税が最高に ? 税申告の注意点

富裕層の追徴課税が最高に ? 税申告の注意点
(写真=Ngampol / stock.adobe.com)

2020年の富裕層への追徴課税額が過去最高になったのをご存知だろうか。海外の税務当局との連携が進み、海外の預金口座が把握できるようになったことが主因のようだ。今回は、富裕層が改めて注意しておくべき税申告の注意点について解説する。

富裕層の追徴課税が最高に

国税庁は、2019年7月から2020年6月 (2019事業年度) までの1年間における、個人の所得税について税務調査の状況を発表した。

2019事業年度はコロナ禍で税務調査が進まず、調査件数は約43万件と前事業年度比約3割減、徴収税額は1,132億円と同5%減だった。その一方で、「富裕層」の調査を進めたところ、「富裕層」への追徴課税の総額は前事業年度比約28%増の259億円に達したことがわかった。これは統計を開始した2009年以降で過去最高である。

富裕層への調査は4,463件を実施し、そのうち約8割にあたる3,837件で申告漏れなどが指摘された。特に、日本在住者の海外預金口座を海外各国の税務当局と金融口座情報を交換する制度 (CRS) を活用して把握したことが、資産運用の実態を解明するのに一役買った。海外預金口座を確認した後、そこから金融商品や不動産投資等の動きを調査し、利益を得ながら適正に税務申告していない事例などを指摘するに至った。

国税庁は、どれくらいの資産や納税額の個人を「富裕層」としているかの条件を公表していない。ただし、国税庁は海外取引などを使った国際的な租税回避を防ぐために、2017年に海外資産の情報収集および税務調査を目的とした「富裕層PT (プロジェクトチーム) 」を全国国税局に設置した。富裕層および海外資産への調査は、国税庁の重点項目として挙げられている。

追徴課税とは

そもそも追徴課税とは一体何なのだろうか。適切な税申告を行うためにも、追徴課税の基本知識を押さえておこう。

●追徴課税とは本来納入すべき税額との差額と付帯税のこと

追徴課税とは、確定申告や修正申告時に届け出た税額と、修正申告や更正処分で算出した本来の納入すべき税額との差が徴収されることを指す。また、ペナルティーである加算税に加え、延滞税・利子税といった付帯税も請求される。

●納付時期

追徴課税される税額は、本来すでに支払っているべきものである。したがって、すぐに納付をしなければならない。原則として現金による一括納付の形で請求される。

●加算税制度

加算税は、税務手続きに何らかの不備があった場合のペナルティーであり、以下の4種類がそれにあたる。

① 申告が少なかった場合の過少申告加算税
② 期限中に申告しなかった場合の無申告加算税
③ 納付すべき税額を期限までに納付しなかった場合の不納付加算税
④ 過少申告や無申告を隠蔽もしくは仮装した場合の重加算税

また、加算税に税額の納入が遅れた分の延滞税や利子税を加えたものが付帯税である。

●追徴課税の平均額

国税庁が2020年11月に発表した「令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」では、約43万件の調査で、1件当たりの追徴税額は30%増の26万円と増加した。

しかし、海外投資等を行っている富裕層に限ると、国外送金等調書やCRS情報などを活用した3,942件の調査では、1件当たりの追徴税額は67%増の627万円と膨らみ、過去最高という結果になった。

追徴課税を支払わないとどうなるのか

追徴課税は基本的には一括納付であるが、期日までに払えなかった場合は、税務署 (国税庁) による強制執行で財産の差し押さえが施行される。

税務署は、督促状が届いてから10日後には財産を差し押さえることができる。差し押さえは、住民税・固定資産税・消費税など日常的に発生する税金や保険料を滞納した場合でも執行されてしまうほど、厳しいものだ。

差し押えを回避するには「納税緩和処置」という法的制度があるが、要件が厳しいことはいうまでもないだろう。

追徴課税が発生しないように税申告をしよう

海外税務当局との情報共有や富裕層PTの人数増などで、海外資産を使った節税対策の大方は当局に把握されていると思っていいだろう。隠蔽もしくは仮装がない場合でも、富裕層に対する追徴課税は思いのほか大きい。常に税理士と相談し、税務手続きなどの不備がないようにしておくべきだろう。

(提供:株式会社ZUU)

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