2020年2月21日
移動平均線を用いて為替相場を分析する手法は、テクニカル分析の基本中の基本だ。テクニカル分析を行う場合、特に「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」の知識は欠かせない。
投資の分析には大きくファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の2つの手法がある。投資はファンダメンタルズとテクニカルの両面から分析するのが一番だが、一般的にはファンダメンタルズは中長期の方向性を決めるのに適しており、テクニカルは短期の売買タイミングを計るのに適している。
ファンダメンタルズ分析は経済活動の基礎的な要因を重視するのに対し、テクニカル分析は為替をローソク足などのチャートで分析し、過去のデータをもとに売買のタイミングを予想するアプローチを取る。
テクニカルには、「トレンド系」と「オシレーター系」 (「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を示すテクニカル分析手法) に大きくわかれるが、トレンドにうまく乗ることが重要で、最初に身に付けたいのはトレンド系指標の代表である移動平均線分析だ。
移動平均線とは、一定期間の平均価格のチャートである。為替のトレンドをつかむためには、1日の動きではなく一定期間の平均価格のチャートで見た方が判りやすい。日足チャートでは、短期を5日、中期を25日、長期を75日とし、週足チャートでは、5週間、13週間、26週間として分析することが一般的だ。
ローソク足と短期、中期、長期の移動平均線との位置関係を見ると投資のタイミングがはかりやすい。一般的に、ロウソク足チャートは日足を使うことが多いが、大きなトレンドをつかむためには週足や月足を見ることも多い。
(図1) はドル円の週足チャートの例である。このチャートを参考に移動平均の動きを見てみよう。
(図1) ドル円 (週足)
緑線-5週移動平均線 赤線-13週移動平均線 紫線-26週移動平均線
(株式会社ZUU作成)
チャートが下げる段階で、まず短期移動平均線 (5週、緑) が先行して下げ、次いで中期移動平均線 (13週、赤線) 、最後に長期移動平均線 (26週、紫) が追って下げているのが判るだろう。
チャートが上げる段階では逆に、短期移動平均線、中期移動平均線、長期移動平均線の順に上がっていく。短期、中期、長期の移動平均が同じ方向に向いている場合にはしっかりとしたトレンドがでているという見方をする。
こうしたトレンドを利用して売り買いするのが移動平均線での投資方法だ。
相場のタイミングをはかるサインとして特に重視されているのが「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」だ。
(図1) の左の赤丸は短期移動平均線が中期移動平均線を下から上に抜いたときである。右の緑丸は短期移動平均線が中期移動平均線を上から下に抜いたときだ。このように短期、中期、長期の移動平均線で、期日の短いものが期日の長いものを下から上に抜くことを「ゴールデンクロス」、上から下に抜くことを「デッドクロス」という。
このチャートでは、「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」が相場のトレンドが反転するサインになっている。移動平均分析が重要視されるのは、相場のトレンドの変換の大きなトレンドをつかみやすいからだ。
ただし、注意点もある。移動平均線は、あくまで過去のパターンからトレンド分析をするものであるという点だ。たとえば、米中貿易摩擦や地政学リスクなどといったテールリスク (まれにしか起こらないはずの想定外の暴騰・暴落が実際に発生するリスク) が発生して、相場の変動が高まる時には、過去のパターンが当てはまらないこともよくあることとして注意しておきたい。
移動平均分析は、為替だけでなく、株式など他の金融商品にも利用できる。まさにチャート分析の基本中の基本だ。色々なチャートをチェックすると、「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」の重要さがわかることだろう。
(提供:株式会社ZUU)
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