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2020年10月2日

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景気悪化なのに物価が上昇する「スタグフレーション」とは ?

景気悪化なのに物価が上昇する「スタグフレーション」とは ?
(写真=LIGHTFIELD STUDIOS / stock.adobe.com)

コロナショックにより世界各国で景気後退の局面に陥っている。景気が悪くなればモノが売れなくなり、物価が下落する圧力がかかりやすくなるが、反対に物価が上昇する「スタグフレーション」の現象が起きることもある。このようなスタグフレーションの状況下ではどのような投資スタンスで構えていくべきなのか。

コロナショック、需要は落ち込むもコストアップによるインフレ圧力

経済が活況を呈している際は、モノがよく売れて需要が高まることで価格がどんどん上昇していく。この際は好調な景気により給与も引き上げられることが多いため、価格が上がっても負担感はそれほど増加しない。こうした力強い需要によって導かれる物価上昇は、「ディマンドプル・インフレ」と呼ばれる。

一方、人手不足からの人件費高騰や原材料価格の上昇など生産コストの上昇によって引き起こされる「コストプッシュ・インフレ」という現象もある。コロナショックに襲われる前の経済状況を思い出してもらいたい。コンビニでは人手不足により人件費が高騰したり、建設資材の高騰を受けオリンピック会場建設費用が当初の見込みよりも膨れ上がったりしていた。

コロナウイルスの感染拡大により、一時は厳しく自粛を迫られた経済活動も徐々に再開の動きはみせているものの、この先、以前のレベルの需要にいつ戻るかは不透明だ。つまり、ディマンドプル・インフレが発生する可能性は相対的に低い一方で、コストプッシュ・インフレの圧力は潜在する。

実際にコロナショックの影響から、国際旅客便の運航減少を受けて航空貨物運賃は高騰しており、景気後退局面でのインフレとなるスタグフレーションに現実味が帯びている。生産コストが上昇すれば企業の利益は減少するため、景気後退局面でのインフレはさらなる景気の悪化に繋がる恐れもある。

石油ショックもスタグフレーションの一例

トイレットペーパーの買い占めの記憶で思い出されることが多い1970年代の石油ショックも、実はスタグフレーション現象の一例だ。第一次石油危機が勃発した1974年、日本の実質GDP成長率は前年の+8.0%からマイナス成長に転じた。

急激な景気の冷え込みに襲われた日本経済であったが、石油危機の影響で原油価格が高騰した影響から1974年の消費者物価上昇率は25%に迫る勢いであった。まさに不況下の物価高騰というスタグフレーションに苦しんだ日本経済は、石油危機以前のような高成長を取り戻すのに時間を要し、1980年終盤まで待たなければならなかった。

スタグフレーション時の投資スタンスは ?

景気は悪化しているが物価は上昇という不穏な空気が漂う中では、積極的に投資に乗り出す気にはなれないかもしれない。だからといって、安全性の重視から預貯金に資産を保管して景気回復まで待機していると、インフレによって預けたお金の価値は目減りすることになる。

従って、インフレの状況下こそしっかりとした投資スタンスを定めておかなければならない。価値が目減りする預貯金ではなく、株式のほか不動産や金といった現物資産に振り分けることはインフレ対策に繋がり、資産の目減りを防ぐことにも繋がるだろう。

株式についていえば、コロナショック前までは上昇局面が続いていたが、株価の急落を受けて割安に投資できる銘柄も増えている。スタグフレーションの影響で、給与が下がったにもかかわらず不動産価格が上昇すれば、投資用物件どころかマイホームの購入さえ遠のいてしまう可能性もある。さらに、金価格はこうした不安定な情勢を反映してか投資資金の受け皿となり史上最高値を更新している。

コロナ禍の後の経済動向はV字回復あるいは緩やかな回復に留まるのか、先行きは不透明だが、スタグフレーションのリスクを考慮して、株式や現物資産にシフトすることを検討してみてはどうだろうか。

(提供:株式会社ZUU)

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