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2020年8月19日

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株価急落後の戻しライン コロナショックと過去のショックを比較 !

株価急落後の戻しライン コロナショックと過去のショックを比較 !
(写真=imageportal / adobe.stock.com)

コロナショックによる株安は、新規感染者数のスローダウン、経済再スタート、治療薬への期待から一旦底打ちし、日経平均は重要な戻りラインである下げ幅の「半値戻し」を達成した。「半値戻しは全値戻し」なのか ? 2番底があるのか ? 過去のショックを例に検証してみよう。

日経平均は5月11日に早くも半値戻し達成

コロナショックで、日経平均は2020年2月12日の直前高値2万3,861円から、同年3月19日の直近安値1万6,553円まで25営業日で31%の急落を演じた (引け値、小数点以下四捨五入) 。相場が一旦底を付けたのは、安倍政権は過去最大級の経済対策、日銀は金融政策を早急に打ち出し、米トランプ政権も2兆ドル規模の経済対策、米FRBも量的緩和を無限大にして買入対象を拡大するなど、主要国がかつてないような規模とスピードで経済対策と金融支援を打ち出したことから、世界経済がV字回復するとの期待からだろう。

その後、新規感染者数のスローダウンや治療薬やウイルス治療薬への期待から戻りは継続し、日経平均は5月11日に底値からわずか32営業日で下げ幅の半値戻しである2万207円を一旦達成した。

株式相場では大きな調整後の戻り相場で、下げ幅の「3分の1戻し」、「半値戻し」、黄金分割比率である「61.8%戻し」、「3分の2戻し」などが重要な節目ラインとして意識される。とくに「半値戻しは全値戻し」という相場の格言もあるように、「半値戻し」には特別な見方を持つ投資家は多い。

過去の大型調整局面では2番底を見に行く局面も

一番気になるのは、このまま全値戻しに向かうのか、ファンダメンタルズの実態の悪さから2番底があるのかだろう。過去の大型調整局面として、リーマンショック、チャイナショックを例として振り返ってみたい。

リーマンショックは、2008年の米大手証券リーマンブラザーズの破綻に伴う金融危機による世界株安だ。日経平均は直前の2008年6月高値からボトムの2009年3月まで51%の下落で、底打ちまで営業日で185日を要した。リーマンが破綻したのが2008年9月15日、その後急落、相場は一旦11月に底入れするが、2009年3月に向けて2番底を見に行った。ちなみに下げ幅の半値戻しを達成するのは2010年1月だ。2009年3月底値からさらに10ヶ月もかかっている。

チャイナショックは、2015年に中国バブルの崩壊から中国株が急落することが引き金となって起きた世界株安だ。日経平均は直前の2015年6月高値からボトムの2016年2月まで28%の下落で、底値までは営業日で155日を要した。株価は2015年末には一旦回復したが、2016年初から再急落し、2016年2月に底値を付けに行く。2016年2月の底値から、半値戻しを達成するのは2016年11月で、底値から9ヶ月かかった。

今回のコロナショックは、下落率では31%と両ショックの中間であるので値幅的には調整終了感はあるが、底値までが25営業日、底値から半値戻しが32営業日と、市場はかつてないスピードで上下したことが特徴だ。

2番底はファンダメンタルズ次第と見ざるを得ない

リーマンショックの経験から、主要国の政府や中央銀行はかつてない規模とスピードで経済政策と金融政策を打ち出した。だからこそ、株式市場もかつてないスピードで展開したのだろう。

「半値戻しは全値戻し」というのは、大きな調整後は前述したような節目ラインが心理的な抵抗線となる事が多いが、「半値戻し」を達成すると言うことは、それだけ市場の買いニーズが高いということであり、全値を戻す可能性が高いだろうという格言だ。今回も「半値戻しは全値戻し」の可能性もありうる。

ただ、過去の経験からは、完全な底打ちには日柄が短すぎるとの指摘も多い。結局は、新型コロナウイルスの第2波がくるのか ? 抗ウイルス薬でコロナを押さえつけられるのか ? 「アフター・コロナ」の世界は今まで通りなのか ? それとも「ウィズ・コロナ」で成長力は低下するのか ? 世界的なパンデミックという経験があまりないだけに、新型コロナウイルスの状況とファンダメンタルズを見ながらの展開にならざるを得ないだろう。こうしたポイントを投資の参考にしてほしい。

(提供:株式会社ZUU)

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