2020年6月8日
2000年以降、株式市場では何年かに一度、「●●ショック」と名の付くような大きな下落が起きている。たとえば、リーマンショック、チャイナショック、直近ではコロナショックがいい例だ。そこで、2000年以降の日経平均株価に関する「●●ショック」を振り返り、どのくらいのスパンで、なにを理由に下落したのかなどについて振り返っておきたい。ショック安の影響を見極めるための参考になるのではないだろうか。
2019年末に中国武漢で発生した新型コロナウイルスは想定外の早さで世界に蔓延し、2020年3月11日にWHOがパンデミック宣言、 4月14日には感染者数が190万人、死者は12万人に達した。世界の主要都市がロックダウンしたこともあり、経済への影響は計り知れない。実際に経済への影響が確認できるのは経済指標や企業の決算発表などがでてくる2~3ヶ月後になるだろう。安倍首相はリーマンショック時を上回る過去最大の経済対策の計画をしている。
「コロナショック」では、株式市場はすでに実態経済の悪化をある程度織り込み、大揺れになっている。このような有事には、株、ハイイールド債、原油などのリスク資産が売られ、国債や金などの安全資産が買われることが多い。企業が資金繰り悪化を懸念して、キャッシュの手元流動性を確保するため、「有事のドル買い」が見られることもある。
2019年後半の米国の金融緩和などによる景気刺激策で世界景気の底打ちに期待による世界株高の流れを受けて、日経平均株価は2020年1月17日に2万4115円と、2018年の10月5日以来1年3ヶ月ぶりの2万4000円台をつけていた。
しかし、市場のセンチメントは「コロナショック」で一変、3月19日には一時1万6358円と、2016年9月以来3年4ヶ月ぶりの安値をつけた。2020年1月17日からはわずか2ヶ月で3割の暴落を記録し、トランプラリーによる株価上昇分を帳消しにしたことになる。
日経平均株価の2000年以降の急落局面で、「●●ショック」と名の付くような下落相場は、「リーマンショック」―サブプライムローン問題で米大手証券リーマンブラザーズが破綻しておきた世界経済の縮小局面、「チャイナショック」―中国発のバブルが人民元引き上げをきっかけに崩れた世界的な株の暴落がある。それに加えて「ITバブル崩壊」―FRBの利上げをきっかけに急騰していたインターネット関連銘柄が暴落したことによる景気後退局面、「東日本大震災」―日本の大地震と原発事故による株の急落局面がある。今回の「コロナショック」も含めて、日経平均株価の下落幅、率、期間などを対比 (表1) してみよう。
東日本大震災後の下落率は16%程度と比較的小さく、復興需要への期待から2日で底から反発したので例外としても、他の「ショック安」では底打ちまでに155日から226日を要しており、下落率は28%から51%である。「コロナショック」は、3月19日の直近のボトムで30%下げたが、まだ25日しか経過していない。したがって、株式市場が実体経済の悪化とともに2番底を見に行く懸念があるという見方も多い。
株式市場の格言に「落ちてくるナイフはつかむな」という言葉がある。落ちてくるナイフをつかみにいくと刃で怪我をしてしまう。ナイフが床に落ちてからつかめば怪我はしないという意味で、急落時にあえてリスクをとることはないということを言ったものだ。「●●ショック」は、下落率も下落期間も長くなることが多い。こういう局面では、自分の資産を守ることが一番大切な対応である。常に冷静に相場に向かいながら、長期投資か短期投資か ? 成長株投資か割安株投資か ? など投資のスタンスを省みながら投資していくことが大切なのでないだろうか。
(提供:株式会社ZUU)