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2020年2月13日

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「使い捨てプラスチック」の規制で企業はどう変わる ?

「使い捨てプラスチック」の規制で企業はどう変わる ?
(写真=igorstevanovic / Shutterstock.com)

クジラの胃から大量のビニール袋が発見されたり、フロリダのビーチで死亡したほとんどのアカウミガメからプラスチックが検出されたり、地球規模でプラスチックごみ汚染が深刻化している。2015年にドイツで開催されたG7 (先進7カ国) サミットの首脳宣言でも、プラスチックを主とする海洋ごみが世界的な問題であることが確認された。

すでに多くの国々・地域が使い捨てプラスチック製品対策に乗り出しており、日本でも規制が強化されていく方向にある。その結果、社会や私たちの生活はどのように変わっていくのだろうか ?

マイクロプラスチックは食物連鎖で人体にも取り込まれる

2018年5月に欧州委員会は、海洋におけるプラスチックごみの削減に向けて、EU (欧州連合) 全域における規制を提案した。また、多数の国々・地域がレジ袋の有料化や課税、製造・販売・使用の禁止を実施している。

日本においても「プラスチック資源循環戦略」が策定され、政府が使い捨てプラスチック製品の抑制やリサイクル、バイオプラスチックへの代替などが推進する方針を示している。バイオプラスチックとは、微生物によって分解される「生分解性プラスチック」と、植物由来のバイオマスを原料とする「バイオマスプラスチック」の総称だ。

なぜ、グローバルに使い捨てプラスチック製品対策が強化されているのか。それは冒頭でも触れたように、生態系に多大なる影響を及ぼす恐れがあるからだ。

海洋に漂うレジ袋や漁業用の網などもさることながら、特にやっかいなのがマイクロプラスチックだ。これは5ミリメートル以下の微細なプラスチックごみで、魚類を通じて人間の体内にも食物連鎖によって取り込まれていく懸念がある。

レジ袋などが漂流するうちに破砕・細分化されてマイクロサイズになったケースもあるが、洗顔料・歯磨き粉などのスクラブ剤に用いるために人為的に作られたものも少なくない。下水を通じて海洋に流出しており、その回収は極めて困難とされる。

そこで、米国やカナダ、フランス、英国ではマイクロビーズを含むパーソナルケア製品の製造や販売が規制されている。日本国内でも、日本化粧品工業連合会が2016年3月に自主規制を呼びかけた。

グローバル企業は率先してプラスチックごみ削減に取り組む

国や業界団体のみならず、個別の企業もこの問題に正面から取り組んでいる。コカ・コーラは2018年1月に、「2030年までに製品に使用するすべてのボトルと缶の回収・リサイクルを推進する」というグローバル目標を定めた。これを受け、日本コカ・コーラもその達成に向けてペットボトルのリサイクルや、植物由来素材の採用を推進していくという。

同じくグローバル企業であるマクドナルドも、2025年までにすべての容器包装において再生可能、リサイクル、もしくは認証済み資源を使用する方針を掲げた。また、2018年7月にスターバックスも、プラスチック製の使い捨てストローを2020年までに世界中の店舗で全廃すると発表している。

石灰石を主原料として日本発の代替新素材も !

先述したバイオプラスチックのように、代替品の開発も進められている。その中には、日本発の新素材として期待が高まっているものがある。

それは素材ベンチャーのTBMが開発した「LIMEX (ライメックス) 」で、プラスチックや紙の代替品として脚光を浴びつつある。この素材は日本国内でも豊富に産出される石灰岩が主原料となっており、2014年に特許を取得して2016年から販売が開始された。

そして、使い捨ての食器やメニュー表、ポスター、名刺、レジ袋などに活用されはじめており、採用企業も拡大中だ。さらにTBMでは、石灰岩に植物由来のポリ乳酸を組み合わせた「生分解性LIMEX」の開発にも取り組んでおり、それに成功すればマイクロプラスチック問題の解決に結びつく大きな一歩となりうる。

私たち一般消費者も、使い捨てプラスチック製品を「使わない、捨てない」という地道な取り組みを草の根レベルで進めていくことで、知らず知らずのうちに自分の体内へとマイクロプラスチックが蓄積されていくことを防いでいく必要がありそうだ。

(提供:株式会社ZUU)

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