2018年11月22日
為替相場を予想するためには、大きく分けてファンダメンタルズ分析とテクニカル分析という2つの大きな視点が必要になる。また、「夏は円高になりやすい」、「米中間選にむけては円高になりやすい」など、季節やイベントによって為替が動きやすいとされているアノマリー (理論的な根拠はないが、経験則的に起こりうるとされている事象) を把握することが見通しを考える上で役に立つ。為替相場の見通しを考える上で必要なポイントを紹介しよう。
為替相場の予想はスパンによって見るべき視点が変わる。短期的には需給関係や心理が重要なファクターとなるテクニカル分析が有効で、中長期的にはグローバルな大きな資金の流れを見るファンダメンタル分析が有効なことが多い。
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析はどちらかだけではなく、併用しながら分析することが重要だ。以下ではそれぞれどのようなことが分かるのかを整理しよう。
【ファンダメンタルズ分析】
経済指標など経済の基礎的条件で為替相場を予想するのがファンダメンタルズ分析だ。
為替の動きはグローバルな資金の動きを表しているとも言え、教科書的には国の景気が強い国に資金が集まりやすいとされている。たとえば、米国と日本の景気の強さや方向性を国内総生産 (GDP) 等の経済指標で比較する。米国の経済が日本より高いならば、ドル高・円安になりやすいというのが基本の考え方だ。
各国の通貨政策や金利動向も大切だ。グローバルな投資資金は少しでも利回りの高いところに集まりやすい。米国の金利が日本より高ければ、資金は日本円から米ドルに向かい、ドル高・円安になりやすい。特に、米国の政策金利や通貨政策を決める米連邦準備制度理事会 (FRB) の米連邦公開市場委員会 (FOMC) や日銀の金融政策決定会合における発言や内容が為替相場で重要なイベントとなる。
FRBや日銀などは金利水準を判断するにあたり、雇用統計や賃金、物価統計などを重視している。米国の雇用統計や物価統計といった経済指標の発表には為替関係者の注目が集まる。雇用統計後に為替が大きく動くことが多いのはそのためだ。
そのほか、地政学リスクや各国の貿易政策なども重要な要素となる。たとえば、世界のどこかでテロや戦争が起きたとき、世界貿易摩擦が高まった時などでリスクオフ時には円高になるなど為替が動くことが多い。
【テクニカル分析】
テクニカル分析は、将来の為替変動を過去のパターンから分析するアプローチだ。テクニカル分析の種類は数十種類存在するが、投資スタイルから、相場のトレンドに乗る「順張り」と、トレンドの反転を狙う「逆張り」に分類できる。
さらに、順張りに適した指標が「トレンド系」、逆張りに適した指標が「オシレーター系」といったようにカテゴライズできる。値動きの方向性を分析するのがトレンド系、価格変動を通じて相場の強弱を分析するのがオシレーター系だ。
これらは完全に綺麗に分けて分析するものではなく、例えば移動平均乖離率やMACD (移動平均収束拡散手法:短期と長期の移動平均線の動きから売買タイミングを読み取る指標。2本のラインだけで表すため売買サインの見やすさに利点がある) 、ボリンジャーバンド (統計学的観点から価格の変動範囲を予測してチャート上に表示する指標。株価移動平均線からの振れ幅をラインで表示し、値動きが収まりやすい範囲が一目で分かる利点がある) は順張り指標にも逆張り指標としても使用されることが多い。
為替相場は、投機筋と実需筋が存在するマーケットである。実際に外貨両替が必要で為替取引を行う必要がある実需筋の動向を知ることが為替変動を予想する手助けとなる。実需筋の動きがあるからこそ為替には季節要因があると言われている。
たとえば、「日本から海外旅行に行く人が増えるので夏にはドル需要が増えて円安になりやすい」、「3月、9月には日本の輸出企業が決算を控え外貨を円に変えるので円高になりやすい」などが代表的なアノマリーだ。代表的な季節要因とアノマリーを紹介しよう。
【アノマリー】
<春>
<夏>
<秋>
<冬>
【イベント】
イベントに関してもアノマリーが多い。2018年は4年に一度の米国中間選挙が行われる年だ。米国中間選挙の年には、中間選挙前まで株価は重く、選挙後に株価が上昇するアノマリーがある。ドル円でも中間選挙に向けて円高・ドル安で、選挙後は円高傾向が一旦緩むアノマリーがあるようだ。
このように為替市場に関するアノマリーは数多く存在する。あくまで根拠がないことは念頭に入れつつ、多くの投資家がアノマリーを知っており、それを見越して投資行動に行動に移すこともある。為替相場を予想する上での材料のひとつとして参考にしてみてはいかがだろうか。
(提供:株式会社ZUU)
【関連コラム】