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2018年11月14日

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米金利上昇、過去の「ドル円相場」はどう動いた ?

米金利上昇、過去の「ドル円相場」はどう動いた ?
(写真=PIXTA)

堅調な経済を背景に米国連邦公開市場委員会 (FOMC) はここ数年、政策金利 (FFレート) の引き上げを続けている。インフレが低水準で落ち着いていることもあり、緩やかな利上げが継続している。

米政策金利引き上げの影響を受けて、米10年債利回りは上昇を続けている。2018年4月には節目となる3%を4年ぶりに突破。今後も政策金利の引き上げが継続的に行われ長期金利の上昇傾向が続くのか、今後の金融政策が気になるところだ。一般的には、金利差が拡大すれば金利が高い通貨が買われやすい。今後の投資戦略の参考にする上で、過去に日米金利差が拡大した局面を振り返っていこう。

拡大する日米の金利差

国内に目を向けると、日銀は2013年に2%の物価目標を達成するために異次元緩和を始めた。その甲斐あって、株式市場はアベノミクス相場のおかげで大幅に上昇した。しかし、消費者物価指数は2%を達成する気配は一向に見えず、いまだ出口戦略を描けるような状況には至っていない。

為替相場は一般的に国の金融政策、政策金利の動きに影響を受ける。経済が良好であれば金利の上昇につながり、その国の通貨が買われやすくなる。米国では堅調な経済を背景に2016年中頃から政策金利の引き上げ期待から米ドルが買われ始めた。1米ドル100円を割り込む水準だったが、金利上昇への期待から米ドルが買われ始め、一時は1米ドル120円台まで買われたこともあった。

米国とは対照的に日本では超低金利の状況がいまだ続いており、日米金利差の拡大トレンドはしばらく継続すると考えられる。

過去の日米金利差拡大局面を振り返る

経済状況が異なれば各国の金利水準も異なる。低金利の通貨を利用して資金を調達し、その資金で高金利の通貨を購入して運用を行った場合、高金利通貨と低金利通貨とで金利差が生じる。この金利差を利用して利ザヤを稼ぐ取引は「キャリートレード」と呼ばれる。

わかりやすい例で言うと、外国為替証拠金取引 (FX) のスワップポイント (金利差収入) を得る取引手法がそれにあたる。超低金利の日本円を借り入れて高金利の外貨を購入して運用を行い、その金利差で稼ぐ取引を「円キャリートレード」と呼ぶ。

米国では大胆な金融緩和によるデフレ懸念の払拭から2004年6月に金融引き締めを開始し、当時1%だったFFレートを0.25%の幅で慎重に引き上げていき、景気に与える影響を最小限にとどめ、経済の成長ペースを維持しながら2006年6月には5.25%まで上昇させていった。その間、日本では超低金利が続いており、日米金利差に着目した投資家が円キャリートレードを活発に行い、ドル円は2007年6月に124円台の円安水準を付けた。2007年頃には「ミセスワタナベ」という言葉が登場するほど、円キャリートレードが盛んに行われた。今では外国為替証拠金取引 (FX) を手掛ける個人投資家の総称としてミセスワタナベが経済誌でも使用されるほど定着するまでに至った。

このように日米金利差の拡大という観点から過去の局面を振り返ると、ドル円にはさらなる上値余地があると考えられるのではないだろうか。

複雑な要因が絡み合う金利動向 景気動向や金融政策に要注目

金利動向はその時々の世界経済の動向や金融政策、市場の需給といったさまざまな要因が複雑に絡み合う。日米金利差が拡大するからといって一概に高金利通貨の米ドルが買われるとも限らない点には注意が必要だ。過去の傾向を見るに、世界経済が緩やかに拡大しており、政治や軍事面での地政学リスクも小康であれば、低金利通貨から高金利通貨に資金が流れていく。景気循環の判断や金融政策を総合的に分析するためにも常日頃からアンテナを張っておきたい。

(提供:株式会社ZUU)

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