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2017年9月8日

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それは円高じゃなくてドル安かも ? ドルインデックスの読み解き方

ドル円為替レート
(写真=Powerphotos/Shutterstock.com)

米ドルと日本円の為替相場を予想するとき、ドル円為替レートだけを見てはいないだろうか。確かにドル円為替レートをみれば、米ドルと日本円の力関係 (今はどちらが買われているか) が分かる。しかし、地球上には米ドルと日本円しか存在しないわけではない。

特に米ドルは実質的な「世界の基軸通貨」であるため、世界中の通貨に対して、どのような動きになっているかを把握することが重要だ。そこで、グローバル視点で米ドルの動向を知るために、ドルインデックスを活用してはどうだろうか。この記事では、ドルインデックスとその読み解き方について説明する。

ドルインデックスとは

「ドルインデックス」という言葉を聞いたことはあるだろうか。ドルインデックスとは、ユーロ・円・ポンド・スイスフランなど複数の主要国通貨に対する米ドルの価値を指数化したものだ。ドルインデックスの数値が高いと主要通貨に対して米ドルが買われていることを示し、低いと米ドルが売られていることを示す。

ドルインデックスは、インターコンチネンタル取引所 (ICE) 、アメリカ連邦準備制度理事会 (FRB) や国際決済銀行 (BIS) など複数の組織が、それぞれ独自の方針に則って算出している。各組織のドルインデックスの違いは、構成する通貨の種類や割合などである。

例えば、ICEのドルインデックスは6通貨で構成されているが、FRBのドルインデックスは26通貨で構成されている。構成通貨の数が異なると、どのドルインデックスを見れば良いか迷ってしまうかもしれないが、米ドルの大体の方向性を確認することが目的であれば、どのドルインデックスでも大きな問題は生じないだろう。

それは円高じゃなくてドル安かも ?

仮に現在、ドル円為替レートが「ドル安円高」方向に動いているとしよう。多くの人は、どうしても日本円側の動向、つまり「円高」が進んでいると感じてしまうのではないだろうか。

しかし、為替レートの予測においては、このドル安円高が「米ドルが売られていることによるドル安円高なのか」それとも「日本円が買われていることによるドル安円高なのか」を見極めることが重要だ。それを見極めるツールのひとつがドルインデックスなのである。

ドル安円高が進んでいる最中、ドルインデックスが下落していたとしよう。ドルインデックスが下落するということは、米ドルが、日本円を含めた世界の主要通貨に対して売られているということだ。この場合は「米ドルが売られていることによるドル安円高」と言える。

しかし、ドル安円高が進んでいる最中、ドルインデックスが上昇していたらどうだろうか。ドル安円高が進行していても、米ドルに対して日本円以外の主要通貨が下落すれば、ドルインデックス指数は上昇してしまうのだ。この場合、日本円以外の主要通貨に対してはドル高だが、その米ドル以上に日本円が買われているので「日本円が買われていることによるドル安円高」と言える。

また、ドルインデックスが横ばいにも関わらず、ドル円為替レートが大きく変動するパターンも想定できる。このように、ドル円為替レートを見ると同時に、ドルインデックスも確認すれば、このドル安円高が「ドル安が主因なのか」それとも「円高が主因なのか」を判断することができる。

為替レート予測への活用

では、「変動の主因が通貨ペアのどちらにあるのか」を判断することが、なぜ為替レートの予測に役立つのだろうか。まず、大きく的を外さないことが挙げられる。

例えば、このドル安円高の主因がドル安だったとしよう。しかし、ドルインデックスをしっかり確認しないと、「何かのニュースで積極的に円が買われたのではないか」と誤った認識をしてしまうかもしれない (この場合、確かに円は買われたが「積極的に」買われたわけではない。あくまでドルを手放した資金の受け皿となった結果である。) 。ドル安に主因があるのに、積極的に円が買われたニュースを探し続けるのは、大きく的を外したマーケット分析と言わざる得ないだろう。

「変動の主因が通貨ペアのどちらにあるのか」を把握したら、次はその要因が「今後も継続的に続きそうか」もしくは「もうすぐ効力を失いそうか」を判断しよう。継続的に続きそうだったら、その為替トレンド (上記の例ではドル安円高) も続く可能性が高い。反対に、もうすぐ効力を失いそうであれば、その為替トレンドは止まるか反転する可能性が高いと言えるだろう。

ドルインデックスを見るときの注意点

ドルインデックスを見るときは、構成する通貨の割合に注意したい。ICEのドルインデックスは、ユーロが約6割を占めているので、ユーロドル為替レートの影響を受けやすい。従って、構成通貨の割合と動向を頭に入れて、ドルインデックスを見るのがベストと言える。

しかし、そこまで為替市場を広く深く観察できる人はそう多くないだろう。まずは「米ドルが売られて (買われて) いることによるドル安円高 (ドル高円安) なのか」それとも「日本円が買われて (売られて) いることによるドル安円高 (ドル高円安) なのか」を見極められるようにしたい。

(提供:株式会社ZUU)

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