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2017年8月15日

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FEDとFRBって何が違うの ? 世界が注目する金融政策

FEDとFRBの違い
(写真=blvdone/Shutterstock.com)

「3月のFOMC議事録が発表され、FRBがテーパリング (バランスシートの縮小) に着手する議論を始めた」というニュースを耳にした人もいるだろう。そうでなくとも、テレビや新聞の経済報道を見ても、米国の中央銀行に関するニュースは多い。

世界最大の経済大国である米国経済が日本経済に与える影響は大きい。米国の金融政策の動向が注目されるなか、よく耳にするのが「FED」や「FRB」といった用語だ。今回は、今後の日本を含め、世界経済の流れを読むために必要な米国の中央銀行の仕組みと、今後の米国の金融政策の焦点を紹介する。

FEDとFRBは何が違うのか

よく耳にするFEDとFRBは、どちらも米国の中央銀行に関連する言葉だ。FEDはFederal Reserve System (フェデラル・リザーブ・システム) の略称で、連邦準備制度のことを指す。一方、FRBはFederal Reserve Board (フェデラル・リザーブ・ボード) の頭文字をとったもので、連邦準備制度理事会といわれている。つまり、大まかに言えば、FEDは米国の中央銀行の制度そのものを指し、その中で実際に意思決定をしている組織がFRBである。

ここで、やや分かりづらいのが「FRB」という言葉が連邦準備理事会を指していると同時に、連邦準備銀行も意味しているという点だ。連邦準備銀行を意味するFRBはFederal Reserve Bank (フェデラル・リザーブ・バンク) の略である。

米国には12の連邦準備銀行 (地区連銀) が存在し、ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、シカゴ、セントルイス、ミネアポリス、カンザスシティ、ダラス、サンフランシスコのそれぞれに設置されている。

州の独立性が強い米国では、日本とは違い、中央銀行の機能を分散させることで、国の金融制度をうまく機能させようとしているのだ。加えて、ひとつの州だけに中央銀行を置くと、その州の影響力が高まってしまうので、それを防ぐという意味合いもある。

FRB (連邦準備制度理事会) は、7人の理事によって構成されており、議長は大統領が指名する。現在は2014年に第15代議長に就任したジャネット・イエレン氏が務めている。なお冒頭で述べたFOMC (連邦公開市場委員会) は、連邦準備制度理事会の理事7人とニューヨーク地区連銀総裁、ニューヨーク以外の地区連銀総裁4人 (輪番制) の合計12人で構成されている。FOMCで決定された金融政策をそれぞれの地区連銀で実行する仕組みだ。

FRBが持つ2つの使命

FRBには果たすべき使命が2つ存在する。それは「雇用の最大化」と「物価の安定」だ。この2つを達成するためにFRBは金融政策を調整している。

2008年以降、金融政策と財政政策で、米国はリーマン・ショックによる景気後退から抜け出そうとしてきた。財政政策を行うのは米国政府なので、FRBは金融政策を担った。具体的には、政策金利を大胆に下げ、さらに大量にお金を発行する (マネタリーベースを拡大する) ことによって、企業や個人にお金が行きわたり、消費や設備投資が活発になるようにした。

なぜならば、FRBの使命である「雇用の最大化」と「物価の安定」が、リーマン・ショックによって損なわれたからだ。特に、景気後退による企業の雇用縮小は顕著で、多くの人が解雇され、職を失った。リーマン・ショックのような経済危機を抜け出すため、政府と中央銀行が景気浮揚策を打つのは一見、当たり前のように感じるが、FRBからすると、2つの使命を果たすために行動していたわけだ。

懸命な金融政策の効果もあり、現在の米国は、完全雇用状態にあると言われている。言い換えれば、FRBの「雇用の最大化」の使命は果たしている状態とも言えるだろう。もう一つの使命である「物価の安定」に関しても、直近の物価上昇率は、FRBがターゲットしているプラス2%の近辺を推移している。これらのことを踏まえると、リーマン・ショックから立ち直るために行った大規模な金融緩和は、今後、正常化の方向に進むことが予想される。

今後のFRBの金融政策は世界が注目している

リーマン・ショック後のリスク資産は、FRBをはじめとする各国中央銀行の大規模な金融緩和に支えられて上昇してきた側面もある。それがなくなり、むしろ正常化という名の金融引締めが行われるとすると、資産価格に影響を与える可能性も否めない。

そうでなくとも米国の金融政策は、日本経済や世界経済にとっても注目が集まる重要な決定だ。今後の日本経済を見通すためには、上記で紹介したFRBやFEDといった仕組みを理解し、米国の経済統計などと併せて、金融政策の動向を注視する必要がありそうだ。

(提供:株式会社ZUU)

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