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2016年10月18日

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相場が荒れると上昇する「恐怖指数」とは ?

恐怖指数
(写真=PIXTA)

あなたは「恐怖指数」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。正式名称は「VIX指数 (英語表記「Volatility Index」の略称) 」で、シカゴ・オプション取引所 (CBOE) が算出・公表している、S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティー・インデックスのことだ。金融市場において取引に参加している投資家たちの心理状況を如実に表すことから、通称「恐怖指数」と呼ばれている。

それでは、VIX指数とは、具体的に何を示している指数なのだろうか。以下で見ていこう。

VIX指数は投資家が先行きに不安を抱く局面で大きく上昇

投資家が先行きに不安を抱いている局面では、「株価が乱高下する (ボラティリティが高まる) のではないか ? 」との予測が大勢を占めがちである。S&P500が先々でどのように推移するのかを予測して行われているオプション取引の価格から「将来のボラティリティ (株価の変動率) 」を逆算しているのだ。

こうしたことから、世の中の先行きが不透明になってくるとVIX指数も上昇傾向を示しやすい。通常は10~20の間で推移し、20を超えると強い警戒感を示すとされている。特に不安が募ってくる相場局面では30を大きく突破して上昇するというパターンを繰り返している。

VIX指数が30超に上昇すると米国株は記録的な下落となる

古くは1997年のアジア通貨危機で、VIX指数が10月30日に38超まで振れると米国株は高値から6%の下落を記録した。その翌年にはロシアの通貨危機が勃発し、10月にはVIX指数が45を突破、米国株は高値から18%の下落となった。

また、2001年の米国同時多発テロ事件を受けてVIX指数が43超を突破すると、米国株は12%の下落を記録した。ところが、翌年以降、ボラティリティの一層の高まりを見せることになる。2002年に発覚したエンロンという企業の不正会計事件を機にVIX指数が45を突破すると、米国株は高値から34%も下落したのだ。極めつけは2008年9月のリーマンショック時で、VIX指数は過去最高値となる89超まで上昇。すると、米国株は高値から57%もの下げ幅となった。

その後も2010年のギリシャ危機、2011年の南欧諸国財政危機、2015年のチャイナショック (中国経済の失速懸念) でVIX指数は40を突破し、米国株も急落に見舞われてきた。それらと比べれば、英国の国民投票でEU離脱派が勝利して世界中が震撼した局面ではVIX指数の上昇は30未満に止まっている。

同報道を受けて日本株は大幅な下落を記録したものの、その動きと比べれば米国株の下値は限定的で、騒ぎが収束するのに伴ってS&P500は史上最高値を更新するまでに至っている。

これまでのVIX指数の動きを見ると、「VIX指数が30超に上昇すると米国株は記録的な下落となる可能性が高い」という逆相関の関係が浮き彫りとなっているのだ。その域まで達せずとも、英国の国民投票直後のようにVIX指数が30という警戒水域まで接近した局面では、株式市場が乱高下しやすいとも解釈できるだろう。

VIX指数を上手く活用して資産のヘッジを !

このように投資家心理を映し出すVIX指数に日頃から注目しておけば、株価の急激な変動にもそれなりの備えが可能となってきそうだ。VIX指数の上昇が顕著な局面ではショート (空売り) のポジションで株式市場に臨んだり、不安心理が高まると安全資産として資金が流入しやすい金価格の上昇に狙いをつけたりするのも一考と言えよう。

あるいは、VIX指数に連動するETFも市場に上場しているので、この金融商品で対応するのもひとつの手かもしれない。先行きに対して不安が募っている局面では「休むも相場」が原則ではあるものの、金融が大きく発展した現代においては下落時にはまったく打つ手がないわけでもなさそうだ。

(提供:株式会社ZUU)

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