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2016年9月20日

「株主優待」目的の投資で最低限考慮すべき5つのポイント

株主優待
(写真=PIXTA)

株式を購入して株主になると、いくつかの特典を手に入れることができる。株主総会への出席や配当を受け取る権利、株主優待もその1つだ。人気外食チェーンの優待割引券やワイシャツの仕立て券、さらには現金に近い感覚で使用できるプリペイドカードが届いたりするので、株主優待を目当てに株式を保有している個人投資家も少なくない様子である。

もらって嬉しい株主優待だが、あくまで主は株式投資であり、注意すべきポイントもいくつかある。準備をおろそかにしたまま手を出して思わぬ後悔を招くことのないよう、この場で整理しておきたい。

そもそも株主優待とは、株主の日頃の支援に対する企業からの謝礼・還元といった意味合いで、毎年1回、あるいは半期に1回といったタイミングで株主に進呈されるものだ。レアケースではあるが、年に4回、四半期ごとに株主優待を贈っている企業もある。

冒頭で少し触れたように、株主優待の内容は企業によって多種多様だ。自社製品やサービス自体、あるいはそれらの優待割引券の提供といったパターンが主流だが、個人投資家の間で特に人気の高いQUOカードを進呈する企業も多い。

では、具体的にどういったところに気をつければいいのか。最低限考慮すべきポイントとして、以下の5つを紹介しよう。

(1) 株主優待の権利確定直前には株価が上昇しやすい傾向にある

株主優待特典を得るには、その権利が確定する日 (権利確定日) の4営業日前までにその銘柄を買って株主になる必要がある。だが、直前には他の個人投資家も殺到しがちで、それに伴って株価が上昇しやすい。

そうして上昇した株価は、理論的には権利確定日の翌営業日に株主優待や配当の価値分だけ下落することになる。実際、そういった動きが見られがちだ。このため、権利確定日が迫ってから駆け込みで買うと、せっかく株主優待を得ることができても、すぐに含み損を抱えてしまう恐れがある。

(2) 株主優待が突然廃止・変更される場合がある

株主優待は継続的に必ず実施することが約束されたものではなく、企業側の都合で廃止されるケースも少なくない。また、廃止までは至らずとも、優待人気で株主が殺到して、その対応が予算的に厳しくなったなどの理由から、内容を見直すこともある。

(3) 業績が継続的に増収増益傾向にあるかどうかを確認しておく

株主優待の実施にはそれなりの予算が必要だ。本業でしっかり稼いでいる企業でなければ、配当が無配や減配となったり、株主優待制度を廃止したりするケースも発生しうる。また、どうにか株主優待を維持できたとしても、業績の低迷を受けて株価が下がってしまうと元も子もない。

(4) 配当性向が高すぎる場合も警戒すべき

配当性向とは、稼いだ利益のうちどの程度の割合を配当として株主に還元しているのかを示した指標 (計算式:配当金÷当期純利益×100) で、その数値が高いほど株主への還元率が高い。当然、還元率が高いほうがそのときに得られる金銭的価値は大きい。

とはいうものの、企業がさらなる成長を遂げるためには、得た利益を多少なりとも内部留保に回して次なる事業の元手とするのが望ましい。還元率があまりにも高いようでは、今後の業績拡大にも疑問符がつき、株価が上昇しない可能性も考えられる。業績の低迷を受けて株価が下落する可能性があり、その意味で株主優待と間接的に関わってくるポイントだ。単に配当性向の高さにだけ注目するのでなく、経常利益や1株あたり利益といった利益の推移を確認し、資金繰りの状況が把握できる営業キャッシュ・フローがプラスになっているかといった点も確認するべきだろう。

(5) 連続配当実績があるかどうかもチェックしておきたい

(4) に続いて、連続して配当を支払っているということは、コンスタントに利益を稼いでいる証左。無配や減配と復配を繰り返しているような場合は、業績が不安定だということになり、必然的に株価の推移にも影響する。

少なくともこれら5つの注意点をきちんと押さえたうえで、自分が魅力的だと思った企業に投資し、株主優待が届くのを楽しみにしていただきたい。自分好みの優待品を享受しつつ、株価も右肩上がりを描いていけば最良だろう。

(提供:株式会社ZUU)

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