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2016年7月26日

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「相続税が払えない...」そんな事態にならないために

相続税
(写真=PIXTA)

富裕層に対する課税強化の流れから相続税の課税対象者は今後も増え続けるだろう。今回は、保険と相続税の関係について紹介したい。

相続税の計算方法

相続が発生すると被相続人の財産が対象になるが、相続税が発生するのは各種控除を差し引いても残額がある場合に限られる。つまり、相続人が相続により財産を受け取ったとしても各種控除の範囲内ならば相続税を納める必要はない。

では、控除にはどのようなものがあるのか。大きなものとして「基礎控除」がある。この基礎控除額は、計算式「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求められる。

たとえば、夫が亡くなり、妻と子ども2人が相続した場合、3,000万円+600万円×3人=4,800万円が基礎控除となる。したがって、この場合、相続財産が4,800万円以内ならば相続税は一切かからないということになる。ただ、都心部で不動産を相続するような場合、4,800万円を超えてしまうことは多いので不動産を相続する可能性がある。なお、配偶者の場合は「配偶者の税額の軽減」と呼ばれる制度があり、1億6,000万円以下、または、配偶者の法定相続分相当額までなら相続税が非課税となる。

次に、相続税の課税価格 (相続財産) に算入しない非課税となるものについてみていく。

相続税法第12条では、「墓所、祭具」や「保険金」などが挙げられている。墓所、祭具とは、墓地・墓石や仏壇などだが、これらが非課税な理由は祖先崇拝の慣行を尊重するためだ。一方、保険金は本来保険契約に基づき保険金受取人が受け取るべき金銭で、純粋に被相続人の財産とはいえないものだが、死亡を原因として保険金が支払われる場合には相続財産に準ずるものとして「みなし相続財産」とされている。

具体的には、「500万円×法定相続人数」の額が非課税とされる。先ほどの例でいえば、500万円×3人=1,500万円ということになるので、相続財産に保険金がある場合は、保険金のうち1,500万円までは非課税となる。なお、相続人以外が取得した死亡保険金には非課税の適用はないため注意が必要だ。

相続時の生命保険の取り扱い

相続時に問題になるのが銀行口座の凍結で現金不足になることだが、保険は受取人固有の財産のため凍結されることはなく、相続発生後1〜2週間で保険金が支払われる保険もある。ただし、審査で支払われないこともあるためご注意いただきたい。

相続税が発生する場合、税金の支払いは原則として現金でなければならない (「物納」と呼ばれる方法も存在する) 。相続財産が不動産だけのような場合、不動産をすぐに現金化することは難しく、居住している場合には退去を余儀なくされる場合もある。こんな時、比較的現金で支払われる期間の短い保険に加入していれば、保険金で相続税を支払い、不動産はそのまま利用し続けることができる。

また相続では遺産分割がなされるが、これも不動産だけのような場合、分割が容易ではない。このような場合、「代償分割」が有効だ。代償分割とは、特定の人が相続財産を受け取り、その人が他の相続人に対価を支払うというものだ。たとえば相続人が2人いたとして、1人が1億円の不動産を相続し、その人が他の相続人に5,000万円を支払うということになる。この5,000万円の支払いを保険金で対応するということもできるのだ。

以上、保険の効果について述べてきたが、保険なら何でもよいというわけではない。その点だけは注意して、税効果が見込め、相続税の支払い対策にもなる生命保険の活用を検討いただきたい。

(提供:株式会社ZUU)

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