外貨預金初心者に
ありがちなミス

外貨預金には、為替差益などの魅力的なメリットがある反面、元本割れなどのリスクも存在するため、リスクをいかにケアしながら運用していくかがカギとなる資産運用法と言えます。そこで今回は、初心者が陥りがちなミスとその対策についてご紹介します。

初心者が陥りがちなミスとその対処法

外貨預金で上手に資産を運用できても、外貨預金特有の制度やシステムを理解していないと、せっかくの利益が目減りしてしまう可能性があります。初心者が陥りがちなミスを以下にまとめてみましたので、運用時の参考にしてください。

為替変動によって元本割れしてしまう

為替レートをチェックせずに、預入時よりも円高のときに引き出しをしてしまって円ベースでの元本割れが発生してしまう…。「為替変動リスク」は、外貨預金において最も初歩的とも言えるミスですが、初心者がうっかり陥ってしまいがちな“よくある”ミスの一つです。
為替は常に変動しており、取り扱い時間によって適用されるレートも異なるということを念頭に置き、出し入れの際は必ず為替レートを確認するようにしましょう。

外貨普通預金を円にして出入金を頻繁に行い手数料がかさんでしまう

外貨普通預金では、「円を外貨にして入金する」ときと、「外貨を円に戻して出金する」ときの両方で為替手数料が発生します。円預金の感覚で気軽に出し入れをすると、その都度預金から為替手数料が差し引かれ、利益がなかなか出ない、利益が減ってしまう、さらには元本が目減りしてしまう可能性もあるので注意が必要です。為替手数料は金融機関によって異なりますので、どうしても出し入れが多くなってしまうことが想定される方は、為替手数料が安い銀行で外貨預金をスタートするのも一つの手と言えます。
為替手数料は意外と見落としてしまいがちなポイントなので、外貨預金では、常にトータルコストで考える癖をつけるようにしましょう。

為替差益による雑所得の申告を忘れてしまう

外貨預金の為替差損益の取り扱いには注意が必要です。実は外貨預金の為替差損益は、税法上で雑所得として取り扱われるため、確定申告時に、税務署へ申告をしなくてはなりません。ただし年収2,000万円以下の給与所得者で、為替差益を含めた給与所得および退職所得以外の所得が年間20万円以下であれば、確定申告は不要。同時に、為替差損は雑所得から控除することができることも覚えておきましょう。
この申告は、円預金には存在しない概念なので初心者は見落としがちです。まずは、確定申告の時期が近づいてきたら、外貨預金によってどれくらいの為替差益を得たのかを確認しましょう。

複利と単利を勘違いして、思ったような利息を得られない

外貨預金の魅力の一つに金利のよさがありますが、金利には「単利」と「複利」があり、どちらが適用されるかは商品によって異なります。「外貨預金のメリット・お得な使い方」で解説した通り、「単利」は元本だけに発生する利息、「複利」は利息が出たときに「元本+利息分」に発生する利息で、運用期間が長くなればなるほど、複利のほうが大きな利益を生み出します。
初心者は「預金残高が増えているのだから、その金額に利息がついて当然」と考えがちですが、実は利息の計算方法が単利である商品も少なくありません。このような勘違いをなくすためにも、最初に商品の詳細をきちんと理解してから、外貨預金を預け入れるのが重要と言えます。また長期間の運用を考えているのであれば、利息が「複利」である商品を選ぶことをおすすめします。

ペイオフの対象外であることを知らず同じ口座に多額の預金をしてしまう

銀行などの金融機関が破綻した場合に、1金融機関1預金者あたりの元本1,000万円までと、その利息が保護される「ペイオフ制度」。円預金では、この制度によって万が一のときに資産が保護されますが、外貨預金は、ペイオフの対象外とされています。金利のよさだけに目を取られて、一つの金融機関に多額の外貨預金をするのは避け、万が一の事態を想定して複数の金融機関に分けておくようにしましょう。

必要資金まで外貨預金に回してしまう

近いうちに使う予定のあるお金を外貨預金に入れてしまうのは避けましょう。為替レートが変動することによるリスクを抑えるためにも、外貨預金は余裕資金で、長期間にわたる投資想定して行うのが原則。必要な資金は手元に残しておかないと、差額差損などによるマイナスが出たときの影響が生活にまで及ぶことになります。また、余裕資金を外貨預金に回すようにすると、普段使用することがないため出入金の機会を少なくすることにもつながり、手数料の出費も抑えることができます。

FAQ

最新の為替レートをチェックするには、どうすればいいの?

新聞、テレビ、ラジオ、インターネット…。為替レートの調べ方には様々な方法があり、自分が使いやすいツールで調べる方法がベターと言えます。ただし、為替レートは常に変動していますので、新聞やテレビなどで最新情報を得たとしても、数時間後には「古い情報」になっていることがあるので注意が必要です。
最新の為替レートを調べるためには、オンタイムで相場をチェックできる「Yahoo!ファイナンス」などの、インターネットサイトを利用するのがおすすめです。また、スマートフォンのアプリにもリアルタイムの為替レートをチェックできるものがありますので、スピーディに為替レートをチェックしたいという方は、こちらを利用してみてはいかがでしょうか。

外貨現金を外貨預金口座へ預入することはできる?

外貨普通預金口座であればできる場合がほとんどです。ただし、硬貨が対象外である場合や、一部店舗では取り扱いができない場合もあります。詳細は対象の金融機関に問い合わせてみるのがよいでしょう。

海外滞在中に、カードで外貨現金を引き出すことはできる?

すべての金融機関が対応しているわけではありませんが、昨今は現地で外貨をキャッシュとして引き出せるサービスを展開している金融機関が増えてきています。また、最近は外貨のまま決済できる海外プリペイドカードやデビットカードなどが登場するなど、外貨預金と連動した便利なサービスが続々と登場していますので、これらのサービスを活用できる金融機関で外貨預金を始めるとよいかもしれません。