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2025年7月22日

円預金で「絶好の買い場」まで待機する視点も持とう

円預金で「絶好の買い場」まで待機する視点も持とう
(写真=umaruchan4678 / stock.adobe.com)

資産運用の成果を高めるには、相場の「買い場」を逃さない姿勢が欠かせない。例えば株式市場の下落局面は、将来の利益につながるチャンスになり得る。ただし、手元にキャッシュ (現金) がなければ、その好機を活かすことはできない。

近年の日本は、超低金利時代の転換点にあり、円預金にも利息の上昇が見られるようになってきた。こうした環境の変化を受けて、円で資金を持っておくことも、現実的な投資戦略の一つになりつつある。本記事では、「円預金で買い場に備える」という戦略について紹介していく。

過去の「買い場」はこうして訪れた

相場の世界では、「安く買って高く売る」ことがリターンを得るために必要だ。将来的に資産価値が回復するのであれば、下落幅が大きいほど買い場としてのチャンスも大きくなる。例えば、コロナショックが起きた2020年には、米国の主要株価指数であるS&P500が、直前の最高値3,393.52から一時は2,191.86まで下落し、約35.4%の下落となった。

では、リーマンショックが起きた2008年はどうだっただろうか。リーマンブラザーズが破たんしたのは、2008年9月15日のことだ。破たん前となる2008年9月2日におけるS&P500の最高値は1,303.04だったが、そこから2009年3月にかけて666.79まで下落した。下落率は約48.8%だ。

過去の買い場 大底直前 (半年) の高値 大底 下落率
コロナショック 3,393.52 2,191.86 約35.4%
リーマンショック 1,303.04 666.79 約48.8%

しかしその後、株価はいずれも回復し、今から振り返れば、これらの暴落局面はいずれも絶好の買い場であったといえる。投資家がさらなる下落への恐怖から投げ売りに走ると、その局面が大底、すなわち買いの好機となりやすい。ちなみに、一つ覚えておいてほしいのは、株価が20%下落したときに購入し、その後に株価が元の水準に戻れば、得られるリターン (※税金は考慮しない場合) は20%を上回るという点だ。

理解がしやすいように、具体的な株価を当てはめてみよう。例えば1株100円の株が20%下落すると80円になる。この80円の株が100円に戻った場合、上昇率は25%となる。つまり、相場が大きく崩れた局面では、見た目の下落率以上に大きなリターンを得られるチャンスがあるのだ。

買い場のチャンスをつかむために必要なこと

こうした買い場のチャンスをつかむために必要なことは、大きく分けて3つある。

相場の変化をキャッチするためにアンテナを張ること

「買い場」は、後で振り返れば明らかだが、その最中に気づくのは容易ではない。だからこそ、日ごろから金融市場の動向に目を向け、ニュースや経済指標に敏感であることが重要だ。急な下落が起きたときに、その背景や意味合いを理解できていれば、「一時的な混乱か、それとも長期的な下落の始まりか」といった判断もしやすくなる。

基礎的な金融リテラシーを備えておくこと

知識は投資における最大の防御であり武器でもある。相場が下がったときに不安を感じるのは、その理由や先行きが見えないことが多いからだ。例えば、過去の急落局面の特徴や、相場のサイクル、景気指標の読み方などを理解していれば、状況を冷静に分析できるようになる。

市場に恐怖が広がり、売りが集中しているような局面こそ、落ち着いた判断が求められる。実際、このようなタイミングを買い場と捉える考え方は、著名な投資家たちの間でも語られてきた。

すぐに動かせるキャッシュを確保しておくこと

たとえ「もうすぐ買い場がくる」「今がチャンスだ」と気づいても、手元にキャッシュがなければ何もできない。どれだけ良い判断ができても、実行できなければ機会を逃してしまう。だからこそ、日ごろからすぐに使える資金を一定程度確保しておくことが欠かせない。最近では円預金の金利にも上昇の兆しがあり、資金を待機させておくことへの心理的ハードルも下がってきている。買い場で確実に動けるよう、備えておきたい。

■キャッシュはどう持つべきか ?

では、キャッシュはどのように保有しておくべきだろうか。「現金でタンス預金」という方法も考えられるが、金額が大きくなればなるほど現実的ではない。そのため、基本的には「円預金として保有する」のが一般的である。また、運用方針やリスク許容度によっては、円を外貨に換えて保有するという方法も選択肢の一つとなる。

円預金で保有する

日本円の普通預金で保有する場合、「円を必要なタイミングですぐに動かせる」という点が大きな強みである。前述のとおり、近年は金利上昇の兆しもあり、現金の置き場として円預金は再評価に値する選択肢の一つといえる。また、為替レートの変動によって元本が目減りすることがないという点も、円預金の安心材料といえる。

米ドルなどの外貨で保有する

円を米ドルやユーロなどの外貨に換えて、外貨預金として待機資金を持っておく方法は、円預金よりも高い金利収入が期待でき、為替差益も狙える点が魅力である。一方で、円から外貨へ、外貨から円へと交換する際には為替手数料がかかるほか、為替レートが円高に振れた場合には為替差損が発生するリスクもある。この点は十分に認識しておく必要がある。

動かせる資金を賢く確保しよう

資産運用においては、すべての資金を価格変動の大きい資産に振り向けるのではなく、買い場に備えてすぐに動かせる資金を一定程度確保しておくことが重要である。実際、相場が大きく動く局面でリターンを得ているのは、こうした資金を賢く持ち続けてきた人たちだ。円預金は、必要なときにすぐ使えるうえ、為替レートの変動や市場の値動きによって元本に直接影響が出ることがないため、安定した資金の置き場となる。

近年は「金利のない日本」から「金利がある日本」へと移行しつつあり、こうした環境変化も踏まえると、円預金を選ぶメリットは以前よりも大きくなっている。買い場に備える選択肢の一つとして、積極的に検討したい。

(提供:株式会社ZUU)

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