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2024年1月31日

「介護離職」を避ける3つのポイント。万一の際に備える方法も解説

「介護離職」を避ける3つのポイント。万一の際に備える方法も解説
(写真=Wakko / stock.adobe.com)

両親が高齢になるにつれて、介護が必要になる可能性が高まる。場合によっては、介護のために離職を余儀なくされ、収入面で厳しい状況に陥ってしまうこともあるだろう。「介護離職」を避けるポイントはあるのか。万一の際に備える方法も含め、解説していこう。

介護離職者は年間10万人に近い

介護離職者は年間10万人近くにのぼる。厚生労働省が行った雇用動向調査 (2022年) によると、離職理由別の離職者数における「介護・看護」の人数は過去10年間、以下のように推移しており、数字が高止まりしている状況だ。

人数
2022年 72,600人
2021年 95,200人
2020年 70,500人
2019年 100,200人
2018年 98,400人
2017年 92,900人
2016年 87,700人
2015年 91,000人
2014年 90,200人
2013年 93,700人

出典:政府統計の総合窓口 (e-Stat) 「離職理由別離職者数」

さらに年代を遡ると、人数は中長期的に増え続けていることが分かる。2013年よりさらに10年前の2003年は介護・看護を理由に離職した人は6万8,400人、1993年は2万6,500人にとどまっていた。

介護離職を避ける3つのポイント

介護離職は収入減に直結するため、事前に対策を講じておきたい。介護離職を避けるポイントは次の3つだ。

兄弟姉妹・親族内で早めに話し合っておく

親に介護が必要になった場合に備え、親の意向をあらかじめ聞いておくことはもちろん大切だが、兄弟姉妹や親族内でどのように協力し合うかを早めに話し合っておくことも重要だ。そのときになって誰か1人に負担が偏ることのないよう、役割分担を決めておこう。

ごく当たり前のことに感じるかもしれないが、こうした「当たり前のこと」こそ、忙しい毎日を送っていると疎かにしてしまいがちだ。

勤務先の介護に関する制度をうまく利用する

自分が親に寄り添って介護をする立場になりそうな場合は、勤務先に早めに相談しておきたい。そうすることで、仕事と介護を両立できる可能性が高まる。

国の「育児・介護休業法」により、民間企業においても仕事と介護の両立を図る制度の導入が進みつつある。勤務する会社に介護休業や介護休暇、短時間勤務などの介護に関する制度が用意されている場合は、ぜひ利用したい。

介護をアウトソースするための費用を準備しておく

介護離職を避けるためには、有料介護サービスを利用することもポイントだ。費用はかかるが、介護に要する手間や時間を減らせるため、仕事への影響を抑えることができる。

有料介護サービスを利用するための費用は、兄弟姉妹や親族間で積み立てていくなどしておけば、実際に介護が始まってからのお金に関するトラブルも回避できるだろう。

お金の不安は民間の介護保険で減らすことも可能だが……

介護保険が適用されるサービスであれば自己負担額は原則1割だが、保険外のサービスを利用する場合は全額自己負担となる。

こうした介護に関するお金の不安を減らす方法として、民間の介護保険や認知症保険への加入がある。これらの保険は、介護が必要になったり認知症を患ったりすると、一時金や年金を受け取ることが可能だ。

ただし、お金に関する不安がなくなっても、親に付き添う介護が必要となり介護離職を余儀なくされた場合は、収入面で厳しい状況に陥る可能性が高いことは言うまでもない。

万一の際に備えて余剰資金で早めの資産運用を

万一介護離職をすることになった場合に備えて、余剰資金で早めに資産運用を始めることも視野に入れておきたい。余剰資金とは、仮にそのお金が目減りしてもこれからの生活に影響が出ないお金のことだ。余剰資金の額は個人個人によって異なるため、まずはいくら資産運用にまわせるのかを整理してみよう。

自分の余剰資金が把握できたら、早速資産運用に取り組みたいところだが、ここで重要なのが投資対象を分散してバランスを取ることだ。

特徴が異なる複数の金融商品を組み合わせよう

資産運用を行う際は、株式や債券、投資信託、外貨など、特徴が異なる複数の金融商品を組み合わせることで、投資リスクを分散できる。以下のように、金融商品によって価格が上下する要因が異なるからだ。

株式

株式は基本的に、企業の業績や将来性、社会・経済の状況によって価格が上下する。社会・経済の状況には、景気動向や国内政治の動向、国際情勢、外国人投資家の動向など、さまざまな要素が含まれる。

債券

債券は新発債を購入して償還日まで保有する場合は、債券価格の上下は資産価値に影響しないが、既発債の場合は、需給関係や金利の水準などによって価格が上下する。

投資信託

投資信託は、さまざまな株式や債券、または、さまざまな資産に分散して運用しているものが多い。そのため、あらゆる影響を受けるが、すでに分散がされているため、価格の極端な下落を避けやすいタイプのものも少なくない。

外貨預金

外貨預金は、金利が高い外貨を保有することで、円預金に比べて多くの金利収入を安定的に得られる。一方、2ヶ国間の金利差や貿易収支、経済指標の動向、政情不安などで上下する為替レートの影響を受ける。

ぜひ含めたい金融商品は「外貨預金」

前述の通り、金融商品によって価格が上下する要因が異なるため、資産運用では性格の異なる投資先を複数選ぶ分散投資が基本になる。

その際、ぜひ含めたいのが安定的に高い金利収入を得られる外貨預金だ。為替リスクは複数の外貨を持つことで抑えられるほか、預け入れるタイミングをずらして時間を分散することでもリスクを低減できる。

介護離職は極力避けたいことだが、万一の際に備えて、外貨預金などでの早めの資産運用を始めておきたい。

(提供:株式会社ZUU)

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