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2024年3月12日

定年延長って
実際どうなの ?
メリットや年金への影響、
定年後のキャリアを解説

定年を迎えた後も、同じ会社で65歳まで働くことができる「定年延長」。これまでの経験を活かして定期収入を得られることや、一定の収入までであれば年金受給額を増やすことができるなどのメリットがあります。一方、現役時代と働き方が変わったり、給与が下がったりするデメリットも。今後どのような生き方を目指すかにもよりますが、定年延長ではなく、別の会社への転職や起業などを選択する方が適切な場合もあります。
そこで定年延長のメリット・デメリットをはじめ、年金への影響や、定年延長以外のキャリアの選択肢などについて解説します。

大和ネクスト銀行では、大切なお金に関する情報やお役立ちコラムを公開。資産形成におけるベストパートナーとして、初めての方でも安心して資産運用に取り組めるようサポートしていきます。

はじめに
そもそも定年延長ってなに ?

定年延長とは 定年を60歳から65歳まで
引き上げること。

定年延長とは、企業が定年年齢の上限を延長することを指します。2025年4月からすべての企業で「従業員の65歳までの雇用確保」が義務化されます。その雇用確保の選択肢の1つが、定年をこれまでの60歳から65歳まで引き上げる「定年延長」です。
なお2024年3月時点では義務ではありませんが、70歳まで就業機会を確保する努力義務が定められています。今後の社会情勢の変化などにより、義務化される可能性もあります。

●定年延長の背景
定年が65歳まで延長された背景は、主に2つ。
(1) 少子高齢化による労働力不足
「令和5年版高齢社会白書」によると、総人口に占める65歳以上の比率は2022年の時点で29.0%。それが2070年には38.7%に達する見込みで、今後ますます労働力が不足すると考えられます。
そこで定年延長を取り入れ、労働力人口を増やすことで、労働力不足の解消や、年金の負担を軽減するなどの狙いがあります。
(2) 優秀な従業員が長く働ける環境づくり
定年延長によって、企業は優秀な従業員をより長く雇用できます。従業員にとっても、長年の業務で培ったノウハウを活用し、後進の指導役や育成役として活躍する機会を獲得し、安心して働ける環境づくりにつながります。

その1
定年延長の
メリット・デメリットとは ?

収入面では 定期収入が確保できる一方、
同じ仕事でも給与ダウンの可能性が。

65歳まで働き続けることができる定年延長。安定的に収入を得られるといったメリットがある一方、デメリットもあります。

●定年延長のメリット
(1) 60歳以降も定期収入を得られる
大きなメリットの1つが、安定的な収入の確保です。2023年度のモデル年金 (標準的な年金) は夫婦2人分で月額224,482 円 (※) 。年金だけではそれまでの生活水準を維持するのは難しい可能性が高く、少しでも長く定期収入を得ていた方が安心といえるでしょう。
  • 67歳以下の、老齢基礎年金を含む標準的な年金額
(2) 転職活動をする必要がない
60歳で定年退職となった場合、仕事を続けるためには転職活動をする必要がありました。高齢での転職活動は、就職先が決まらなかったり、新しい環境に戸惑ったりして、ストレスを抱えがち。定年延長であれば、同じ職場で安心して働き続けることができます。
(3) 将来もらえる老齢厚生年金が増える
定年延長によって、厚生年金保険料の納付期間が長くなることで、受け取れる老齢厚生年金の金額が上がります。また、安定的な収入を確保できていれば、年金の受給開始時期の後ろ倒しを選びやすくなります。老齢年金は原則65歳から受け取ることができますが、75歳までもらう時期を遅らせる (繰り下げ受給 (※)) ことで、受け取れる年金額は増えていきます。
  • 1952年4月1日以前生まれの方、または2017年3月31日までに老齢年金を受け取る権利が発生している方は、70歳までが繰り下げの上限となります。
    なお、65歳以上になると働きながら老齢年金を受給することもできますが、年金金額と収入金額によっては、年金の一部または全額の支給停止となるので注意が必要です。
●定年延長のデメリット
(1) 希望する働き方ができない可能性がある
定年延長した場合でも、勤務形態を自由に選ぶことはできません。現役時代に比べて体力が落ちていれば、今まで通りの働き方が厳しくなる可能性もあります。自身の希望とは異なる働き方になる可能性も十分考慮しておくことが重要です。
(2) 給与が現役時代の7割程度まで減る
定年延長の場合でも、新しい雇用条件が設定され、現役時代より給与が少なくなるケースが多いです。一般的に、60歳時の給与はそれまでの給与水準の7割程度といわれています。企業によっては、賞与が支給されなくなるケースも。住宅ローンなどの支払いがある方は注意が必要です。
(3) 収入に応じて年金が支給停止となる場合も
働きながら年金を受け取る場合、満額の厚生年金を受け取れるのは、老齢厚生年金の月額と総報酬月額相当額 (※) の合計が、月48万円以下の方となります。
  • 毎月の賃金 (標準報酬月額) +1年間の賞与÷12
  • 令和6年度は50万円が支給停止調整額となります。

その2
定年延長したら
年金受給額はどう変わる ?

受け取り方はさまざま 繰り下げ受給で年金額が増加。
在職受給するなら注意点も !

(1) 65歳以上で在職中に年金を受け取る場合、毎年年金額が変わる (在職定時改定)
2020年に成立・公布された「年金制度改正法」によって、定年延長に合わせて年金支給額が変更されるようになりました。
老齢厚生年金は、2022年3月までは70歳到達時または退職時に年金額が決定していました。そのため65歳から69歳に働きながら支払った保険料は、退職時もしくは70歳になるまで年金受給額に反映されないため、労働意欲を損なう要因になっていました。
現在は65歳以上で仕事を続けている場合、年金額が毎年改定 (増額) されます。つまり働きながら、年金額の増加を1年ごとに実感できるようになりました。
  • 毎月の老齢厚生年金と収入の合計が48万円を超える (令和5年度の場合) 場合、年金が支給停止もしくは減額されます。
(2) 年金受給開始の年齢を75歳まで繰り下げられる
2022年4月1日以降に70歳になる人 (誕生日が1952年4月2日以降の人) は、年金を繰り下げ受給できる年齢の上限が75歳になります。
受給開始時期を遅らせると、年金受給額が1ヶ月遅らせるごとに0.7%割り増しに。最大で75歳まで繰り下げた場合、65歳で受け取れる年金額の1.84倍になります。

その3
定年延長以外の選択肢も !
60歳以降のセカンドキャリア

退職後のキャリアプラン 専門分野や趣味を活かした
働き方や起業など。

60歳以降も安定的な収入を得る手段は、定年延長だけではありません。ここでは、定年後の「セカンドキャリア」として選ばれる働き方を3つご紹介します。

(1) 自身の専門分野を活かして働く
仕事や趣味などで培った知識や経験を活かす働き方です。別会社に専門職として転職したり、業務委託やフリーランスとして働いたりする方法も。また空いた時間にクラウドソーシングサービスを活用し、興味のある仕事に挑戦することもできます。
定年延長の場合、希望のポジションに就けない可能性があるため、希望のポジションに就けない定年延長と比較して、自分に合った働き方を選択しやすいのがメリットです。
(2) 好きなことや趣味でお金を稼ぐ
趣味として取り組んできたことに一層時間をかけることで、お金を稼ぐ方法もあります。例えばカメラが趣味であれば、写真教室に通ってスキル向上を目指し、SNSやクラウドソーシングサイトなどを経由して撮影の仕事に応募することも可能です。またインターネットを活用して、同じ趣味を持つ仲間と一緒に活動したり、情報交換したりすることも。
ただ仕事の知見を活かす (1) とは異なり、なかなか収益につながらない可能性もあります。早いうちから資産を形成し、資金に余裕を持っておくことが大切です。
(3) 起業
定年を機に、自身で会社や店舗、NPO法人、オンライン店舗などの組織を立ち上げる選択もあります。培った知識や経験を活かしたり、使命だと感じていることに取り組んだりしてもいいでしょう。
ただ、起業にはある程度の資金が必要です。日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、シニア起業家の平均的な自己資金は約605万円。事業がうまく軌道に乗らなかった場合も想定し、資金は十分に用意しておくと安心です。

65歳まで同じ会社で働ける「定年延長」が導入されることで、定期収入を確保できるとともに、一定の金額までであれば年金受給額を増やせるメリットがあります。一方で働き方が変わったり、現役時代より収入が低くなったりするデメリットも。60歳以降も自分に合ったキャリアを築くためには、余裕のある資産があると安心です。
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