ひよりちゃん
~ある小児がんの女の子のお話~

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国内では年間約2,500人が発症しているという小児がん。治療中はこどもも家族も辛い時間を過ごすことになります。今回は、小児がんのこどもと家族をサポートするジャパンハートの「スマイルスマイルプロジェクト」を利用した、とあるご家族のお話です。

優しくて、お風呂が大好きだったひよりちゃん

弟思い、友達思いだった優しい女の子

中山日葵(ひより)ちゃんは、中山卓哉さん・絵理さん夫妻の間に生まれた女の子。両親が大好きな花の「向日葵(ひまわり)」から、ひまわりのように前向きになってほしいという願いを込めて、“日葵”と名付けられました。

日葵ちゃんはいつも優しく笑顔を絶やさない、お風呂が大好きな女の子。2歳離れた弟を大変かわいがり、保育園でもお友達とケンカすることはほとんどありませんでした。

家族や親戚の集まりでは、いつもみんなの真ん中にいて笑顔を振りまいていました。その一方で、お父さんやお母さんの前では変顔をしておどけたりするなど、お茶目な一面もあったそうです。

ある日突然、日葵ちゃんを病魔が襲った

素人にもはっきりと見える腫瘍が写っていた

楽しい日々を過ごしていた日葵ちゃんですが、3歳7ヶ月のころ、とつぜん嘔吐が止まらなくなります。病院へ行ったところ、なんと脳に腫瘍が見つかりました。3センチと8センチの2つの腫瘍。スキャン画像には「素人が見てもわかるくらいはっきりと腫瘍が写っていました」と、中山さん夫妻は振り返ります。

すぐに手術を行って腫瘍を切除し、日葵ちゃんの体調は回復に向かい、落ち着きを取り戻し始めます。手術は成功したかに見えました。しかし、今度は脚が痛み出しました。がんは、脚に転移していたのです。

がん研究センターでできた、多くの友だち

がんが脚に転移したことで、中山さん夫妻は病院から日葵ちゃんの脚を切断せざるを得ないと告知されました。しかし、なんとか脚を残す道を見つけるため、中山さん夫妻は新たに病院を探し回ります。

どこの病院でも切断やむなしと診断される中、日葵ちゃんの脚を残す可能性を示してくれたのが、国立がん研究センターでした。それをきっかけに、日葵ちゃんはがん研究センターに転院します。

がん研究センターには、日葵ちゃんと同じ小児がんのこどもがいました。日葵ちゃんにとって自分と同じ境遇の友だちであり、一緒にピアノを弾いたり、人形を作ったりなどして、よく遊んでいたそうです。

また、センター近くのコンビニで買い物をすることが日課になり、人懐っこい日葵ちゃんは、店員さんとも仲良しに。その店員さんが病室までお見舞いに来てくれたこともありました。

日葵ちゃんに残された時間を大切に過ごすために

余命に向き合った家族が日葵ちゃんに寄り添う

闘病生活のなか、中山さん夫妻は、ついに先生から日葵ちゃんの余命を考えるように告げられます。過酷な現実に気持ちの整理がつかず、悲しみに暮れながらも家族として愛する娘のために、残された時間でできることは何か。中山さん夫妻は、「日葵ちゃんが大好きなことをさせてあげたい」と決心します。

それは、日葵ちゃんが大好きな温泉旅行でした。がんが脚に転移してから、日葵ちゃんは大好きなお風呂に入ることがほとんどできなかったのです。しかし、もし外出中に日葵ちゃんの容態が急変したら、家族だけでは対応できません。そう考えて、なかなか実行に踏み切れない時間が続きました。

日葵ちゃんの叔母さんがジャパンハートの「スマイルスマイルプロジェクト」を見つけたのは、そんな時でした。

ジャパンハートが日葵ちゃんと家族の願いを叶える

小児がんのこどもの外出をサポートする「スマイルスマイルプロジェクト」

ジャパンハートの「スマイルスマイルプロジェクト」は、医療従事者が小児がんのこどもの外出をサポートする支援プロジェクト。中山さんがジャパンハートにコンタクトをとって状況を伝えたところ、すぐに対応してくれました。

日葵ちゃんのサポートを担当したのは、ジャパンハートの理事長で小児科医の吉岡さん(写真左)と、看護師の岸川さん(写真中央)。日葵ちゃんの主治医に状況を聞くとかなり病状が進行していることがわかり、万全の態勢を整えて旅行へ出発しました。

行き先は箱根。ロマンスカーで行く、日葵ちゃんの親族も参加した団体旅行でした。看護師の岸川さんは、考えられるリスクに対応できる準備を整え、緊急時に受け入れてもらえる病院も確認。緊張感を持って帯同しながらも、日葵ちゃんや家族に不安を感じさせないよう、フレンドリーに接してくれたそうです。

その甲斐あって、日葵ちゃんは念願の温泉に入ることができました。母親の絵理さんは「その時の日葵の気持ちよさそうな笑顔は忘れられません」と振り返ります。

旅行の4日後、空へと旅立った日葵ちゃん

今までもこれからも、日葵ちゃんは家族の中心にいる

日葵ちゃんが天国へ旅立ったのは、旅行からわずか4日後のことでした。短い人生を精一杯生きた日葵ちゃんは、今でも中山さんご家族の心の中で、笑顔を振りまいています。

日葵ちゃんのご両親は「家族みんな、一日たりとも日葵のことを忘れた日はありません。日葵の写真を肌身離さず持ち歩いているので、今までもこれからもずっと一緒だと思っています。日葵は私たち家族の中心です。」と語ってくれました。

小児がんは4人に3人が治る病気と言われていますが、治療中は定期的な放射線治療や抗がん剤の副作用などで、こどもや家族は外出もままなりません。ジャパンハートの「スマイルスマイルプロジェクト」は、外出によって楽しい思い出を残してもらい、闘病生活を乗り越えるちからを得てもらうことが目的です。中山日葵ちゃんの場合は、本人の温泉に入りたいという願いだけでなく、その願いに応えたいという家族の希望も叶えたのです。

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