大和総研コラム

「グリーンウォッシング」対策、まずは商品名から ?

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2022年6月28日
  • 大和総研金融調査部 主任研究員 鈴木利光

ここ数カ月、運用商品における「グリーンウォッシング」 (うわべだけの欺瞞的な環境訴求) への懸念表明を意図した当局からのリリースが相次いでいる。

まず、2月11日、欧州証券市場監督局 (ESMA) が、グリーンウォッシングの防止を主題とする‘Sustainable Finance Roadmap 2022-2024’を公表している。

続いて、5月23日、米国証券取引委員会 (SEC) が、とある米銀大手の投資顧問子会社に対して、その運用する投資信託のESG (環境、社会、ガバナンス) 考慮に関する情報提供に虚偽があったとして、150万ドルの制裁金を科した旨公表している。

さらに、5月27日には、日本の金融庁が、2021年10月末時点の 「ESG投信」 (37社・225本) を調査したところ、11社 (30%) にESG専門部署・チームがなく、14社 (38%) にESG専門人材 (※1) が一人もいない、という結果が出た旨公表している。

こうした状況を踏まえて、SECは、5月25日、ESG投資に関する二つの重要な指針を公表している。

一つは、「ESG商品」について、そのESG戦略の開示を求める、という提案である。 この提案によると、投資顧問は、投資方針の策定に際して用いるESGファクター、ESG情報を提供するサードパーティーとの「重要な」関係性、議決権行使の際に用いるESGファクター、等の開示が求められる。また、投資顧問と投資会社は、その運用商品を、「“Integration” Strategies」、「“ESG-focused” Strategies」、及び「“Impact” Strategies」の三つのカテゴリーのいずれかに区分することが求められる。

いま一つは、現行の“Names Rule” (※2) の適用範囲を拡大する、という提案である。このルールは、投資会社に対し、特定の要素を想起させる名称の商品を運用する場合、そのポートフォリオの80%以上が、その「特定の要素」に合致するもので占められていることを求めるものである。現行の“Names Rule”が適用されるのは、特定の業種、特定の地理、を想起させる運用商品のみ、となっている。今回の改訂案は、上記に加えて、‘growth’、 ‘value’ 、 ‘sustainable’といった要素を想起させる運用商品をも、“Names Rule”の適用対象にするというものである。これにより、‘ESG’又はそれに類似する用語 (‘sustainable’、‘green’、 ‘socially responsible’等) を名称に用いている運用商品を捕捉することが意図されている。また、上記「“Integration” Strategies」に区分される運用商品の名称に‘ESG’又はそれに類似する用語を用いることを禁じている。

同様に、ESMAは、5月31日に公表した指針の中で、‘sustainable’又は‘sustainability’という用語を名称に用いることができる運用商品は、昨年3月より適用されているSFDR (※3) でいう「9条ファンド」及び「8条ファンド+」 (※4) のいずれかに区分されるものに限るべきである、と「推奨」している。

このように、運用商品における「グリーンウォッシング」対策として、従来の「開示の強化」に加えて、「商品名に対する規制」が浮上してきている。これが具現化すると、投資家としては、まずは商品名をみることで、その運用商品のESG・サステナビリティとの親和性に「あたり」をつけることができるようになろう。


このコラムと同じカテゴリの他のコラムを読む

年別

カテゴリ別