大和総研コラム

アストラゼネカワクチンを接種してみた。副反応は ?

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2021年6月3日
  • 大和総研ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト (LDN駐在) 菅野泰夫

英国に住む筆者にも遂にワクチン接種の順番が回ってきたため、診療時原則無料の国民保健サービス (NHS) のウェブサイトで予約して、接種会場に足を向けた。

ワクチンの種類は医師の指示など特別な理由がない限り選べず、筆者の場合はアストラゼネカだった。副反応として稀な血栓症の発症など、これでもかというほど不安を煽る報道が多いワクチンである。

会場に到着すると、手慣れた感じのボランティアから副反応などの説明を受け、アッという間に接種が終わった (ワクチン接種センターへの到着から接種終了まで30分もかからない) 。接種後も15分ほど副反応 (アナフィラキシーショックの有無など) を見るための待機が必要かを確認したら、自分で車を運転しなければ帰ってよしとの指示が出て拍子抜けした。当日は少し腕が重く、翌日から倦怠感と微熱は出たものの、指示された鎮痛剤を飲めば仕事に支障が出ない程度であった。

また筆者の接種を担当したのは研修を受けたボランティアのスタッフで、本業は配管工であった。医療関係者ですらないことに驚いたが、心配無用、注射はある程度慣れれば自分でも打てるものである。筆者は数年前、英国で複雑骨折し、全身麻酔の手術を受けた翌日に退院を指示されたことがある。医療がNHSで無料なだけに無駄なコストをかけないのかと半ば納得したが、注射針を20本渡され、明日から自分で血栓症予防に注射を打って下さいと指示された時にはさすがに面食らった。それでも、慣れればなんてことない。これで社会保障費の削減に貢献できるのであれば、と喜んで協力したことを覚えている。なお、アストラゼネカはコロナ危機の期間中は非営利ベースでのワクチン供給を公約している

また接種当日に受けた説明によれば、アストラゼネカなどのアデノウイルスワクチンは、1回目よりも2回目の方が、副反応が少ない (あるいはほとんどない) とのこと。接種後の (スパイク蛋白質に対する中和) 抗体がファイザーやモデルナワクチンと比べて低いとの評価もあるが、2回接種した後の抗体保有率は9割を超えており、他のワクチンとほぼ変わらない。さらに、オックスフォード大の調査では、ブースター (追加免疫) 接種として3回目にアストラゼネカのワクチンを接種した場合に、他のワクチンと比較して高い予防効果が確認できたという。この調査結果によって、コロナウイルスのワクチンを受けた人の免疫が薄れ始めた場合、あるいは新たな変異株への予防効果を高める場合のブースター接種に、アストラゼネカのワクチンを利用すべきという主張が強まる可能性もある。

英国では5月中旬の時点で、3,300万人にアストラゼネカのワクチンが接種されたが、血栓症を発症したのは309人、うち56人が死亡していることも事実である。ただ足元は、血栓が発症しても対処方法が確立されており、2回目のワクチン接種では死者は出ていない (そもそもコロナ感染時の血栓リスクの方が数十倍高い) 。それ以上に、英国人の多くがコロナ危機を戦時下にたとえ、何とか乗り越えようという点で一致団結している。副反応の懸念が報道されても、危機収束のための唯一の方法として積極的にワクチン接種に向かう人が主流である。日本でもアストラゼネカワクチンの許認可が下りたため、順次、接種が開始される予定であろう。どこの国でも、接種を受ける時期に供給されているワクチンが優先的に接種されるため、当日アストラゼネカワクチンと判明しても、過度に心配する必要はない。ぜひ思い切ってワクチン接種に踏み切ってほしいものである。


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