大和総研コラム

女性の育児休業取得率も、まだ4割程度

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2021年4月26日
  • 大和総研金融調査部 主任研究員 是枝俊悟

現在、男性の育児休業取得促進のための育児・介護休業法等の改正案 (※1) が国会にて審議されている。厚生労働省の「令和元年度雇用均等基本調査」 (事業所調査) によると、2019年度の男性の育児休業取得率は7.48%だが、政府は2025年までに30%に引き上げることを目標に掲げる。男性が育児休業を取得することは、出産前後や妻の復職前後の大変な時期を乗り切るだけでなく、その後夫婦で協力して子育てを行っていくための手掛かりとしてとても重要である。法改正により、男性がより育児休業を取得しやすくなることを期待したい。

では、女性の育児休業取得率はどうなっているかというと、厚生労働省の「雇用均等基本調査」 (事業所調査) では、2006年度以後80%~90%程度で推移しており、一見、女性の育児休業は十分に普及しているかのように見える。しかし、これは、あくまで職場の在籍中に出産した女性に占める育児休業取得者の割合で、出産前に既に退職していた女性は分母に入らない。出生数 (≒出産した女性の人数) を分母にして女性の育児休業取得率を計算すると、下の図表の通りで、年々上昇してきてはいるものの、未だその割合は4割程度である。

出産直前まで職場に在籍し、 (産前産後休業を経て) 育児休業を取得すると、雇用保険から最長で2年間、従来の給与の50%~67%が育児休業給付金として支給される。その受給額は、女性の育児休業取得者の平均で1人あたり157万円 (最長2年間の合計額) に及ぶ。しかし、出産前に退職していれば、たとえ出産後2年以内に再就職したとしても、育児休業給付金は1円も支給されない。

内閣府の資料 (※2) によると、2010年~2014年に第1子を産んだ女性のうち、育児休業を取得して就業を継続した者の割合は、正規職員では59.0%だったがパート等では10.6%に留まっていたことが示されている。この差は、本人の希望の違いもあるだろうが、特に非正規雇用者では、就業の継続を望みながらも退職を余儀なくされている可能性も示唆される。

育児休業給付金は、「子の養育 (中略) を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進を図り、もってこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与する」 (※3) ことを目的に支給されるものだが、より雇用が不安定で収入が低い非正規雇用者に結果的に育児休業給付金が支給されていない (ことが多い) とすれば、目的から相当なずれが生じているといえるだろう。

政府は、出生数に対する女性の育児休業取得率はまだ4割程度であるという認識の下、男性の育児休業取得だけでなく、女性の育児休業取得 (出産前後の就業継続) の支援も継続して行っていただきたい。

[図表] 出生数に対する女性の育児休業取得率の推移
  • ※1育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案
  • ※2「『第1子出産前後の女性の継続就業率』及び出産・育児と女性の就業状況について」 (「仕事と生活の調和 (ワーク・ライフ・バランス) レポート2018」 (平成30年11月 内閣府男女共同参画局) 、pp.7-14)
  • ※3現行育児・介護休業法第1条より

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