大和総研コラム

手間よりも、「旬を味わう」を優先したい !

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2021年3月31日
  • 大和総研経済調査部 主任研究員 市川拓也

3月も終わり、季節は本格的な春を迎える。春は草木の芽吹き始める季節であるとともに、彩り豊かな野菜が食卓にあがる季節でもある。春野菜には「ふきのとう」や「タラの芽」「春キャベツ」「そらまめ」などもあるが、多くが思い浮べるであろう本命は「タケノコ」ではなかろうか。

タケノコは漢字一文字で「筍」と書く。「一旬 (いちじゅん、10日間) で竹になることが由来」 (※1) といわれている。春に勢いよく成長する「竹の子」は、まさに「旬を味わう」ことができる野菜である。この時期には、是非、旬のタケノコをたっぷり頬張りたいものである。

ただし、生のタケノコを自前で調理する前には、手間のかかる下処理が必要である。なぜなら、タケノコには青酸配糖体の一つであるタキシフィリン (青酸配糖体は有毒物質を生成) のほか、「えぐみ」のもととなるシュウ酸、ホモゲンチジン酸が含まれているためである。

幸いタキシフィリンは熱に弱く、加熱により分解することができ、水溶性のシュウ酸は、カルシウムと結合させることで「えぐみ」を抑えられるという。ホモゲンチジン酸は、アミノ酸の一種であるチロシンが酵素によって変化したものであり、加熱により酵素を失活 (不活性化) させることで増加を抑制できるそうである。これらから、生のタケノコを米糠 (カルシウムを含む) で時間をかけて茹でるといった下処理方法は、理に適ったものであるといえる。

こう綴ると、手間を惜しまず下処理を念入りに行うことが唯一の方法のようであるが、筆者としては、すべてを自前で行う必要もないと考える。下処理済みのものを入手するところから始めてもよし、総菜として出来合いの一品を購入してもよし。昨今のインターネット通販の定着を考えれば、お取り寄せも選択肢に入るであろうし、はやりのデリバリーを頼むという手もある。仮に春野菜を春に食べることの価値が旬のモノを味わうこと (=体験) にあるならば、多様な選択肢の中から自分に合った形を選べばよいであろう。コロナ禍の影響でいろいろと気が滅入る今だからこそ、下処理の手間でためらうより、まず「旬を味わう」ことを優先したい。


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