大和総研コラム

お年玉のキャッシュレス化で見直したいマネー教育

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2020年12月23日
  • 大和総研金融調査部 主任研究員 中村昌宏

新型コロナウイルスの「第3波」に直面すると言われるように新規感染者数が再び増勢となる中、2020年も残すところ僅かとなった。この年末年始は、ふるさとに帰省する動きも相当少なくなりそうだ。JR東日本や航空各社によると、年末年始の予約率は昨年同時期より大幅に低下しているとのことである。

正月の風物詩も、今回はだいぶ様変わりしそうだ。大手百貨店等によると、正月のおせち料理では、帰省をやめて家族と一緒に正月を過ごすことができない人がお揃いの料理を注文して同じおせちを楽しむ「リモートおせち」や、料理があらかじめ1人分ずつ取り分けられている「個 (こ) せち料理」が人気のようである。

子ども達にとっての楽しみのひとつである「お年玉」では、これまでもふるさとに帰れなくても現金書留で送られてくるケースはあったが、スマートフォン経由のキャッシュレスでの受け渡しが増えそうだ。総合マネースクールのファイナンシャルアカデミーが全国の子を持つ男女300名を対象としたアンケート調査「キャッシュレスとお年玉に関する意識調査」 (※1) によると、お年玉のキャッシュレス化に賛成する意見が51%と、前年調査 (38%) を大きく上回ったそうだ。同調査では、実際に2021年のお年玉をキャッシュレスであげると回答したのは9% (前年調査:7%) に留まるものの、総務省等によると近年は13~19歳の年代の約75%が、また60~79歳の年代でも約70%がスマートフォンを持っていることから、今後、キャッシュレスでお年玉を受け渡しするケースは増えると予想される。

キャッシュレスのお年玉が増えると、一方で「お金のありがたみが薄れてしまうこと」や「衝動買い等でお金を使いすぎてしまうこと」に対する親の不安も高まるだろう。財布の中に5,000円札や10,000円札があっても、1,000円札にくずれるのが嫌で買い物を吟味する習慣がついたという親も少なくないはずだ。子どもが現金を手に自分で使い道を熟考することは、大事なマネー教育の一環だ。しかし、キャッシュレスの機会が増える中では、「お金の使い道」に加えて「使ったお金の分析」を学ぶ必要性が高まろう。かつては手書きで計算していたお小遣い帳も、スマートフォンのQRコード決済と連動した家計簿アプリで入力・分類・計算の手間が省力化できる。支出への抵抗感を高めるために自分で入力や計算をするのも大事だが、その作業の労力をアプリで抑え、使い道の振り返りや貯金目標の進捗度の分析に充てることが可能だ。

新型コロナウイルスの影響でふるさとの家族と顔を合わせられないのは残念だが、これを子どものマネー教育を見直す機会と考えてはどうだろうか。


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