大和総研コラム

「メリークリスマス」と言いたい

  • 国際
  • 掲載日 : 2020年11月26日
  • 大和総研経済調査部 経済調査部長 山崎加津子

欧州は新型コロナウイルスの感染第2波のただなかにいる。主要国の新規感染者数は今年3月末から4月初めにつけたピークを大きく上回り、入院患者数も春先のピークを超えつつある。各国は10月以降、人の移動や接触に関する制限の強化に動いてきたが、11月に入って本格的なロックダウンに踏み切る国が増えた。生活必需品以外を販売する小売店の営業停止、レジャー施設やスポーツジムなどの閉鎖、レストランやバーなどの営業停止、夜間外出の制限といった厳しい項目が並ぶ。ただし、春先のロックダウンとは異なり、製造業や建設業に関しては可能な限り事業を継続することが要請され、また、ほとんどの国で学校の授業は継続されている。

ロックダウンの再実施から1カ月弱が経過したところで、フランスやスペインなど感染再拡大が特に深刻で規制に動いたのも早かった国々においては、新規感染者数がピークアウトしてきている。また、イタリア、英国、ドイツでも新規感染者の増加ペースに歯止めがかかってきた。この状況下で、フランスやドイツなどではロックダウンの緩和に関する検討が始まりつつあるが、各国の政策当局は当面は慎重な姿勢を継続する可能性が高いと考えられる。その理由は、クリスマスの時期にロックダウンを (一時的になるかもしれないが) 解除したい意向があるためである。欧州各国でロックダウンの再実施に反対するデモが散発的に起きているが、これはあくまで少数意見であり、国民の多数派は移動などに関する規制強化を致し方ないと受け止めている。その理由は、やはりクリスマスの時期にロックダウンが不要となっていてほしいと考えているためである。

欧州のクリスマスといえばさまざまなイルミネーションに彩られた街並みや、クリスマス・マーケットが連想されるだろう。むろん、今年はそのクリスマス・マーケットは軒並み開催中止となっている。とはいえ、例年であっても、クリスマス・マーケットは12月24日以降は店じまいしている。欧州のクリスマス (ドイツや英国では12月25日と26日が祝日) は、家族や親族で過ごす年に1度の大事な行事であり、商店のみならず公共交通機関も休みということが少なくない。家族や親族で集まって過ごすという点では、日本の (昭和の ? ) お正月のイメージに近い。同居の家族以外と接する機会が大幅に制限されている現状が、クリスマスには解除されていてほしいというのが欧州市民の切なる願いなのである。


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