大和総研コラム

フリーランスの働き方拡大に向けて

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2020年10月6日
  • 大和総研政策調査部 研究員 佐川あぐり

新型コロナウイルス感染症拡大を契機に、テレワークの広がりなど、私たちの働き方は大きく変わった。こうした動きを後押しするように、政府は、現在の移住支援金の制度を拡充して、2021年度からはテレワークで東京の仕事を続けつつ地方に移住した人にも最大100万円を交付する方針を示している。地方移住者の増加で地方に活力が生まれ、また働き方の選択肢の拡大でより多くの人々が働きやすくなることは、大いに望ましい。

さらに、政府が働き方の多様化への取り組みとして進めているのが、雇用契約によらない働き方であるフリーランスに関係するルール整備である。フリーランスに関するプラットフォーム事業を展開する会社の調査によれば、日本の広義のフリーランス人口は2020年で1,034万人である (【ランサーズ】フリーランス実態調査2020年版) 。

フリーランスで働く人の中には、これまで培ったスキルを活かして働くシニア世代や、育児などで時間の制約がある女性も多い。政府は、働き方改革によって、就業を希望する女性や高齢者が働けるようにすることに注力している。それは、超高齢社会の中で社会保障の支え手を増やすことにもなる。新型コロナウイルス感染症の拡大で雇用不安が高まる中、働きたいという人々の希望に沿うためには、柔軟に働けるフリーランスのルール整備を進め、そうした働き方を普及させていく必要がある。

具体的には、政府の「全世代型社会保障検討会議第2次中間報告」 (2020年6月25日) で、フリーランスを適正に拡大するためのガイドラインを年度内に策定するとされている。内容としては、フリーランスは雇用契約によらないことから、基本的には労働関係法令が適用されないが、実質的に発注事業者の指揮命令を受けて仕事に従事していると判断される場合などには労働関係法令が適用されることを明確にすることなどが挙げられている。

またフリーランスで働く人たちについては、発注事業者から契約書面が交付されず、取引条件の一方的変更、報酬の支払い遅延・減額など、不利な扱いを受けるケースがある。そうした発注事業者の優越的地位を利用した不適切な行為がないよう、適切な契約書面が必要であることを明確化することも検討される。

さらに、不安定な収入や、仕事探しを人脈に頼らざるを得ないという課題もフリーランスにはあるようだ。ガイドラインの策定に加え、国民健康保険や国民年金以外にもフリーランスが加入できる小規模企業共済等やiDeCo・NISAなどの制度活用など、社会保障全般について相談できる窓口の充実や、オンラインで仕事を探せるクラウドソーシングのさらなる充実なども求められるだろう。

上述の調査によれば、場所や時間に縛られず自由で柔軟な生活を送ることができることから、フリーランスの仕事に対する満足度は高いという。実効性あるガイドラインの策定や課題の解消に向けた政策により、今後はフリーランスとして働くことを選択する人々も増えていくだろう。ワークライフバランスが充実した満足度の高い働き方の広がりは、豊かな人生を送る人々を増やすことになる。


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