大和総研コラム

V-RESASで見る福島県の観光動向

  • 消費 / 社会
  • 掲載日 : 2020年9月7日
  • 大和総研経済調査部 エコノミスト 鈴木雄大郎

まち・ひと・しごと創生本部と内閣府地方創生推進室は2020年6月30日より、新型コロナウイルス感染症が地域経済に与える影響を可視化するために「V-RESAS」の公表を開始した (※1)

そこで本稿では筆者が執筆している福島震災復興報告シリーズ (※2) の一環として、福島県における緊急事態宣言発出時期から足元までの宿泊動向について見ていくことにしたい。

V-RESASでは観光予報プラットフォーム推進協議会が保有する旅行会社の店頭・国内ネット販売・外国語予約サイトなどの販売実績と宿泊予約データを用いて、宿泊者数が算出されている。また都道府県別 (地域によっては、より詳細なエリア別も可能) 、宿泊者の属性別 (一人、子ども (13歳未満) 連れなど) に宿泊者数を確認することができる。

緊急事態宣言が解除された後の6月第4週の宿泊者数の動きを確認すると、全国では前年同週比▲76%だった。緊急事態宣言期間中は同▲94~▲98%で推移していたことを踏まえると、依然として厳しい状況にあるものの最悪期は越えた。都道府県別に見ると、福島県の宿泊者数は前年同週比+14%と全国で唯一プラス転換した。

宿泊者の属性別に見ると、福島県ではとりわけ、「男女二人 (カップル・夫婦) 」が前年同月比+18%と全体を押し上げている。地域別に見ると、相双、いわきの浜通りを除くすべての地域で、男女二人が増加に寄与していることがわかる (図表) 。また、県北、県中、会津では子ども連れのファミリー層も全体を押し上げている。

次に、宿泊者の居住地別に確認すると、福島県内在住は前年同月比+489%と大幅に増加した。一方、福島県外在住は同▲82%と戻りは弱い。こうした自都道府県内に宿泊する、いわゆるローカルツーリズムの動きは多くの地域でも確認できる。また、温泉など観光の名所がある地域ほど宿泊者数が増加している傾向にある。こうした観光資源がある地域ほど、ローカルツーリズムには有利であろう。

まとめると、6月第4週に福島県の宿泊者数が全国で唯一プラスに転じたのは、福島県民のカップル・夫婦やファミリー層が押し上げたためだ。

7月に入って福島県内の宿泊者数の伸びは鈍化したものの、県外からの宿泊者が回復傾向にある。とりわけ、「男女二人」は前年同月比▲48%と6月 (同▲80%) からマイナス幅が縮小し全体を押し上げた。一方、子ども連れのファミリー層は、ほとんどの学校で子どもの夏休みが短縮されたことが影響したとみられ、同▲82%と底這いの状態が続いている。

今後、福島県をはじめ各地域の観光業は、県外からの観光客数の回復が鍵を握ることとなろう。8月からはGo To キャンペーンの効果も本格的に発現するとみられる。引き続きV-RESASを活用して観光需要の動向を注視したい。

[図表] 福島県の地域別・属性別宿泊者数 (2020年6月)
  • ※1V-RESASに関する詳細は拙稿「V-RESAS:アフターコロナの地方創生への活用期待」 (2020年9月4日、大和総研コラム) を参照。
  • ※2拙稿「ダークツーリズムは福島の希望の光となるか」 (2019年12月17日、大和総研コラム) 、「東日本大震災から学ぶ新型コロナへの対応」 (2020年3月9日、大和総研コラム)

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