大和総研コラム

Go To キャンペーンはこれから大成功の予感 ?

  • 国際
  • 掲載日 : 2020年9月2日
  • 大和総研ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト (LDN駐在) 菅野泰夫

日本ではGo Toキャンペーンを巡る政府の対応が物議を醸し出しているようだ。英国でも8月より同種のキャンペーンとして、「Eat Out to Help Out」と呼ばれる外食半額スキームが導入されている。同スキームは、8月の月曜から水曜限定で、スキーム参加店で外食費用の最大50%を政府が負担する、英国では初めての試みである (ただし一人につき10ポンドの上限あり) 。英国では他の欧州諸国と比較してもロックダウンが長期化し、飲食店・宿泊業セクターの月次GDPを見ると、コロナ危機が始まる直前の2月と比較して、6月にはマイナス83.4%と大幅に低下していた。

同スキームは効果てきめんであり、参加は8万4千店に及び、開始当日には店舗前に長い行列ができるほどだった。月を通して盛況が続き、店舗によっては8月中の月~水曜日は予約がほとんどとれなかったくらいだ。宴席やパーティーは別として、プライベートではほとんど外食をしない筆者ですら、さすがの安さと物珍しさもあって、久方ぶりに飲食店に足を運ぶほどであった。テイクアウトは対象外のため、テーブル予約ができないときは、店内のミニスタンドで立ち食いし、無理やり割引を受ける人も続出するなど、スナーク財務相の思惑どおりの状況となった。1日3回同じ店に行く猛者もいるなど、毎週、平日の昼間から、あちらこちらの飲食店が大盛況の賑わいを見せた。

さらに同スキームが導入された最初の週の月~水曜日において、夕方6時以降の英国繁華街やショッピングセンターへの来場者数は18.9%増、12~14時では9.6%増を記録しており、同スキームが外出を促したものと受け止められている。直接的には外食産業への支援策ではあるが、外食に出た消費者が買い物をすることで、リテール産業にも恩恵があったことが示唆されている。また景気刺激策の一環として、飲食業や観光産業にかかるVATが20%から5%にまで引き下げられているため、なおさらお得感が強くなっていることも影響している。さらに、英国政府が当初、夏休みを国内で過ごすよう推奨していたことも手伝い、通常であれば海外旅行に出ていた人の多くが、国内での消費に切り替えたことも功を奏した。

英国の第2四半期 (4月~6月) のGDP成長率 (一次速報値) は、新型コロナウイルスの世界的大流行の影響を受け、前期比マイナス20.4%と過去最大の下げ幅をみせた上、第1四半期に続く、2連続のマイナス成長により11年ぶりの景気後退入りとなった。ただ8月の同キャンペーンも手伝い、第3四半期 (7月~9月) にはV字回復が期待されるという論調も急増している。一方、日本でも今後開始される予定の「Go To Eatキャンペーン」ではオンライン予約サイト経由で登録飲食店を予約・来店した消費者に次回以降にその飲食店で利用できるポイントの付与 (一人あたり1,000円分のポイントが上限) や、登録飲食店でのプレミアム食事券 (購入額の25%分上乗せ、1回の購入当たり2万円分まで) が発行されるという (感染予防対策に取り組んだ登録飲食店等が条件) 。外食に限らず、他の小売売上でも需要喚起の効果が高かったことは、英国の例でも実証されている。旅行に比べれば、近場の飲食店での利用は心理的なハードルも相当低くなるだろう。Go Toトラベルでは躓いたキャンペーンだが、日本も「Go To Eat」であればそれなりの効果が期待できるのではないだろうか。


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